女子砲丸投で16m84、森が大幅な日本記録更新!!
森の記録が安定しない原因とは?


 女子砲丸投の5投目だった。第4コーナーのスタンドに移動して、間近で見ていたことが幸いした。森千夏(国士大)が突き出した砲丸は、それまでより明らかにスピードが違った。気合いの声が3度、場内に響く。17mラインの白い粉が、跳ね上がった。ラインにかかったということは、17mは越えていない。だが、日本人初の大台は無理としても、昨年、国士大の先輩・豊永陽子(健祥会)が日本選手権で出した日本記録(16m46)の大幅更新は間違いない。審判員が記録を読む。「16m84」。実に38cmもの日本記録更新だった。
「優勝は嬉しいのですが、まだ、納得がいきません。5投目は今までやってきたことが、少しまとまってできたということです。残せて、少し引っかかったくらい。自分としてはまだ、よかったとは言えません」
 それにしても、森の投てきには波がある。ある試合でよくても、次の試合でいいとは限らないし、今回のように、6投の中でもよかったり悪かったりする。この日の6投は15m42−14m87−F−16m00−16m84−14m19で、6投目はともかくとして、前半が悪すぎる。
 17mへの課題は? と聞かれた森は「もっと練習を積むのはもちろん、1投目から16m台を出して、2投目、3投目に17m台が出せるようにしたい」と、答えている。
 国士大の青山利春監督は、森の記録が5投目に急に伸びたことを、次のように解説してくれた。
「今日はアップのときに、グライドで体を沈めるときに左ヒザを開かず、まっすぐ降ろせと指示をしました。そうすれば直線的に出ていける。50〜60%の力でいいから、リラックスしろと。力が入るとどうしても、外側に開いてしまうのが森の欠点なんです。左はリード脚で、それが外に開いて力が逃げてしまうと、上体がどこに行っていいのかわからなくなります。内に力をためておいて、(グライドして)接地をしたらガーンと内の力を外に、投射角に出してやる必要があります。技術的に少しでも、砲丸に力を与える必要があるんです。外人みたいな体格がなければ、なおさらです。
 そこがうまくできると、リバースをぎりぎりのところまで、前の方へ持っていけます。今日も3投目までは、左ヒザが開いてしまっていました。4投目の16m00のときに、少しできてきて、あと2投あったので“もしかしたら”と思いました」
 日本選手権の前の関東インカレは、16m32と悪くなかったが、体のコンディションはよくなかったという。練習で「オールアウトまで追い込みすぎて」(青山監督)、身体にキレがなかった。日本選手権では10日前から練習を落とし、週が変わってさらに落としたという。「日本選手権に向けては量より質。スピード中心にした」(同)ことが成功した。
 この日、国士大の1年先輩、市岡寿実も4投目に16m34と、自己記録を4cmだが更新(歴代順位は3位のまま)。「市岡はリバースがまったく、前でできないんですよ。それができるだけで、17mなんかすぐ行きます。森も、1投目から(5投目の投げができれば)17m、17m半と出るはずなんです」と、2人の将来性を青山監督は語った。弟子の森と、同じ内容だった。