2001/5/20 関東インカレ
三段跳で渡辺が16m67の学生歴代2位
渡辺は後半、記録を伸ばすタイプの選手?
杉林の大会記録を更新
三段跳高校記録(15m84)保持者の渡辺容史(筑波大3)が、完全に1つ上のレベルに上った。
渡辺が高校記録を出したのは、松山北高2年時の97年。その後は15m83(98年=高3)、15m76(99年=大1)、16m14(2000年=大2)と記録を残してきた。昨年、30cm記録を更新しているので、ある程度、飛躍への基礎が固まったのだろう。そして今年、5月6日の水戸国際で16m22(+2.0)と自己記録を更新(追い風3.0mでは16m38)した。
そして今大会の1回目に16m23(+1.4)、3回目に16m33(+1.4)、4回目に16m37(+0.9)、そして5回目には16m67(+0.9)と、立て続けに自己記録を伸ばし、着地すると同時に右手を挙げながら立ち上がるガッツポーズが繰り返された。跳躍の感触で自分の記録が正確に把握できている証拠だろう。
「昨日の走幅跳の疲れがあって、ハムストリングや背中がつって、ぶっ倒れていました。筑波にはトレーナー委員会があって、マッサージをしてもらったり、ストレッチングを入念にやったんです。でも、今朝の時点では重かったんです。それが、だんだん軽くなって…」
1回目の16m23は、体がまだ重いと感じるなかで出た記録だ。「ひょっとすると、今日はいけるかも」との予感がする。
ちなみにサブ種目の走幅跳でも7m76(+4.3)で優勝。公認では7m69(+0.9)で、高校時代の自己記録を2cm更新していた。
水戸の時もそうだったが、渡辺は後半に尻上がりに記録を上げていた。試合中に自分の技術を修正できるタイプなのだろう。
「技術を直せるというよりも、1つのことしか頭に入れていません。今日はまず、助走の出だしだけを意識しました。1本目でそれができて、2本目からは目線を起こしてみました。腰が高くなってきたので、4本目からは落としました。5本目は目線がきれいに入りました。スタートがうまくいって、助走中盤で来てるなって感じました。最後はおもくそ(思いっきり)やっちゃろうと」
5回目に出した16m67は学生歴代2位タイ。そして、大会新。学生記録の16m92を持つのは、筑波大の先輩で日本(17m15)記録保持者の山下訓史である。16m57(向かい風0.8m)の大会記録を持っていたのは、筑波大の先輩でシドニー五輪代表、日本人2人目の17mジャンパーである杉林孝法(ミキハウス)である。
「B標準(16m70)までは考えていませんでした。とりあえず16m50を跳ぼうと思っていました」
確かに、女子三段跳の2000年世界リスト1位記録や学生記録も横浜で出ているように、記録の出やすい競技場なのかもしれない。だが、この日、渡辺が1ランク上のレベルに達したことは間違いない。日本選手権で先輩の杉林とどんな勝負をするか、かなり楽しみになってきた。