2002/4/28兵庫リレーカーニバル   男子成績一覧(170kb) 女子成績一覧(160kb)
男女1万m
ガソとの練習でレベルアップ、坪田は粘ってA標準に迫る好走
ラストで「馬になった」(?)福士が小鳥田に競り勝つ


 男子は近年の試合によく見られる光景だった。国内チーム所属の外国選手が大挙して先導し、少数の日本選手がそれについた。3000m(8分14秒)を過ぎると外国7選手に日本選手は坪田智夫(コニカ)だけ、という展開。4000mを過ぎるとその中からマイナ(トヨタ自動車)、ガソ(コニカ)、ガシュウリ(愛知製鋼)が抜け出す。坪田は必死でこらえたが、徐々に離されていった。
 5000m通過はトップが13分34秒で、坪田が13分45秒。坪田がすごかったのは、ここからズルズル後退せず、粘りに粘った点だ。いつしか、3番手に上がり、9000mは25分05秒の通過。27分台は間違いなく、あとはどれだけA標準に近づけるかだったが、27分51秒85で2秒85届かなかった。

坪田コメント
「5000m通過が13分45秒だったので、残り5000mを14分かかっても27分台は出せるかなと思いました。目標は、気持ちではA標準(27分49秒00)でしたが、27分台が出たことで結果オーライです。でも、ゴールして51秒でしたから、惜しいことをしたなと感じています。」
(兵庫県高校出身選手で初めてなのは)知りませんでした。ビックリです。
 27分台が出たからこれでトラックを目指すというわけではなく、マラソンに向けてどうしても27分台を出しておく必要があると感じていたんです。大きな武器になりますから。
(27分台が出たのは)全日本実業団ハーフのあと、うまくスピード練習に移行でき、練習がうまく積めたからだと思います。例年、この時期がよくなかったんですが、ザカヨ(ガソ)と質の高いトラック練習ができたからだと思います。あいつにペースを落としてもらったから、同じ練習ができたのです。
 今年度のスケジュールは、もう決定しています。前半はトラックでA標準突破を狙います。アジア大会は、あまり深く考えていませんでしたが…。下期のことはまだ流動的ですが、びわ湖あたりでマラソンに挑戦しようと思っています」

 コニカの酒井勝充監督は、1万mで27分30秒くらいまでタイムを縮めてからのマラソン挑戦でもいいと考えているようで、秋のアジア大会1万mにも出場させたい意向だという。マラソンを早く経験したいと考えているのは坪田の方のようだ。初マラソンの目標タイムは「2時間ヒト桁台」。さらに具体的なタイムを聞いてみたが、明言しなかった。
 このレースで優勝したガソ(コニカ)は、「27分台を切れそうか」との質問に、「もちろん」と即答。「ケニア選手権で英連邦大会の代表権を取りたい」と、すでにマラソンで代表に決まっている先輩ワイナイナ(コニカ)との揃っての出場に意欲を見せた。

 女子は序盤、野口みずき(グローバリー)が引っ張ったがそれほどペースは上がらず、2500m付近で福士加代子(ワコール)が先頭に立った。4400mではすでに集団は6人に絞られていた。福士、小鳥田貴子(デオデオ)、岡本治子(ノーリツ)、野口、田中めぐみ(あさひ銀行)、真鍋裕子(四国電力)というメンバー。5000mは16分14秒とスローな展開だったが、福士のペースアップで徐々に人数が絞られていき、終盤は野口、福士、小鳥田の3人に。
 残り800 mで野口が遅れると、最後の周回のバックストレートで小鳥田が福士の前に。これまでの福士はラストに強い印象はなかったが、今日はラスト1周を68秒でカバーし、最後の直線で小鳥田を逆転した。

福士コメント
「ラストで競り勝ったのは生まれて初めて。あっ、でも1回だけ、高*のインターハイ東北大会で胸の差で勝ったことがあります。(今日のラスト1周が)68秒ですか。すごい! (ラストが強くなったのは)何ででしょう。余力が残っていたからだと思いますが。
 去年のこの大会で小鳥田貴子さんが勝ったレースを、ここで見ているんです。だから今日も、ラスト2周で行くのかなと思っていました。(実際にラスト1周で)前に出られても、“いけるだろう”と感じていましたし、(ホームストレートで)抜いたときは気持ちよかったですよ。
 (ラストが強くなったのは)世界クロカンに行ったからですかね。コースが競馬場でしたから、馬(の動き)をイメージして走っていました。今日も最後は、“馬だ馬だ”と思って走っていました」

 福士のコメントの最後の方は、冗談だったのか本気だったのか、判断が難しい。ワコールの永山忠幸監督は、「今年はいろんなペース、レース展開に対応できるようにしたい」と、口にしていたことがあったが……。
 このレースには日本記録保持者の川上優子(沖電気宮崎)も出場していた。3月の全日本実業団ハーフに優勝し、1万m30分台突入先陣争いに再度加わってきた。しかし今回は、優勝争いに加われず5位。最後は追い上げを見せたが、岡本との最後のデッドヒートも競り負けた。広島日出国監督によれば、全日本実業団ハーフのあと、急性腸炎で練習ができない期間があったという。

 ラララの休部により旭化成に移籍した(チーム全体が)藤川亜希は、旭化成のユニフォームを着て走る2度目の試合。故障があったため、1万mは昨年の水戸国際以来というレースだった。32分56秒79で自己記録にも40秒以上届かなかったが「しっかり練習を積んで(名門チームに)恥じない走りをしたい」と、再出発を期していた。

野口みずきコメント
「世界ハーフへの調整として出場しました。まあまあの走りだったと思います。いい感じでは練習できていましたが、スローペースにはまってしまった感じです。(ロンドン・マラソンのラドクリフの後半は)ちょっと信じられない走りです。去年の世界ハーフでもすごかったですけど。最後の7〜8kmで1分離されましたから」

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