2001国際千葉駅伝
かつて、鈴木博美と高橋尚子も走った
千葉県選抜チームに注目の千葉と吉田


 千葉県選抜チーム。なんで国際駅伝に県選抜チームが出るのかなどと、堅いことは言いっこなし。地元が盛り上がるのなら、それでいいではないか。しかも、千葉県には富士通、積水化学など実業団の強豪チームがあり、また、市船橋高などジュニアにも有望選手が多い。2年前の99年大会では、男子1区で三代直樹(富士通)が各国の代表を抑えて区間賞を取っているのだ。千葉県選抜チームが参加することの意義は大いにある。

 さて、今年の注目は女子の千葉県選抜チーム。あの千葉真子(佐倉AC)が国際千葉駅伝に帰ってくる。宇治高(現立命館宇治高)から旭化成に入社した1年目に3区で区間1位(32分03秒)の快走を見せ、日本チームを2位から1位に押し上げた。この直前には1万mでジュニア日本記録を更新(その記録を今年、福士加代子が更新した)。
 まさに乗っている時期で、翌96年は1万mで日本新(同じ年に鈴木博美が更新)、アトランタ五輪5位入賞と快走を続けた。その年の国際千葉駅伝では1区で30分55秒と、今も区間記録として残る激走だった。さらに、翌97年のアテネ世界選手権1万mでは銅メダルを獲得した。

 千葉にとって95年後半から97年は、まに絶頂時。その後、故障が長引いて不調に陥ったが、この春から小出義雄監督門下となり再起を図っている。準備不足を承知で出場した8月の北海道マラソンで2時間30分39秒で優勝。全盛時の走りにはまだほど遠いが、相性のいい国際千葉駅伝が飛躍のきっかけとなれば、言うことなしである。
 ただ、当時の千葉は完全なトラック・駅伝型のスピードランナーだった。ところが、北海道で見せた千葉の走りはマラソン向きのフォームに変わっていた。そして今も、マラソンを目指した練習を積んでいるはず(一部報道では、来年1月の大阪国際女子マラソンに出場予定とか)。95、96年に戻っているのかどうかを見るのではなく、“今の千葉”がどう走るかに注目したい。

 もう1人の注目選手は、積水化学入社2年目の吉田香織だ。小出監督がアテネ五輪のマラソン代表を目標にさせている素材だ。千葉とは対照的に、ハーフマラソンなど長めの距離で力を発揮し始め、昨年の全日本実業団駅伝では早くも3区(10km・前半のエース区間)を任されている。
 千葉選抜では過去、90、91、92年と鈴木博美(当時リクルート)がアンカーを務め、高橋尚子(当時リクルート)も95、96年と出場している。つまり、国際千葉駅伝の千葉県選抜チームから、マラソンの世界選手権金メダリストと、オリンピック金メダリストが生まれているのだ(さらに言うなら、1万mの前日本記録保持者と、マラソン前世界最高記録保持者)。
 国際千葉駅伝は若手選手にとってもゲンのいい大会。千葉と吉田が1区と3区の10km区間を受け持つ可能性が高い。千葉にかつてのように30分台の走りを期待するのは酷かもしれないが、各国ナショナルチームにとって千葉県選抜は、イヤーな存在になりそうだ。

 ちなみに、千葉県選抜チームで区間賞を取ったのは2年前三代だけ。区間2位も2人しかいない。鈴木や高橋といった超大物ではなく、96年大会4区で当時市船橋高3年だった秦由華と、98年大会4区の熊谷順子(セイコーインスツルメンツ)である。
 秦はその1年4カ月後にリスボン・ハーフマラソンで1時間09分48秒のジュニア日本最高をマーク。世界クロスカントリー選手権でも、当時全盛だった埼玉栄高勢に1人混じって奮闘していた。三井海上(現三井住友海上)には今回初出場の渋井陽子と同期入社。頭角を現すのは渋井より1歩も2歩も早かったのだが、その後は度重なる故障(手術にも踏み切った)に見舞われ続け、10月いっぱいで同社を退職。今後は新たな道に進むという。海外遠征でも発揮していた行動力と、ここ数年の苦しみに耐えた(と思われる)精神力が、新天地でも活かされるに違いない。

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