2001/4/15
日大vs東海大対校速報 
やり投の村上が77m35
東海大、4×100 mRで39秒2


リザルツ(対抗3位+オープンで目についた選手)
オープン女子リザルツ
対校得点
4×400 mRラップタイム


 4月15日、町田市営競技場で行われた標記大会。気温22〜24℃、ホームストレートがアゲインストのため、100 m、200 mはバックストレートが使用して行われ、コンディション的にも恵まれた。
●末續がシドニー五輪以来、復帰第一戦で快走!!
 末續慎吾(東海大3年)が4×100 mRのアンカーとして登場。公式レースは、右大腿裏を肉離れしながらもバトンを渡した、シドニー五輪4×100 mR決勝以来だ。
 1、2走と日大がリードしたが、3走・藤本が好走して東海大ややリードして4走にバトンが渡る。末續は前半で一気に日大を引き離し、10m以上の大差を付けてフィニッシュ。
 高野進コーチがレース前、後半は流す予定だと話してくれたが、見た目には流したとは思えなかった。実際、末續の加速つきの100 mは手元の計時で9秒4だった(96年アトランタ五輪4×100 mR2走の伊東浩司は9秒23。91年東京世界選手権4走の山下徹也は9秒5)。だが、末続自身に話を聞くと、やはり後半は少し力を抜いたという。
「オリンピックで痛めた右を徹底的に強化しました。それで逆に、今は左に不安があって、前半で離せたので後半は力を抜きました」
 昨年はオリンピック選考会が4月、5月の春季サーキットが中心だったため、春先から仕上げ、アメリカで1レースをこなしたあとのこの大会で、20秒4のタイムを叩き出した。だが、今年はそこまで早い仕上げはしない。
「去年より1カ月遅らせて、まずは5月にピークを持っていきます。水戸で100 m、GP大阪で200 m、関東インカレは100 mと4×100 mR、4×400 mR、そして東アジア、6月の日本選手権という予定です」
●畑瀬は大学第一戦
 末續が復帰第一戦なら、畑瀬聡(日大1年)は学生第一戦だった。第一戦といっても、すでに3月に沖縄で1試合こなしている(15m67)。この日の記録は1投目の16m07。
「もうちょっといけそうな感じもあったんですが、16mが出せてホッとしました。疲れもありますし、スピードがなかったと思います。小山(裕三・日大投てきコーチ)先生には手投げになっていると言われました」
 高校(博多工高)時代、すでに16mスローは4試合で実現させている。自己5番目の記録はなんとも評価の難しいところだろう。大学4年間は1年に1mずつ、4年間で4m記録を伸ばすという壮大な夢もあるし、「試合にもたくさん出たい」とも言うが、「今年は基礎体力をつけたい。高校生の大橋(忠司・保原高)がベンチプレス165kgですよ。僕なんか115kgなんですから」と、地固めを意識している。
●村上は80mスローに手応え
 やり投の村上幸史(日大4年)が2投目に77m35と、自己3番目の記録をマークした。
「75mいけばと思っていたので、記録的には満足です。1投目は体が開いちゃって、風の影響もあったと思うんですが、やりがカーブしてしまいました。体が開くってことは左足がつくのが遅いということですから、2投目はそこを瞬発的に行うことを意識して、ああいう結果が出ました。体幹も上手く使えたと思いますし、やりも引っ張ることができました。あれで高さが出てくれば、80mもいくんじゃないかと思います」
 この日はやや、追い風が強く、やりが抑えられる部分があったのも確か。
 昨年は第一戦の沖縄(3月19日)で78m57の自己新、五輪B標準突破を果たしながら、その後、記録は下降線をたどった。日大の同学年の山村貴彦が、五輪代表になる活躍を、横目で見ながらという悔しい状況だった。
「世界選手権は一番大きな目標です。B標準の80m50は切りたいですね」
 世界選手権はB標準突破者でも、その種目で1人だけの突破なら派遣される。
●400 mのジュニア・チャンピオンが800 mでインカレ挑戦
 800 mはスタート直後から鈴木尚人(東海大3年)がチームメイトの長田淳史と積極的なレースを展開した。400 mの通過は54秒0。終盤も粘り切って1分51秒3でフィニッシュ。最後まできっちり走りきった、という走りだった。
 関東インカレには800 mで出場することは、ほぼ決定的となった。この鈴木、3年前の日本ジュニア選手権400 m優勝という実績を引っ提げて、高野門下に入ったが、これまで関東も日本も、インカレの個人種目に出たことはない。唯一、昨年の関東インカレの4×400 mRに出場している。高校時代のベスト記録は47秒83と1分51秒62で、ともにインターハイ南関東予選で出したもの。
「3年生の時は(佐藤)清治君がインターハイに出ないというので800 mで狙ったのですが予選落ち。400 mで頑張ろうと思って東海大に入りましたが、1年のときはハムのケガもあってダメでした。昨年は400 mと800 m、両方やっていましたが(400 mは)みんなスピードのある選手ばかりです。今年から800 m中心にしましたが、できれば4×400 mRは走りたいと思っています」
 この日、4×400 mRははアンカーを務め、47秒1のラップで昨年のインターハイ優勝者の寺田克也(日大)を引き離した。狙うのはインカレ初出場で初優勝かと、話を向けると「(佐藤清治の他に)先輩もいますから」と、慎重だ。先輩とは法大4年の足立原和宏。鈴木の出身校は、神奈川の光明相模原である。
●シドニー世界ジュニアから5年、奥迫に明るい兆し
 為末大(法大5年)が皆実高(広島)3年時の96年にシドニー世界ジュニアで400 m4位、4×400 mR銀メダルの大活躍をしたのはつとに有名だが、そのとき皆実高1年後輩の奥迫政之(東海大4年)も一緒に世界ジュニアに出場している。甲府インターハイで4×400 mRのラップで45秒9を出したこともあり、一部では為末以上の将来性と噂された選手だ。シドニーでは4×400 mRの3走で、先輩の為末からバトンを受け、陸マガの表紙にも載った。
 ところが、その後は伸び悩む。シドニー世界ジュニアから5年。年次別ベストは以下の通り。
 96年(高2)21.13 47.42
 97年(〃3)21.20 47.08
 98年(大1)21.45 47.36
 99年(〃2)21.27 46.89
2000年(〃3)21.24 47.63
 この日は400 mに47秒2で優勝。追い風のバックストレートを飛ばして200 mを21秒8、300mを33秒3(高野コーチの計時)で通過。最後の直線で昨年のインターハイ優勝者の寺田が差を詰めたが、悠々逃げ切った。タイムは47秒2。
「3月の時点で、250や300のトライアルで自己ベストが出ていたので、ある程度はいけると思っていました。今年は冬期が終わってから、100 m・200 mのブロックで練習をしています。スピードが戻ってきた感じで、今日も300mまでは楽にいけました」
 シドニー世界ジュニアでは為末が45秒4のラップだったのに対し、奥迫は46秒8。大学入学後も「46秒4とかが精一杯」(奥迫)の状態だった。それが、この日の4×400 mRでは46秒4。「今年はユニバーシアードを第一に考えている」と言う奥迫。シーズン早々にも大幅自己新を出しそうな勢いだ。