2002/8/6 茨城インターハイ
留学生選手の中・長距離全種目制覇阻止に燃えた
“瀬戸の後輩”


 近年のケニアからの留学生選手増加に伴い、ケニア選手が中距離種目にも進出し始めたことが、今大会の特徴として挙げられる。最終的には男女とも800 m以上の全種目をケニア人留学生選手が制したが、日本選手も最初からあきらめていたわけではない。
 女子800 mは昨年の優勝者・大湊慧(三条)が400 mまでをハイペースで飛ばしたし、男子5000mも最初はケニア選手に食い下がろうとした。決して最初から留学生を“別格扱い”をしたわけではなかった。そういった姿勢の代表格が、3000mSCで留学生2選手を従えて残り2周までトップを快走した吉岡秀司(比叡山)だった。
「サイラス(・ジュイ=流経大柏)に負けるはずはない、絶対に優勝するんだという気持ちでレースに臨みました。(男子中・長距離では)最後の種目でせめて、僕が優勝して日本人の意地を見せようと思ったのですが…」
 こう言うだけの実績を吉岡は持っている。インターハイ直前の世界ジュニアで7位入賞。そのときの8分52秒30は高校リスト・トップ。
「世界ジュニアから帰国したのが7月24日の深夜。26日から30日まで調整合宿をして、そのあとは学校での練習でバネを貯めてきました。バネはあったんですが、疲れは抜け切れていなくて身体がついてきてくれませんでした」
 スタート直後にトップに立ち、トップで障害を跳んでいく。バネのきいた走法は、比叡山高の先輩でアジア大会代表の瀬戸智弘(カネボウ)に通じるものがある。
「ハードル手前でスピードを上げ、勢いで障害を跳ぶことを課題としていましたが、今日はできた方だと思います」
 別表のように、吉岡は2000m手前までは障害に足を乗せずに飛び越えるハードリング。
「足をかけるか、かけないかは調子によります。近畿大会の方がかけなかった台数は多かったと思います。世界ジュニアでは周り全員が障害を飛び越えていましたから」
 トップを引いたこともあって、障害前のリズムアップもよかった。しかし、やはり疲れがあったのか「最初の1000mを2分50秒で入る予定」(吉岡)が、2分58秒2を要した。そこで「気落ちした面もあった」と言う。ラスト2周でスパートしたジュイに引き離されてしまった。ただ、ラスト1周で抜かれたワンジャウ(青森山田)はフィニッシュ直前で抜き返し、意地を見せた。
 目標とした“留学生選手の中・長距離全種目制覇の阻止”はならなかったが、気持ちのいいレースを見せてくれた。何より、その姿勢が将来にプラスとなって現れてくれるだろう。

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