1万m エントリーリスト
A標準突破者と未突破者の駆け引きが最大の注目点
徳本参戦、藤原との学生コンビも要チェック
三代、永田は故障からの回復具合次第
今季27分35秒09の日本新を出している高岡寿成、昨秋、今春と2度27分台を出している入船敏が有力だが、2人とも今季の選考会でA標準(28分00秒00)を切っていないので、このレースで4位以下になり、上位3選手がA標準で走ったら、代表になれない。
ということで、A標準に迫りながらも未突破の松宮隆行・祐行兄弟、手塚利明、岩佐敏弘、池谷寛之、浜野健らにとっては、ペースさえ速ければチャンスである。というか、27分台を目指さなければ、代表への道を放棄したことになる。だが、日本選手権であるから順位にももちろん、価値はある。
永田宏一郎、三代直樹の昨年A標準突破済みの2人は、故障からの回復具合次第。少なくとも現時点では、好走したという情報は入っていない。当初から2人とも、日本選手権一発に絞って調整しているようだ。楽ではない状況だが、同じようなケースで代表を射止めた96年アトランタ五輪の高岡の例もある。要チェック選手であることに変わりはない。
A標準突破選手にとっては、ハイペースよりも順位優先のレースの方が歓迎できるものかもしれないが、入船は必ずしもラストの短いスパートに強いタイプではない。カネボウコンビとしては、どこかで1000m以上のロングスパートをかけたいところだろうか。A標準未突破者と、どちらがレースの主導権を握るかは、今回の最大の注目ポイントだ。気温など気象条件もかかわってくるので、選手にとっては判断が難しいところだろう。
要注意なのは徳本一善と藤原正和の学生コンビ。徳本は1500m&5000mを捨てて、1万m1本に絞ってきた。意図するところは明白だろう。藤原も、春季サーキットで狙っていた27分台突入を、あわよくば果たそうというところ。A標準未突破者が好ペースを作れば、この2人も面白い存在となる。
だが、徳本の意図は必ずしも世界選手権ではなく、将来を見据えて1万mの日本チャンピオンになっておくことかもしれない。将来のどんなビジョンかは、知る由もないが。