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2002日本選手権第1日予選特集
予選にもドラマがいっぱい
男子200 mは中川兄弟が、女子400 mは福島大勢が明暗

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 予選でドラマがあったのは男子200 m。中川兄弟と早大の現役&OB選手がその役者を務めることになった。予選は3組あって2着+2が決勝進出条件。1組目は宮崎久(東海大)、伊藤辰哉(富士通)が1・2位。3位に前年2位の大前祐介、4位に中川裕介と早大の“2年生ゆうすけコンビ”が続いた。この2人が「プラス」で進出できるかどうかのボーダーラインに置かれたわけである。タイムは21秒17と21秒29(−1.7)。現役2選手の頑張りで、早大OBの五輪選手・馬塚貴弘(スズキ)が5位で予選落ちが決まってしまった。
 予選2組は関東以外の学生選手が上位を占めた。石川裕司(三重大)と林直也(大体大)が1・2位。3位・八重樫淳(岩手大)のタイムは21秒56(−1.2)で、この組から「プラス」が出る可能性はなくなった。
 予選3組は福長正彦(東学大ARC)に続き、早大OBの田村和宏(セコム上信越)が2位。久しぶりの好走で決勝進出を決めた。田村に続いたのも早大OBの中川博文(三洋信販)で、1組の中川裕介の兄。この中川兄が21秒19(+0.5)で大前の次の位置に入り、プラスの1番目が大前、2番目が中川兄と決定した。後の組で走った兄が好走したため、弟が決勝に進めなくなるというドラマが生まれたわけである。ただし、3組4位の吉野達郎(東海大)が21秒26で走ったため、順番としては中川兄がプラスの2番、吉野が3番、中川弟4番となった。
 それでも、決勝進出者8人中3人を、早大OB&現役が占めた。

 男子1500mでは1組目の4・5位の選手が明暗を分けた。1組目では先頭をハイペースで引っ張るタイプ(といっても、昨年までは高校生だった)の田子康弘(立命大)が自重し、スローペースに。ラスト勝負で小林哲也(福田組)、徳本一善(日清食品)、辻隼(ヤクルト)の社会人の強豪が3位までを占めたが、4位に関東インカレ中距離2冠の濱砂康輔(順大)が入り、田子は0.28秒差の5位。
 この種目は予選が2組あって4着+4が決勝進出条件だったが、1組目はスローペースがたたり「プラス」は全て2組目から出ることとなったのである。

 女子400 mは男子200 mと似たケースだが、微妙に違った。予選は2組あって3着+2が決勝進出。1組目4位の日色さおり(東学大)は54秒99、5位の柴田こずえ(東稜T&F)は55秒99のタイム。日色のタイムを上回るのは実際問題厳しそうだったので、2組目の2組の4・5着の選手が柴田のタイムを上回れば、4位の選手が決勝進出、5位の選手が落選と自動的になる。
 その2組目でともに柴田の記録を上回り、4位に入ったのが竹内昌子、5位が坂水千恵の福島大コンビ。竹内が3年で坂水が2年だったのは、(同じチームで決勝進出者の最後の枠を争うという)不幸中の幸いだった、と普通は考えるが、当事者たちはそんな先輩後輩の枠にとらわれた考え方はしていないかもしれない。いずれにせよ、将来この2人が日本選手権のワンツーをとるなど揃って活躍すれば、今年の日本選手権女子400 m予選がエピソードとして紹介されるだろう。
 女子400 m決勝進出者中人が福島大の学生で、1人が福島大OB(吉田真希子)。50%占有率とは恐れ入る。

 女子1500mも男子同様2組4着+4で、こちらは仲良く各組2人ずつが決勝に進出。その結果、2組2位の那須川瑞穂と同組5位の山口麻衣子の積水化学コンビはともに決勝進出。逆に、1組7位の尾崎朱美と2組7位の市川順子の資生堂コンビは、ともに予選落ちの憂き目に。
 尾崎と市川が将来揃って活躍することがあれば、女子400 mの福島大コンビと同様、この日のエピソードが紹介されるだろう。