2002/6/15 アコム・ミドルディスタンスチャレンジ第1戦
世界ジュニア出場に意欲を見せる田子
ジュニア日本記録にも不満顔
1500mの通過は3分46秒1
1500m通過の公式記録が3分46秒1と聞いて、田子康宏(立命大1年)は落胆した表情を見せた。関西インカレでマークしたばかりの3分47秒40の自己記録を、大幅に更新したのだが…。
「世界ジュニアを狙っていますから、3分44〜45秒を出したかった」
田子の頭のなかは、1マイル(約1609m)のジュニア日本記録(※)のことよりも、1500mでいかにアピールするかでいっぱいだった。1500mの通過が公認されると聞いたのはレース直前。田子にとってはチャンスだった。
「ペース設定は1周目が58秒で2周目と3周目が60秒と聞いていたので、付いていくだけでも3分45秒は出る計算でした。ところが3周目が61秒かかっていて、そこで足がつまった感じになってしまい走りにくかった。これが通常のレースならガンガンいったんですが、ペースを乱していいものかどうか、ちょっと考えてしまって…。ラスト1周でガムシャラにスパートしようと思ったんですが、そこでもポケットされてしまいました」
1500m地点で力を出し尽くしてしまってもいい、とまで考えていたが、図らずも1マイルを走りきってしまった。1500mが3分46秒1で1マイルが4分02秒43。1500mはジュニア歴代10位なのだが…。
「どちらのタイムも中途半端。力を100 %出し切れなかったのが悔しいです」
田子といえば高校時代は、他人にはおかまいなく1人、完全に自分のペースでレースを進めていくのが特徴だった。もちろん、レースの流れに上手く乗った方が記録は出しやすい。だが、この日に関して言えば、「足がつまった」3周目で自らペースを作っていれば、目標の記録を出せたかもしれない。そうした場合、終盤で潰れた可能性もあるが、田子はこの冬、スタミナ養成の練習に取り組んできているのだ。
「1月から3月まで、学校とは完全に離れて1人で練習しました。1日25km走ることを目標とし、ハーフマラソンにも2レース、フルマラソンにも1回出場したんです。マラソンは地獄を見ました。ホント、やばかったですけど、走ってしまえば自信にもなります」
その疲れからか、3月頭と4月頭に2回、40℃の発熱をしてしまったというが、それでも京都インカレ、関西インカレ、そして今大会と1500mで自己記録を更新してきている。6月19日のミドルディスタンスチャレンジ第2戦で1000mを走り、23日の実業団・学生対抗では4×1500mRを走るが、この2本は練習代わり。目標は月末の日本ジュニア選手権の1500m。先週の日本選手権から連戦になるが、冬場の走り込みがプラスになって表れる可能性はある。
ジュニア選手権では引っ張ってもらえないことから記録面を心配している田子だが、前述のように普通の中距離選手では考えないような練習に取り組んでしまうのが、田子の発想の面白いところ。他の選手と一線を画している部分でもある。“相手がいなかったら記録を出せない”なんて、誰でも考えるような発想は田子には似合わない。
※公認記録がないため、田子の記録は“基準記録”となり、今年末時点での最高記録がジュニア日本記録となる。
acom Middle Distance Challenge(公式サイト)
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