全日本実業団女子駅伝迫る!!
ここに来て各チームに故障者続出だが…
※メルマガ・バージョン第22号掲載の記事です。
12月9日に岐阜長良川陸上競技場を発着点とする6区間42.195kmで行われる全日本実業団対抗女子駅伝。近年の日本の女子長距離界の充実を反映し、各チームとも戦力アップ。今回は史上例のないハイレベルの激戦が予想されている(詳しくは現在発売中の陸上競技マガジンや、サンデー毎日増刊「女子駅伝2001公式ガイドブック」を参照)。
簡単に紹介すると、前回優勝の三井住友海上が優勝候補の筆頭だが、エスタ・ワンジロの加入した資生堂、高橋尚子の積水化学、2組(大南&川島)のツインズの東海銀行が戦力的には三井住友海上に対抗できる。
淡路島を制したグローバリーと同2位、現在国内無敵の福士加代子を擁するのワコールが、前半のリードで波に乗る可能性もある。グローバリーは1500m国内ナンバーワンの田村育子と、ハーフマラソンの女王・野口みずきに加えて、西村はる美がかなりの走りをしそうだ。
前回2位のスズキ、好調を伝えられる日本生命、永山育美の移籍に加えて核となる選手の育ってきたデンソー、山口衛里・松尾和美・松岡理恵と3人のマラソン日本代表を擁する天満屋、岡本治子・小崎まりの世界選手権1万m代表2人を押し立てるノーリツ、山下佐知子監督の手腕が発揮され始めた東日本3位の第一生命、そして1万m日本記録保持者の川上優子を擁する九州の名門・沖電気宮崎など、有力候補は10指に余る。優勝候補でもちょっとブレーキがあれば、10位以下に落ちてしまう厳しい状況なのだ。
しかし、ここに来てどのチームも故障者が出てきている。
三井住友海上は世界選手権マラソン銀メダルの土佐礼子が、詳しい状況はわからないが11月中旬時点で故障していた。資生堂はエスタの貧血からの回復状況次第。11月28日の5000m記録会では15分51秒83だった。レース後は「問題ない」とコメントしていたが、タイムを見る限り…。積水化学は99年ユニバーシアード5000m金メダリストの上野理恵が、故障で秋のレースに出ていない。東海銀行は、淡路島こそ出場したが、大南姉妹が故障の影響で完全ではなかった。
優勝候補のAランクチームがこの状態なら、その他のチームにチャンスが出てきそうだが、その他のチームも故障者がいる。スズキは2年連続して3区で快走した松岡範子が、やはり秋のレースをキャンセルし続けている。同社のWEBサイトによれば、永田勝利総監督は、松岡を3区に起用できないケースも想定しているという。デンソーの永山も、軽い故障だが淡路島を欠場。沖電気宮崎の川上も、九州予選で7カ月ぶりにレース復帰を果たしたが、完調とはとてもいえない状態。世界選手権マラソンを故障で辞退した岡本幸子は、九州予選に間に合わなかった。
と、ここまで原稿を書いていたら、高橋尚子欠場のニュースが入ってきた。
「高橋尚子は今週4日火曜日の練習後に体調不良を訴え、大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)の疑いにより、同日夜より千葉県内の病院に検査入院致しました。なお、退院の日時については現在のところ、未定となっております。」(プレス・リリースを原文のまま掲載)
三井住友海上は3区の渋井でドカーンと行くことができれば、5区の土佐が多少悪くても、坂下奈穂美、山本波瑠子と駒が多いだけに、なんとかなりそうな気がする。土佐が欠場するようだと、他チーム次第ということになる。
万全のチームの方が少ない状況となってしまった。だが、これは、国際大会など別の目標とする大会がある実業団チームの、避けては通れない部分なのである。国際大会で戦える選手を輩出することが実業団チームの目標であある。だが、駅伝で結果を出さなかったら、企業はなんのために選手を雇っているのかわからなくなる。難しいことだが、両立が求められる。そして、両立をしているチームが生き残り、国際舞台に飛躍するチャンスを得るのである。