2002/5/16 関東インカレ第2日
1万mは1部と2部が対照的なレース
2部が珍しくスローペースになった理由は?

上位成績
通過&スプリットタイム

 肌寒いコンディションだった1日だが、風は弱く、長距離種目にとってはうってつけのコンディションで、記録的な期待も膨らんでいた。ところが……。
 1万mは1部と2部で対照的なレースが展開された。
 先に行われた2部は、勝負を優先した駆け引きが行われ、ペースは乱高下した。余裕があったのは尾田、松村、ジェンガで、この3人が先頭に立つシーン、先頭を交替するシーンは何度か見られたが、ペースがそのまま上がっていくことはなく、結局、29分20秒台の優勝タイムに。2部の1万mといえば、留学生選手が引っ張ることが多いせいせ、それほど牽制や駆け引きが行われた印象は少ない。
 それが今年は、4年ぶりに29分台のタイムとなり、過去11年間で最低の優勝タイムとなってしまった。その原因はどのあたりにあったのだろうか。
 上位2選手の話を聞いてみた。
尾田「初優勝は嬉しいです。監督からも、取れと言われていましたし、狙っていました。関東学院の優勝は、初めてと聞いています。(3000〜4000mで出たのは)上げてみて、みんなの状態がどうなのかを見るためでした。みんなついて来たので、引っ張る必要はないと判断しました。ラスト勝負は自信がありました。(ラスト400 mの58秒は)試合ではいつもそのくらいのタイムで上がっていましたから」
松村「勝つことが狙いでした。大八木コーチから求められていたことは、勝つことでした。自分ではあの展開で勝てる自信があったんですが、負けたという結果が全てですから、判断ミスだったと思います。大八木さんの指示は(スローな展開にするということではなくて)、勝つ展開を自分で考えてやれと、いうことでした。ラスト3000mの1000m毎を、2分55秒、50秒、45秒と5秒ずつビルドアップする展開にした方がよかったのかもしれません」
 つまり、2人ともそこそこラスト勝負に自信をもっていたことが、原因の1つ。しかし、それよりも、平成国際大に入学した2人のケニア人留学生選手の力が未知数だったことの方が、大きな要因だっただろう。今回は、例年に比べると参加資格記録(ベスト記録とは異なる)が28分台の選手は尾田1人と、やや寂しい。尾田は記録的には2番目の選手を30秒余り引き離していたが、ジェンガら留学生選手の力が実際はどうなのか、判断が難しかったのだろう。自分で引っ張るのは難しかったに違いない。
 結果的にスローペースとなってしまったが、致し方なかったところもある。それに、ラストで見せた尾田と松村のデッドヒートは、それなりに迫力があった。ラスト1000mが2分36秒という点は評価が高い。

 一方の1部1万mは、カリウキ(山梨学大)が1周、68〜69秒のイーブンペースを作った。カリウキだけでなく、藤原正和(中大)も2600mから3200mまで先頭に立ったり、5600mでは橋ノ口滝一(山梨学大)が、7000mでは清水将也(日大)がトップに立つなど、日本選手も追従策一辺倒というわけではなかった。
 7000m台中盤で清水智也が遅れると、集団は5人に。カリウキ、橋ノ口、モカンバの山梨学大トリオに、藤原と清水という西脇工高コンビという色分けができた。そして、8800mから藤原がロングスパートで勝負に出た。
 最後の直線で橋ノ口に差され、いったんは振り切ったカリウキにも逆転されてしまったが、この日の好レースは藤原が演出した部分が大きかった。

 最後に女子だが、このレースはどうしたことだろう。優勝記録が14年ぶりに34分かかってしまった。レース展開がどうこうというより、力がないと言う以外に、言いようがない。渋井陽子とは3分22秒、約1000mの差を付けられることになる。
 今日のレースの中から、将来の高橋尚子や土佐礼子が育つと思うと、あまりけなすこともできないが、それにしても……。

2部&1部1万m通過&スプリット
2部 1部
距離 通過 スプリット 距離 通過 スプリット
400 01:11 01:11 400 01:09.3 01:09.3
800 02:26 01:15 800 02:18.1 01:08.8
1200 03:33 01:07 1200 03:27.4 01:09.3
1600 04:42 01:09 1600 04:35.6 01:08.2
2000 05:53 01:11 2000 05:44.9 01:09.3
2400 07:04 01:11 2400 06:54.6 01:09.7
2800 08:17 01:13 2800 08:04.4 01:09.8
3200 09:28 01:11 3200 09:12.3 01:07.9
3600 10:37 01:09 3600 10:21.9 01:09.6
4000 11:47 01:10 4000 11:32.4 01:10.5
4400 13:01 01:14 4400 12:41.5 01:09.1
4800 14:15 01:14 4800 13:51.4 01:09.9
5200 15:25 01:10 5200 15:00.2 01:08.8
5600 16:35 01:10 5600 16:09.1 01:08.9
6000 17:49 01:14 6000 17:17.2 01:08.1
6400 19:02 01:13 6400 18:26.8 01:09.6
6800 20:15 01:13 6800 19:37.9 01:11.1
7200 21:25 01:10 7200 20:47.4 01:09.5
7600 22:32 01:07 7600 21:57.2 01:09.8
8000 23:45 01:13 8000 23:06.1 01:08.9
8400 25:00 01:15 8400 24:15.9 01:09.8
8800 26:14 01:14 8800 25:25.0 01:09.1
9200 27:25 01:11 9200 26:30.9 01:05.9
9600 28:28 01:03 9600 27:37.3 01:06.4
10000 29:26 00:58 10000 28:38.8 01:01.5
距離 通過 スプリット 距離 通過 スプリット
1000 03:00 03:00 1000 02:51.2 02:51.2
2000 05:53 02:53 2000 05:44.9 02:53.7
3000 08:54 03:01 3000 08:38.7 02:53.8
4000 11:47 02:53 4000 11:32.4 02:53.7
5000 14:50 03:03 5000 14:26.3 02:53.9
6000 17:49 02:59 6000 17:17.2 02:50.9
7000 20:51 03:02 7000 20:12.7 02:55.5
8000 23:45 02:54 8000 23:06.1 02:53.4
9000 26:50 03:05 9000 25:57.5 02:51.4
10000 29:26 02:36 10000 28:38.8 02:41.3


■1部1万m
1)28.38.82 橋ノ口滝一(山梨学大)
2)28.38.89 D・カリウキ(山梨学大)
3)28.39.32 藤原正和(中大)
4)28.47.99 清水将也(日大)
5)28.49.09 O・モカンバ(山梨学大)
6)29.03.48 久保田 満(東洋大)
7)29.04.94 土井洋志(法大)
8)29.06.21 清水智也(日大)

■2部1万m
1)29.26.42 尾田賢典(関東学院大)
2)29.26.75 松村拓希(駒大)
3)29.30.24 S・ジェンガ(平成国大)
4)29.30.96 太田貴之(駒大)
5)29.31.63 村田義広(大東大)
6)29.32.67 福山良祐(中央学大)
7)29.33.35 山岡雅義(國學院大)
8)29.39.18 山内貴司(東農大)

■女子1万m
1)34.10.75 平田裕美(日体大)
2)34.17.53 山嵜麻子(筑波大)
3)34.50.75 吉田郁子(筑波大)

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