2001国際千葉駅伝
各国代表決定

女子の注目は“ヌデレバvs.渋井”の“世界最高対決”
日本女子の10連覇に立ちはだかるロシア&エチオピア
男子は混戦予想だが…


 2001国際千葉駅伝の出場メンバーが11月13日、日本陸連から発表された。
 最大の注目は、今年になって“最高記録”をマークした2人だ。女子マラソン世界最高記録(2時間18分47秒)を10月のシカゴ・マラソンで出したキャサリン・ヌデレバ(ケニア)と、1月の大阪国際女子で初マラソン世界最高(2時間23分11秒)を出した渋井陽子(三井住友海上)。
 2人の1万mのベスト記録はヌデレバの32分17秒58に対し、渋井は31分48秒89。渋井に軍配が上がっているが、ヌデレバはシカゴの15km〜25kmを、マラソンの途中を32分09秒で走っているのだ。トラックでこの記録しか残っていないのは、ロードレース(賞金の出る)中心にレースに出場してきたからだ。31分前後の記録を出せる力はあると見られていたが、シカゴ・マラソンの1週間後に10kmロードレースで31分02秒をマークした。
 一方の渋井も、駅伝の10km区間では31分0秒台は何度となく出している。11月3日のの東日本実業団対抗女子駅伝でも31分15秒と絶好調。1万mの日本記録(31分09秒46)更新も現実的な目標となっている。
「20分を破るイメージはまだないけど、いつか破らせていただきます。いい刺激になりました。同じ日本人で、できないことはない。あ、破るのは世界記録のほうですよ」
 東日本実業団女子駅伝のレース後、マラソン世界最高記録の話になると、渋井はこう言い切った。
 新聞報道によると、ヌデレバは1区(10km)への出走が有力視されている。渋井も「長距離区間と言われている」ということから、1区か3区の可能性が高い。直接対決が見られる確率は50%ということになるが、渋井の“1人でガンガンいける”特長を生かすとなると、3区になるのだろうか?

 もう1人の10km区間候補は福士加代子(ワコール)。世界選手権代表入りは残念ながら逃したが、その後は5000mの日本歴代2位をはじめ、秋のトラック&駅伝では負け知らず。渋井との直接対決は見られないが、違う区間でっどちらが活躍できるか、間接的な火花が散りそうである。

 日本女子は1万m31分台が5人、残りの1人も5000mシドニー五輪代表の田中めぐみ(あさひ銀行)と、まったく隙のないメンバー。だが、ロシアとエチオピアも侮れない。侮れないどころか、10連勝を目指す日本の前に大きく立ちはだかりそうだ。主要外国選手一覧表にも掲載したが、ロシアは5000m世界選手権優勝者のエゴロワと、同大会1万m6位、10位の3選手。残る3人との差が大きいのが不安材料というか、日本にとってはつけ入ることができる部分である。だが、もしも主力3人が実力通りの走りをしたら、日本の苦戦は免れない。
 エチオピアはシドニー五輪5000m入賞者2人を送り込んできた。残りのメンバーも世界選手権、世界クロスカントリー選手権、世界ハーフマラソン選手権に出場している経験豊かな選手たち。主力3選手以外に不安のあるロシアに比べ、全体的に隙がない。むしろ、ロシアよりも手強い存在となりそうだ。

 男子の外国勢は、女子と比べるとビッグネームはいない。日本に4連勝のチャンスは大いにある。
 世界選手権マラソン5位の油谷繁(中国電力)、マラソン日本最高記録保持者の藤田敦史(富士通)の同学年コンビに加え、岩水嘉孝(順大)、池谷寛之(本田技研)、岩佐敏弘(大塚製薬)、松宮隆行(コニカ)とトラックのスピードランナーが揃った。
 岩水は3000mSCで世界選手権に出場し、駅伝でも20km区間を難なくこなしている。松宮はコニカの全日本実業団駅伝優勝の立役者。兵庫リレーカーニバルでは日本記録保持者の高岡寿成(カネボウ)に肉薄した。問題は、10km以上の区間で外国勢に対し“ガツん”といける選手がいるかどうか。藤田が故障から復帰して間もなく、油谷は短い距離での爆発力はない。その時点で、調子のいい選手を長距離区間に起用することになりそうだ。混戦を抜け出せるかどうかは、レースが終わってみなければわからない。


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