2002/3/20
高岡寿成、リスボン・ハーフマラソン出場記念企画
リスボンは過去、こんなに好記録が出ている!!
  記事編
今年はゲブルセラシエとテルガトの1万m2強が出場
その状況で高岡はどう走るか!?
日本選手では過去、あの選手が快走

 3月24日のリスボン・ハーフマラソンに高岡寿成(カネボウ)が遠征する。

 表1はハーフマラソンの1時間を切った全パフォーマンス(同一選手を複数回カウント)と、歴代20位までの記録である。1万mとマラソンの歴代上位記録を持つ選手は、その記録を付記してある。1万mの得意な選手と、マラソンの得意な選手が相半ばしている。両種目の中間の距離なのだから、当然と言えば当然かもしれないが。ピント、タヌイ、ロンセロと、1万m&マラソンの両種目で実績を残している選手が顔を揃えているのも、当然かもしれない。
 ただ、日本国内のハーフマラソン歴代リストを見ると、トラック選手(主にトラックで、マラソンで少ない回数成功した選手)の方がやや優勢だったので、ちょっと意外な感じも受けた。

 1万mで世界歴代2位(26分27秒85)、五輪・世界選手権でも常にゲブルセラシエ(エチオピア)に敗れて2位のテルガトが、4回の“サブシックスティ”を達成し、この種目では圧倒的な実績を残している。
 ゲブルセラシエも昨年、エチオピア国内と世界ハーフマラソン選手権と2度、ハーフマラソンに出場。世界ハーフマラソンでは優勝と1時間00分03秒という記録を手に入れ、4月のロンドン・マラソンに向けて足馴らしをしている。
 この2人がロンドン・マラソンでの対決を前に、リスボンで対決するという。ロンドンの前哨戦という位置づけではもったいないと思える対決だ。マラソンで優劣を付けるだけが陸上競技ではないだろう。ハーフマラソン世界一というのも、それはそれで面白いと思うのだが…(面白くない、という意見もあることは承知しています)。

 さて、リスボンであるが、表1からわかるように1時間未満の全15パフォーマンス中、6記録が誕生している。占有率は実に40%だ。表2は1時間00分30秒以内の歴代51傑(1選手1記録カウント)を、大会別にいくつ記録が出ているかまとめたもの。ここでもリスボンは13記録と、2位の東京の7記録を大きく引き離している。占有率は25.5%だ。
 好記録が出ている理由としては
(1)下り坂コースであること(40m)
(2)有力選手が出やすい時期と場所であること
の2つだろう。
 東京もかつては33mの下り坂コースだったが、リスボンはそれ以上ということになる。また、4月の賞金マラソンやトラックシーズンを前に、実戦とは違う距離で気軽に脚試しが出来るし、地理的にヨーロッパ勢のみならずアフリカ勢も遠征しやすい。あと、マネージメントの巧さもあるのかもしれない。

 テルガトを尊敬する高岡寿成(カネボウ)が、どんなレースを見せるか。トラックの2強が出場するとなると、ハイペースは必至。1時間00分30秒の日本最高を破るのが目的の遠征。先頭集団に付いていって、最後は粘るだけ粘るという戦法を取るか、マイペースで行くか。先頭集団のペースメイクが、世界最高を狙うものなのか、59分後半を狙うものかでも違ってくる。まあ、そこは百戦錬磨、日本の長距離史上最も海外レースを積んでいる選手といわれる高岡だけに、心配はないだろう。

 男女の日本歴代50傑リストを見ると、リスボンで出された記録は1つしかない。あまり出場していないということだが、その数少ないケースで好記録が誕生している。1998年に秦由華(当時三井海上)が1時間09分48秒のジュニア日本最高記録をマークしているのだ。数少ないチャンスを生かすのは、高岡の得意とするところでもある。ユーラシア大陸最西端の国から、極東の島国への朗報を期待したい。

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