2001/4/8
日体大vs中大定期対抗速報 
最優秀選手該当者なしの中で
目についた選手たち


男子リザルツ(対抗3位+オープンで目についた選手)
女子リザルツ(       〃         )
男女対抗得点
男子4×400 mRラップタイム


 標記大会が4月8日、日体大健志台陸上競技場で行われた。
●松延&藤田の両OBが快走
 ともにオープン参加だったが、男子400 mの松延修(宮澤グループ)と藤田あゆみ(東京陸協)の2人が、OBとして後輩に威厳というか、卒業後に競技を続ける選手はかくあるべき、とでも言っているような迫力あるパフォーマンスを見せた。
 松延は46秒64と、99年に出した46秒68の自己記録を、シーズン初めのこの時期に更新。大学3年から続いている46秒台を早くも5年連続とした。
 藤田は、対校戦の中にオープン参加だったが力の違いを見せ、13秒76で圧勝。彼女の13秒51(高校歴代2位)は95年10月に行われた地元・福島国体。その記録を大学4年時に破ったのも国体。4年ぶりの自己タイはやはり秋の日本選手権だった。どちらかというと、“秋女”のイメージがある。4月にこれだけのタイムを出したことはないのではないかと思い、調べたら昨年の群馬リレーカーニバルで13秒64(+0.2)を出していた。だが、好調なシーズンインであることは疑いようがない。
●充実の日体大男子短距離
 最優秀選手該当者なしの事実が示すように、全体として低調に終始した観は否めない。そんななかで、今年もやりそうだと思わせたのが日体大男子短距離勢だ。
 昨年の関東インカレ4×100 mRは、早大、東海大の“2強”を追って39秒88で3位。その後、関東3位のメンバーに入れなかった田島宣弘が力をつけ、秋の日本インカレでは100 m単独種目で8位に入賞。関東インカレ200 m7位の奈良賢司(ベスト20秒99)と柱が2本できた。さらに、今日の200 mで21秒25と自己記録を大幅に更新した瀬野晃章、21秒22がベストの佐藤雄哉も、今日は21秒28と瀬野と僅差の勝負を展開。
「39秒台前半は出せる」と水野増彦コーチ(かつての名ハードラー)は、99年に井盛雅(100 m10秒26)を2走、奈良を4走に起用して出した39秒56の日体大記録更新へ、手応えは十分といった様子。今年も早大、東海大が2強の構図は変わらないが、どちらかを食う勢いを感じさせるのが日体大だ。
●男子400 mHの中大・星野に感じた可能性
 男子400 mHは昨年49秒台に突入した、今年中大5年生(?)の岩崎淳の楽勝かと思われたが、中大キャプテンの星野晃志(4年)が好走し、ラストで追い上げた岩崎を52秒01の同タイムというきわどい勝負ながら制した。
 星野は、好選手を次々に輩出している成田高出身。大学2年時にすでに50秒78を出しているが、昨年は51秒55にとどまっていた。この日は110 mHでも14秒77で4位。この種目でも成田高3年時の97年に14秒69(高校リスト6位)を出している。400 mHの高3時の記録は52秒37で高校リスト13位。
 だが、インターハイでは110 mHは準決勝落ちで400 mHが7位。成田高が中嶋博之(日大)、沢野大地(日大)、上田啓司(日体大)らを擁し、総合優勝を果たした年だ。山村貴彦(日大)&寺野伸一(日大)の清風と激しい争いは、印象的だった。星野は大会前のリストで8位(14秒83)だった110 mHではなく、23位(53秒16)だった400 mHで、貴重な得点を叩き出したのだ。4年前も、成田高でキャプテンを務めている。
 昨年は、2年時に比べればやや低迷したといえるのかもしれないが、今年はやりそうな勢いを感じた。体格にも恵まれ、スピードもある。持久力を裏付けるデータは持ち合わせていないが、49秒台(あるいはそれ以上)は出せる素材と見た。
 敗れたとはいえ、岩崎も決して衰えたわけではない。それどころか、ユニバーシアード・イヤーの今年に賭けるために留年し、北京に夢を馳せている。千葉佳裕(順大)ら強敵も多いが、中大勢2人がユニバーシアード代表になる可能性もある。
●室永、遠藤、そして日体大選手の明るさ
 ユニバーシアード候補では、男子やり投で73m08の記録を持つ室永豊文(中大)が、無難に勝ったが記録は66m32。
 この手の大学対校戦は(昨日の東京六大学は違うが)、トラックのすぐ外側で選手を間近に見られる。女子800 mの遠藤瑠美子(中大)は近くで見ると本当に細くて、陸上をよく見ていない記者なら「折れそうなくらい」と形容しそうだが、折れそうには見えなかった。折れそうどころか、鋼のような強靱さを感じた。だが、実際の骨密度など、科学的なデータを踏まえているわけではないので、実際はどうかわからない。
 最後に、ホスト校の日体大勢の積極的な姿勢について触れておきたい。
 特に短距離勢だが、オープン参加枠を生かし、多種目に積極的に出場していた。4×100 mRメンバーが、直後に行われた4×400 mRにも、練習代わりにオープン参加したのには驚かされた。しかし、コーチの指示でいやいや参加しているという様子はなく、「もう1本出るんだよー」と選手同士で口にはしても、表情は明るく、楽しむ雰囲気さえ醸し出しながら出場していたのが、印象に残った。
 中大でも中・長距離の野口由香里が、2種目で積極的な走りを見せていたし、跳躍の吉田文代も、記録こそ低かったが2種目に出場。この時期の試合は1本に集中して好記録を残す方法もあるかもしれないが、多種目で試合スピードに慣れていくことも、いいのかもしれない。

男子4×400 mRラップタイム
日体大
47.6
47.7
47.9
47.6