2009/3/31 青木、ナチュリル入社会見
青木が入社会見で抱負
「ロンドンで戦うために、今年の世界陸上にはぜひ出場したい」

 “世界に羽ばたく女子スプリンターの輩出”を合い言葉に、2006年に創部したナチュリルが31日、福島市で青木沙弥佳(福島大卒)の入社会見を行なった(写真)。
 青木は400 mHの学生記録保持者(55秒94=日本歴代3位)。400 mでも53秒40の学生歴代2位の記録を持ち、07年の大阪世界選手権、昨年の北京五輪と4×400 mRの日本代表を務めた。
 青木の入社でナチュリルには、400 m日本記録保持者の丹野麻美、佐藤真有、そして青木と、五輪代表選手が3人揃う。吉田真希子と渡辺真弓も世界選手権経験者で、シニアの世界大会代表5人を擁することになった。

青木の入社挨拶
「このたび、株式会社ナチュリル健康推進室所属が決定した青木沙弥佳と申します。
 私はこれまで、ナチュリルの選手の活躍を間近で見てきました。一緒に走ることもありました。私にとってナチュリルは憧れの存在であり、その一員となって競技を続けられることに喜びを感じます。練習は今まで通り、福島を拠点に練習していきます。環境を変えずに練習していけることは、本当にありがたいことです。
 しかし、立場は大きく変わります。これからは陸上をすることが仕事の一部となるので、中途半端な気持ちでは陸上競技に向き合えません。今までも真剣な気持ちで陸上競技と向き合ってきましたが、今まで以上に強い気持ちを持って行かなければならないと思っています。
 私は陸上競技が本当に好きです。自分の好きなことを仕事としてできるわけです。これ以上の幸せは、それほどないのではないかと思っています。この喜びを原動力にして、競技者としても、人間としても、これまで以上に成長していきたいと思っています。
 ナチュリルの一員として活動していくにあたって、色々な方とお会いする機会が増えると思います。今までの私は人見知りすると言いますか、人とのつながりを作ることが苦手でした。しかし、これからは一期一会の気持ちで出会いを大切にし、人とのつながりをしっかりと作り、その中から多くのことを学びたいと思っています。
 2009年はベルリンで世界陸上が行われます。昨年は北京オリンピックを、マイルリレー日本代表として走らせていただきました。競技者として本当に良い経験ができましたが、世界との差はやはり、大きいのだとも感じました。次のロンドン・オリンピックで世界と対等に戦うためにも、今年のベルリン世界陸上にはぜひ出場したいと思っています。
 今年はマイルリレーはもちろん、個人でも初めて出場の可能性があります。まずは日本選手権でしっかり結果を残し、ベルリンでは予選突破を目指して競技をしていきます。
 また、全日本実業団などの対抗戦でも、少しでもチームに貢献できるように、今以上に競技力を高め、力を発揮できるようにしていきたいと思います。
 まだまだ至らないところも多いと思いますが、以後、よろしくお願いいたします」


ナチュリル勢、「6月、8月、11月」に照準
 青木の入社会見と併せて、ナチュリルの2009年度活動方針も発表された。
 すでにオーストラリアで試合に出場している渡辺と丹野が、31日からアメリカに遠征。4月4日、11日、18日と3試合をこなす。
 青木は出雲陸上(4月18〜19日)の300 mでシーズンインし、静岡国際が400 mH初戦となる。佐藤は出雲300 m、兵庫リレーカーニバル200 m、静岡国際400 m、国際グランプリ大阪400 mと連戦する。
 しかし、春先からの好記録連発は狙っていない。
 昨年はA標準を出さないとオリンピック出場が確実にならなかったため、記録を狙った試合が多くなった。その点、今年の世界選手権の標準記録は、丹野と青木がB標準を突破。4×100 mRと4×400 mRも日本チームが標準記録をクリアしている。
「1本1本狙っていくことも大事ですが、慌ててコンディションを上げて行くのでなく、6月(日本選手権)、8月(世界選手権)、11月(アジア選手権)に合わせていきます」と川本監督。青木も「私はセカンド記録と1秒近く開きがあるので、55秒台後半から56秒台をコンスタントに出すのが記録的な課題です」と言う。

 ただ、自身の特徴を問われた青木が、“負けたくない気持ち”という言葉を口にしている。「あまり表に出すことはないのですが、その気持ちを表に出していきたい」
 入社挨拶にある「人との出会いをプラスにしていきたい」という気持ちも、実業団選手になることによって、自身を積極的に変えていこうとする姿勢の表れだ。
 元々、大舞台に気後れするタイプではないようで、昨年の北京五輪について、次のように振り返ってもいた。
「北京五輪のスタジアムに入ったとき、すごい数の観客に囲まれて雰囲気がまったく違ったのですが、自分としては燃えるというか、自然と気持ちが盛り上がるんです」
 周囲からは“物静かな女性”という声が聞かれる青木。その性格が変わることはないだろうが、ナチュリルに入社した今季は、大舞台で何かをやってくれるかもしれない。


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