2001/3/7
寺田的記録集計号の見方(1)
非五輪種目とパフォーマンス・リストの活用法

男子60m最速はグリーンではなくスリンだった!!

 記録集計号には、普段の陸マガでは掲載されない種目が載る。例えば、男子60mだ。
★★★ 60m
1 6,38 0.2 B.スリン 67 CAN 1+ W Ch 1999. 8.22
2 6,39 i    Ma.グリーン 74 USA 1 1998. 2. 3
  6,39 0.2  Ma.グリーン 2+ W Ch 1999. 8.22
  6,40 0.2  Ma.グリーン 1+ W Ch 1997. 8. 3
  6,40 i    Ma.グリーン 1 s1 USA iCh1999. 2.27
3 6,41 1.2  L.バーレル 67 USA 1+ W Ch 1991. 8.25
3 6,41 1.2  R.スチュワート 65 JAM 1+ W Ch 1991. 8.25
3 6,41 i    A.ケーソン 69 USA 1 1992. 2.14
  6,41 i    Ma.グリーン 1 r2 1998. 2. 1
6 6,42 1.2  D.ミッチェル 66 USA 3+ W Ch 1991. 8.25
6 6,42 0.7  D.ベイリー 67 CAN 1+ OG 1996. 7.27
 この種目では先日、モーリス・グリーン(アメリカ)が自身の持つ室内世界記録とタイの6秒39を出し、大々的に報道されたばかりだが、「世界歴代」男子60mの欄を見ると、ブルーニー・スリン(カナダ)の名前が一番上にある。記録は6秒38。一瞬、「えっ!?」と思う。「だったら、グリーンの記録は室内世界タイではないじゃないか」と。
 だが、大会名と日付から、99年のセビリア世界選手権で出された記録であることがわかる。よく見ると、スリンの2つ下にグリーンもセビリアの同じレースで6秒39で走っている。つまり、スリンが中盤までグリーンとタメを張ったあのレースで、60mまではグリーンをリードしていたのだ。この途中計時のタイムは、昨年の集計号の1999年世界50傑60m欄にはない。つまり、この1年間で国際陸連、あるいはATFS(世界陸上競技統計者協会)が発表したわけだ。
 セビリア世界選手権の100 mはフィニッシュラインでは、グリーンが9秒80(パフォーマンス世界歴代2位)でスリンが9秒84(世界歴代2位)。このあたりも、上位記録がパフォーマンス(その選手のベスト記録だけでなく、2番目以下の記録でも一定の基準以上のものは全てリストアップすること)で掲載されているので、すぐにわかる。ちなみに、昨年の集計号はアジア歴代30傑を掲載した都合で、世界歴代の上位がパフォーマンスで載せていなかった。
 ところで、スリンの記録は追い風0.2mの屋外の記録だから、室内世界記録保持者はグリーンであることに変わりはない。念のため。