2008/4/7 M&K陸上競技部創設記者発表
M&K創設メンバーは梶川&熊谷
同レベル2選手の課題はスプリント


 M&K陸上部創設に加わった選手は2人。大学を卒業して3年目となる梶川洋平(法大→クレーマージャパン)と、2年目となる熊谷史子(福島大→北海道ハイテク)。新たなシステムの特徴ゆえか、同レベルの2選手となった。
 2人には奇しくも、3つの同順位があった。

@2007年日本リスト順位
 梶川洋平 5位・16m04
 熊谷史子 5位・13秒53
A日本歴代順位
 梶川洋平 15位・16m45
 熊谷史子 15位・13秒53
B2007年全日本実業団成績
 梶川洋平 3位・16m04(+1.2)
 熊谷史子 3位・14秒10(−1.6)


 2人の違いとして挙げられるのは、梶川が昨年の日本選手権でベストエイト漏れをしていること(熊谷は日本選手権2位)。三段跳は自己ベストに近いレベルを安定させるのが難しい種目だが、それでも、16m45の選手がエイトに残れないのはおかしい。梶川は「スプリントの向上」を課題に挙げたが、“ただ速く走る”ということではないようだ。
「150〜200mのスプリント持久を安定させたい。そこが安定しないとトップスピードにもっていくときに無理が出て、助走から踏み切りが違うものになってしまいます。それと並行して助走練習を、特にスタートから6歩目の技術を徹底的に研いていきます。そこができないと無駄がある助走になって、跳躍につながらない踏み切りになってしまいます」
 昨年の日本選手権成績を悪い例として挙げたが、日本&関東の両インカレはキチッと勝っているし、自己記録の16m45は大学4年時の東アジア大会。勝負強さも持ち合わせている選手である。これまでも跳躍関係者の期待は高かった。
「本当に恵まれた環境を与えてもらい、陸上競技に集中できます。大会としての具体的な目標はロンドン五輪になりますが、長期的な視野でしっかりと計画を立て、17mジャンプを目指したい」

 一方の熊谷は、記録的に伸び悩んでいるのが課題だろう。年次ベストは以下の通り。
高3(2002年):13秒69
大1(2003年):13秒74
大2(2004年):13秒71
大3(2005年):13秒63
大4(2006年):13秒58
社1(2007年):13秒53

 3年連続で自己記録を更新しているが、短縮幅は僅かずつである。高校時代からの上乗せは0.16秒。100 mならともかく、この種目ではそれほど評価できない。
 熊谷も自身の課題として、スプリントの強化を挙げる。
「日本一速いスプリントチームにいます。練習で何本か走る中で1本だけでも1番を取るとか、この距離までは1番で走るとか、目標を持っていけば速くなると思います」
 それができたとき、大幅な記録更新ができるという感触なのだろう。
 会見に同席した川本和久コーチ(福島大監督)は「筋力は(福島大で練習している)ウチの選手のなかでも1番。単純に言えば(他の選手たちの)5割増しくらい。ただ、余計なところにあって、ハードルを跳ぶことを邪魔している」と、停滞の原因を指摘した。しかし、それは同時に「キチッとシェイプして、ハードラーらしい、女性アスリートらしい体にしていけば、世界で戦える選手です」と、可能性を感じられる部分でもある。

 3つの同順位を持つ2人が、そろって世界と戦う選手になることが、M&Kの長期目標である。


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