2002/8/5茨城インターハイ
高校生レース史上初の13分台3選手の男子5000m
予選もインターハイ最高レベルだが、その要因は気温か競技力か?

 男子5000mは13分37秒28の大会記録(1995年・ギタヒ・仙台育英)こそ破れなかったが、13分42秒09で優勝したダビリ(流経大柏)以下3位までが13分40秒台を記録した。これは高校生レース史上初のこと。日本人選手も土橋啓太(大牟田)あたりを中心に、最初は留学生のハイペースについた。1周目を64秒8。しかし、2周目が63秒9とペースが上がり、さすがにこのハイペースにはつけず、700m付近からケニア人留学生3選手がリードし始める展開に。そこからは、留学生の争い、日本選手の争いと2つのレースが同時進行した。
 ひと口に留学生3選手というが、フォームには差がある。この写真(右からダビリ、2位のカリウキ、3位のワンジル)でははっきりわからないが、腰から上が地面に直角に立って速いピッチなのが優勝したダビリ、前傾しているのがカリウキ(ダビリよりはストライド走法)、そして上体は立っているがストライド走法で後ろ回転なのがワンジル。
 この3人が前日の予選(全部で3組)でも各組のトップを占めたが、そのタイムが全部14分10秒台だった。これは、真夏(しかも多湿)のインターハイでは驚異的なことのように感じ、過去の優勝記録と予選トップ記録を調べたのが別表である。そして、タイムに影響する気温を調べた(湿度も影響すると思われるし、最も影響するのはレース展開だが、今回は単純に気温だけを調べた)。

三津谷が14分14秒95の日本選手予選最高記録
過去には神屋伸行が30℃以上の条件で14分20秒91


 からわかったのは、やはり気温が関係していること。今大会は各組トップが留学生だったが、1組では日本人選手が4人も14分10秒台で走っている。過去のインターハイを細かく見ると、93年の宇都宮インターハイが3組全てで14分20秒台が出ていた。気温を見ると21℃と涼しかったことがわかる。今大会も26〜27℃と、この時期にしては十分涼しかった。気温が低かったことと、留学生が3組に振り分けられたことで、3組全てが14分10秒台となったと結論づけてよさそうだ。
 しかし、前述したように1組では日本4選手も14分10秒台。留学生に引っ張られた部分はあるだろうが、日本選手もレベルアップもされている。1組2位の三津谷祐(尽誠)の14分14秒95はインターハイ予選日本選手最高記録である。
 ここで、面白いことに気が付いた。過去のインターハイ予選日本選手最高記録は、神屋伸行(西脇工→駒大→日清食品)が97年にマークした14分20秒91。神屋といえば駒大進学後の活躍がイメージとしては強く、西脇工時代はチーム内でも3〜4番手の存在。その神屋が30℃以上の気温の中で、上記タイムをマークしていたのである。正直、“あれっ”と思った。今大会との気温差を考えると、価値の高いタイムといえる。
 そういえば神屋は、駒大3年時の日本インカレで、やはり30℃以上の高温の中、2位を約50秒も引き離す独走を見せたことがある。しかも、1時間03分23秒の大会新記録。湿度が低くて走りやすかったのかとも、当時は思えたが、調べてみると64〜65%と低くない。どうやら、暑さへの適応能力が高い選手だったようで、その片鱗を京都インターハイで見せていたことになる。今年2月の初マラソンこそ失敗したが、夏場のマラソンに出場したら面白いかもしれない。

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