2002/4/21 群馬リレーカーニバル第2日       決勝記録一覧男子 女子
4種目で自己新の平戸が学生歴代2位で快勝
日本選手権の七種競技は激戦予想


 一昨年は中田有紀が日本新を出し、昨年は6月に佐藤さよ子、10月に中田が日本新の応酬を見せた七種競技が、さらに熱くなってきた。
 群馬では平戸安紀子(筑波大)が5559点(日本歴代5位)と、筑波大の先輩・菊川恵子が99年にマークした5573点の学生記録に迫る好記録をマークした。80年代後半、七種競技で一時代を築いた磯貝美奈子を上回り日本歴代5位に進出した。

 やり投終了時点では、最後の800 mで2分28秒台を出せば学生新は確実という情報が、記者たちの耳にも届いていた。平戸の800 mのベストは、昨年の日本インカレでマークした2分28秒67。学生新は非常に微妙なところだったが、残念ながら今回の800 mは2分30秒20で、記録更新はお預けとなった。

 しかし、競技後の平戸に暗さはなかった。
「昨日の4種目が終わって、学生記録までいけるかもしれないと思いましたが、まさかこの試合でそんなにいくとは思っていませんでした。去年はこの大会で5000点(5033点)しかいかなくて、シーズン最初の最初の試合を大事にいこうと考えていました。練習メニューも(思ったように)こなせていましたし、脚が動いていたので“走れる”という感触はありました」
 群馬の平戸は以下のように、4種目で自己新を出していた。

100 mH 14秒66(887点) 自己記録14秒43
走高跳  1m63(771点)=自己新
砲丸投  14m76(845点)=自己新
200 m  25秒40(850点)=自己新
走幅跳  5m69(756点)=自己新
やり投  44m81(760点) 自己記録46m50
800 m  2分30秒20(690点)自己記録2分28秒67


 長崎南高時代は全国高校混成で優勝しているが、砲丸投でもインターハイ3位と元々投てき種目を得意とする。「高校時代は投てきで稼いでいただけ」と、本人が述懐するくらいだ。今回も、圧巻は砲丸投のトライアルで、15m50付近に砲丸を落下させていた。
 跳躍2種目で自己新が出ているのにもかかわらず、今後の課題は「跳躍をもうちょっと」と言う。もう少し出せる感触があるのだろう。

「まだ日の丸をつけていないので、アジア大会に出たい」と目標を話す平戸。「6000点もちょっと見えかけてきました」と感触を得ている。
 筑波大の先輩でもある佐藤は、「左ヒザと左大腿の裏を痛めていて、1週間前まで出場を迷った」(佐藤)という状態。2種目めの走高跳で軽い捻挫をしてしまったことも加わり、砲丸投まで行ってから棄権した。
 日本記録(5862点)保持者の中田は今回5427点で2位。「3月に左の大腿とお尻の中間あたりに痛みが出て、3週間練習ができませんでした。その分後ろにずれています。後戻りしなければ、日本選手権には間に合うと思います」と、本田陽コーチ。
 この2年間で日本記録を更新し合っている中田と佐藤だが、片方が日本記録を出した試合で、もう一方が好調だったことはない。つまり、がっぷり組み合ったことがないのだ。そのあたり、選手ももちうろんわかっていて、「私は、日本選手権に合わせます」と佐藤はきっぱり言ってのけた。
 この2人に平戸が加わり、今年の日本選手権七種競技は、かつてない激闘が繰り広げられそうだ。

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