2002/4/20 群馬リレーカーニバル第1日               決勝記録一覧男子 女子
春季サーキット初の女子3000mSC
水濠の規格変更後第一戦で山崎転倒、日本記録更新ならず

 2005年世界選手権での実施も予想される女子3000mSC。近年、レディース陸上などで実施されてきたが、ついに春季サーキットにもお目見えした。
 日本記録保持者の吉松久恵(テレビ朝日)こそ欠場したが、昨年の全日本実業団対抗女子駅伝4区区間賞の山崎智恵子(天満屋)が初挑戦。
「練習の一環ですが、不器用な子じゃないですからね。日本記録も狙えると思います」と、レース前に山内コーチは話していた。
 5人がエントリーしていたが、スタートしたのは山崎と石井美幸(日立多賀)の2人。最初から山崎の独走となり、記録だけが相手、という展開となった。山崎のフィニッシュ・タイムは10分39秒97で、日本記録には11秒15届かなかった。惜しかったのは、1周目の水濠で転倒したことだった。

 女子の水濠は昨年まで、障害を男子より60cm水濠に近く設置するルールだった。ところが国際陸連は今年から、男子と同じ位置という規定に変更した。男女で位置を変えるのは、設備面で対応できない国もあるとの判断だったのかもしれないが、水濠からの距離が遠くなるわけだから当然、水深の深い部分に着地することになる(写真)。選手にとっては跳びにくくなる変更だ。ルール変更がなかったら山崎の転倒もなかったかもしれない(やっぱり、転倒していたかもしれない)。
 条件が変更されたのだから、厳密に言えば昨年までの記録とは、別だてで考える必要がある。もしも国際陸連が「昨年までの記録とは別」との見解を打ち出せば、山崎の記録が日本記録になる可能性もあるが、ルール変更の際にそのような注釈はまったく出ていないので、昨年までの水濠で走った記録も、今年の水濠で走った記録も、同列に扱われるのだろう。
 陸上競技の記録の扱いは、そこまで条件の厳密性を求めないことが多い。現に、99年に女子のやりの規格が変更された際、国際陸連は「七種競技の記録は従来の記録とは別だて」といったん決定しながら、その後、「従来の記録と同列に扱う」という見解に変更したことがある。つまり、七種競技の歴代リストには、99年以降の記録とそれ以前の記録が混在するのである。

 女子3000mSCはその歴史が始まったばかり。今後、日本記録が更新されていくのは間違いないので、今回のルール変更が問題となることはないだろう。ただ、個人的な希望としては、まずは山崎に記録更新をしてもらいたい。

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