2001/6/10 日本選手権3日目
女子4×100 mR、4度目の挑戦も世界選手権に届かず
レース後の4選手コメント
新井は特筆に値する4年連続2冠


 3日目に行われた女子4×100 mRの特別レース。日本選抜チームは坂上香織、新井初佳、二瓶秀子、島崎亜弓の走順で臨んだ。当初は予定されていなかった女子4×100 mRが、急きょ行われる運びとなった目的は1つしかなかった。世界選手権派遣記録の44秒00(日本記録は44秒11)を破ることだった。
 今季、日本(選抜)チームによる44秒00への挑戦は、3回行われていた。今大会と同じ走順の水戸国際(5/6)は44秒50、大阪GP(5/12)は島崎・新井・二瓶・坂上で44秒54。そして、一番のチャンスと狙っていたのが、東アジア大会(5/26)である。
 走順は再び、坂上・新井・二瓶・島崎に戻していた。坂上、新井の両エースを2つある直線ではなく1・2走に起用したのは、2つの理由があったと思われる。1つは坂上のスタートダッシュの特性を生かすこと、もう1つは「前半で中国に食い下がること」(川本短距離部長)だ。
 だが、そこでも44秒24と僅かに及ばす、今大会で“追試”が行われることになった。だが、結果は44秒30。四たび、4人の挑戦は跳ね返されてしまった。

 レース後の選手たちのコメントは以下の通り。
坂上「とても悔しいですけど、攻めにいってこの結果ですから、仕方がない自分の走りはそこそこでした。バトンは、ずっとやってきている新井さんとのパスですから、渡らないわけがありません。今回、リレーにチャンスを与えてくれたことに、感謝しています」
新井「44秒00を切りたかったです。すごく残念です。一生懸命やった結果です。きちんと受け止めたい。走りは、正直よく覚えていないのですが。できたと思います。二瓶さんのダッシュを信じて、一生懸命追って、いいパスができたと思います。リレーはあきらめていたので、(今大会でやると聞いて)嬉しく思いました。個人の100 m、200 mもあってきつくなりますが、そんなことは言っていられませんでした」
二瓶「残念のひと言です。走りは冷静に、コーナーを走れたと思います。バトンは100 %とはいきませんでしたが、一生懸命やりました。(今大会でリレーが走れると知って)あきらめかけていた世界選手権に、また挑戦できることになり、自分のレースにも集中できましたし、切ることでお礼をしたかった」
島崎「残念です。私がここに体調を合わせられず、すごく責任を感じています。パスは二瓶さんの言われたとおり。走りは、今日出せる力は出せたと思います。100 mよりは良かったと思います。日本選手権は棄権も考えていたくらいでしたが、リレーをやることを聞いて、少しずつ回復できました」
 ナショナル・チームのバトンパスは、なかなか思い切った冒険はしにくい、という話を聞いたことがあったので、今回、どのくらい冒険する意識だったのかを聞いてみた。
新井「前の試合(東アジア)より2足長伸ばして、思い切り行きました。(出るのが)早過ぎたとは思いません。最後、気持ち、緩めたかもしれませんが、加速に影響したとは思いません」
二瓶「練習をやっていて、いつも安定していました。風とかの影響もありますが、確実に渡す範囲で行いました」
島崎「冒険まではしていません。毎試合、ほとんど一緒です」

 同じ日、4×100 mRのあとに行われた200 mでは、新井が23秒67(±0)で優勝し、前日の100 mと合わせて2冠。新井は4年連続2冠の快挙を達成した。100 m&200 mの4連覇は、さすがに前人未踏の快事だと思われたが、終戦直後の1946年から49年までの稲葉静子の1例があることが判明した。しかし、単独種目での連勝はともかく、複数種目での4連勝は、近年ではほとんどあり得ない。世界選手権には出られないが、新井の頑張りは特筆に値する。