女子トラック
100 mは日本記録保持者の坂上香織を筆頭に、判明しているだけで既婚者が5人(坂上、樫原由香、二瓶秀子、岩本敏恵、宮崎梢)いる。一昔前では考えられなかったことだ。表彰台を既婚選手が独占、ということもあり得るが、“独身最速”の新井初佳が、少なくとも割っては入るだろう。
この種目、新井が勝てば4連勝だが、今季、坂上香織と僅差の勝負を繰り広げており、静岡では0.01秒差で新井が勝っている。今大会の“2強対決”としては、男子円盤投(畑山vs.中林)、女子走高跳(太田vs.今井)、女子円盤投(中西vs.室伏)、女子ハンマー投(鈴木vs.綾)などが挙げられているが、女子100 mもその1つだ。
200 mは新井初佳の4連勝が濃厚。二瓶、島崎亜弓の2位争いも面白そう。サーキットでは今ひとつだったが、東アジアの4×400 mRから判断すると、信岡沙希重もそこに加わりそうだ。藤巻理奈、五木田佑美のジュニア選手が、どこまでやるかも注目点。
400 mは先の東アジア大会で日本人初の52秒台(52秒95)をマークした柿沼が、日本人選手間での連勝記録を伸ばすだろう。日本選手だけのレースで世界選手権B標準(52秒70)突破ができれば、価値は高い。2位争いは杉森美保、吉田真希子の4×400 mRメンバーで展開されそう。
800 mは今季、日本新(2分02秒23)、パフォーマンス歴代2位(2分03秒43)をマークしている西村美樹が本命。2分4秒以下の勝負になれば、佐々木麗奈にもチャンスあり、という予想が普通だが、2分3秒台で佐々木が勝てない、と言い切れるわけでもない。西村は「自分はレースを引っ張った時に結果が出ている」と言っている。勝負重視でも、ハイペースが期待できる。
1500mはこのところ、田村育子が日本選手間で負けなし。だが、5000mで世界選手権を狙って来るかもしれない。ただ、5000mが2日目で1500mが最終日なので、かけもちはしやすい日程だ。志水見千子も同様。
5000mは世界選手権A標準(15分22秒00)突破者が弘山晴美と志水見千子の2人しかいない。最終日の1万mとの兼ね合いで誰が出てくるのかわからないが、市川良子、福士加代子、上野理恵、吉松久恵、橋本康子らは5000mのみのエントリー。セビリア世界選手権、シドニー五輪と5000mに出場した田中めぐみは、1万mとどちらにするのだろう。いずれにせよ、スローペースではエドモントンに行けない。
1万mはほとんどの有力選手がA標準を突破しているので、順位優先のレースになる。が、「順位優先=スローペース」という決まりがあるわけではない。ハイペースの方が有利になると思う選手がいれば、ハイペースになるのが道理である。それを望む選手は、藤永あたりか。だが、彼女は昨年の日本選手権5000m(優勝)では、ラストの強さも見せている。
川上優子が欠場を表明した。兵庫リレーカーニバル優勝の小鳥田貴子、同2位の藤永佳子が今季は好調。今季はそれほど目立っていないが、シドニー五輪代表の高橋千恵美も、上位には顔を出している。3〜4月にマラソンに出た弘山晴美と永山育美は、1500mで日本選手権のタイトルを取ったこともある選手。坂下奈穂美も大阪グランプリの5000mで好走した。大南博美は、ここで3位に入れば妹の敬美(マラソン)と姉妹代表になれる。
100 mHは、男子ハンマー投の室伏広治と同様、金沢イボンヌの7連勝が確実。茂木智子、池田久美子、藤田あゆみの東北トリオに、森本明子を加えた2位争いが白熱しそうだ。金沢イボンヌの今季の調子から、日本人初の12秒台は先送りになりそうで、2位争いの選手の中で抜け出る選手がいれば、ひょっとすると……?
400 mHは、東アジア大会で57秒33の日本新をマークした吉田真希子が2連勝しそう。そのとき課題にしていたことがクリアできれば、56秒80のB標準も十分突破可能。鈴木美恵、日色さおりが2位争いをしそうだが、高校生の江口幸子がそこに加わってくるかもしれない。