2001/3/8
寺田的記録集計号の見方(2)
世界リスト上位選手で“知名度”が低いのは誰だ!
記録集計号がベストセラーになれば、柳沢選手も有名人
3月8日付けの読売新聞にスポーツ選手の人気ランキングが載っていた。それによると1位はプロ野球の松井選手(巨人)で、2位が高橋尚子(積水化学)選手だった。回答率でいえば松井選手の11.8%に迫る11.3%だった。だが、そのあとの20位までに、陸上選手の名前はない。では、逆に、競技力の割に知名度の低い選手は誰だろうか。それはたぶん、競歩の柳沢哲(綜合警備保障)選手だと思う。
記録集計号を見ると柳沢選手が昨年1月の神戸で出した1時間19分29秒は世界リスト11位。これに匹敵する順位の選手は、男女のマラソンを除けば個人種目ではハンマー投の室伏広治(ミズノ)選手の10位があるだけだ。つまり、シドニー五輪で入賞した高岡寿成(鐘紡)選手や、世界が近いと言われている400 mH勢、女子走高跳勢よりかなり上なのだ。
だが、その印象は低いように見受ける。室伏選手がテレビや一般雑誌でもさかんに取り上げられるのに、柳沢選手はほとんどない。
種目自体の認知度の低さもあるが、とどのつまり、国内で好成績を出しても、国際大会での成績が伴っていないからだ。99W杯競歩(20kmW)78位、2000五輪(20kmW)22位では、“世界11位”といっても印象は薄くなる。今村文男(富士通)選手のように、世界選手権で入賞していれば、印象度は強くなるのだが。
人気種目以外の選手が世間の印象度を上げるには、記録よりも国際大会の順位の方が重要だ。記録だけで印象度を上げようとしたら、世界リスト3位以内とか、5レース連続日本最高とか、40歳近くになって日本最高とか、世間が喜びそうな付加価値が必要になってくるからだ。
世界11位の記録って、女子100 mなら10秒台、男子5000mなら12分台なんだけどな…。記録集計号がベストセラーになれば、柳沢選手の認知度も上昇するのだが…。