2001国際千葉駅伝
区間エントリー決定!!
男子は前半逃げるカナダを、日本が後半つかまえられるか?
女子は実績・記録で優るエチオピア&ロシアと、三つ巴の大激戦か?

男子
■1区=10km
 カナダがエースのシーブラーを1区に起用した。5000m13分13秒96、1万m27分36秒01は一頭地を抜いている。しかし、かつて国内の駅伝で日本選手がシーブラーに勝つシーンもあった。日本代表は松宮兄弟の兄・松宮隆行(コニカ)だが、先の東日本実業団対抗駅伝では、4区(17.4km)を50分11秒で走破し、ジェンガ(ヤクルト)を9秒抑えて区間賞を獲得。藤田敦史(富士通)には59秒差をつけた。20kmに換算すると57分40秒台の快記録となる。今の松宮ならシーブラーに対抗できそうな勢いがある。
 豪州のベザベーと南アフリカのスコサナが1万m27分50秒台の記録を持ち、英国のフィンチが5000m13分20秒台。ケニアのガチウリのベスト記録が不明なのが不気味だ。
■2区=5km
 中距離ランナーを起用した国が多い。シドニー五輪1500m9位のメイオック(英国。自己記録3分31秒86)が最も実績があるが、カナダも3分33秒94のフッドを配した。豪州も3分40秒09のスティーブンソン。南アフリカは5000m13分38秒57のマテレーン。これらスピードランナーに岩佐敏弘(大塚製薬)がどこまで太刀打ちできるか。トラックの1500mではかなわないだろうが、駅伝の5kmは違うところを見せてくれるだろう。
 それに、1区からの流れもある。1区でカナダと日本がリードしていれば、その2チームがそのまま行く可能性が高い。英国が1区で僅差なら、メイオックも目前に選手がいれば頑張ってしまうかもしれない。日本も含め層の厚い国がそろって、2区にスピードランナーを持ってきた。1・2区で流れに乗ったチームがその後の展開を有利にできるのは自明のこと。勝負のポイントとなるかもしれない区間だ。
■3区=10km
 ここでも、カナダが1万m28分01秒06のケーリーと、強豪チームの中では1万m自己記録の最もいい選手を配すことができている。日本は3000mSC世界選手権代表で、20kmもこなす岩水嘉孝。1万mの自己記録は28分20秒台だが、ケーリーに食い下がるのはできそうな勢いがある。
 豪州と南アフリカは5000m13分30秒台、英国も1万m28分30秒台の選手だから、岩水の方が力的には上かもしれない。問題は、1万m27分28秒05と参加選手中最もいいタイムを持つキマニ(ケニア)だ。ケニアは2区が5000m14分02秒05の選手。この記録が信じられるものなら大したことはないが、実際はもっと強い選手の可能性もある。そうなると、3区でケニアが浮上してくる可能性も捨てられない。
■4区=5km
 ここまで来ると、豪州、英国、南アフリカは選手の力が落ちてくる。カナダだけが5000m13分38秒31のディアーを起用できている。日本はマラソン日本最高記録(2時間06分51秒)保持者の藤田敦史(富士通)。5kmの距離でどれだけ力を発揮できるかがポイントとなろう。
■5区=12.195km
 カナダが5000m13分45秒0のブルジュオワ。5000mのベストタイムは同じくらいだが、12km強の距離を考えたら日本の油谷繁(中国電力)の方が粘れそうだ。英国がここに1万m27分台のエバンスを持ってきた。3区、4区で引き離しておきたいチームだ。

 カナダに、シーブラーで離されても(できれば松宮に食い下がって欲しいが)、2区の岩佐で詰められるかどうか。仮に前半で追いつけなかった場合、アンカーの油谷で逆転できるかどうか。最後まであきらめないレース展開を期待したい。

女子
●1区=10km
 メンバー的に見てエチオピア、日本、ロシアを“3強”と言って間違いなさそうだ。だが、1区の実績ナンバーワンはルーマニアで、世界選手権1万m5位のボテザンをもってきた。しかし、日本もタイム的にはほぼ同じ(少し上回っている)福士加代子(ワコール)で、今、日本で最も勢いのある選手。差をつけることはあっても、大きく遅れることはないだろう。エチオピアは1万m32分05秒00のアマン、ロシアは5000m15分32秒59のロマノワ。2区のことを考えたら、日本としては1区でリードを奪っておきたい。
●2区=5km
 エチオピアはシドニー五輪5000m7位のキダネ、ロシアは世界選手権5000m金メダルのエゴロワと、世界のトップランナーを配置してきた。日本も5000m15分22秒70、3000m室内日本記録保持者の川島亜希子だが、正直言って格が違う。この区間で30秒前後負けるのは覚悟しなければならない。1区でいい流れに乗り、2区で川島が力を発揮する状況(あるいは両チームが焦るような状況)を作っておきたい。
●3区=10km
 ここはロシアが強い。世界選手権1万m10位のビクタシェワ(ベスト記録31分30秒6)が陣取っている。エチオピアのエルケッソには、日本の岩本靖代が勝てそうな感じ。世界ハーフマラソン選手権ではエルケッソ20位、岩本9位。自信を持ってレースを進められる。ここでいかにエチオピアに差をつけられるかがポイントとなろう。
●4区=5km
 日本はここに渋井陽子を起用した。脚に不安があるからという理由だが、練習ができていないわけでもないし、万が一を考えてのことだろう。タスキを持ったら、いつもの勢いで飛び出して行くに違いない。しかし、エチオピアは世界選手権5000m13位で15分06秒08の記録を持つデンボバで、ロシアは15分17秒35のスクボルツォワとなかなかの選手。確かにデンボバも実績があるが、2人とも渋井の勝てない相手ではないような気がする。ここも、勝っておきたい区間だ。
●5区=4.767km
 日本はここに、世界選手権1万m9位の岡本治子を持ってきた。が、この区間への起用ということは、絶好調ではないのかもしれない。実際、11月3日の淡路島女子駅伝では2区で区間8位だった。ロシアは世界選手権1万m6位のペトロワ、エチオピアは5000m15分08秒36のデファル。苦戦をするかもしれない区間だ。
●6区=7.428km
 日本はシドニー五輪5000m代表で、先の東日本実業団対抗女子駅伝でも3区(10km)で渋井に続く区間2位と好走した田中めぐみ(あさひ銀行)と、競り合いになっても勝てる選手を配した。ところが、エチオピアがなんと5000mシドニー五輪4位、世界選手権銅メダルのワルクをここまでとって置いた。それはないだろう、と言いそうな選手。正直、アンカー勝負は避けたい相手だ。ロシアは5000m15分38秒53のヅボワと、やや落ちる。

 日本としては、ロシアにはアンカー勝負でも勝てるので、2区で40秒とか50秒、差をつけられない限り、いい勝負ができそうだ。エチオピアには1区、3区、4区でリードを奪って(ロシアに対しても同様であるが)、30秒以上の貯金がある状態でアンカーにタスキを渡したい。
 トラックの実績とタイムだけの比較では、今回、日本は苦戦を免れない。しかし、言い古された言葉ではあるが、駅伝は個々の戦力比較で勝敗が決まるわけではない。実際にタスキを持ってどんな走りができるか、なのである。仮にその区間で負けても、後の走者のことを考えて、あきらめずに1秒を大事にして走る。その積み重ねができたチームが勝つのではないだろうか。


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