2016/5/13関西インカレ
青山が53秒07の関西学生新
リオ五輪標準記録(52秒20)突破に手応え
インカレで片鱗を見せた学生バージョンの走り


 青山聖佳(大阪成蹊大2年)は風のコンディションが良い長居競技場で行われる関西インカレで、52秒20のリオ五輪標準記録突破を狙っていた。昨日の準決勝では53秒59の大会新。決勝が行われた13日も「アップでは体も十分動いていて十分に狙える状態でした」と自覚できた。

 バックストレートは、はた目には順調な走りに見えた。1つ内側のレーンの石塚晴子(東大阪大1年)を引き離し、200mを24秒85(手元の手動計時)で通過。自己記録の52秒99で走ったときは(14年アジア大会5位)24秒7だったという。向かい風を考えれば、かなりの速さで前半を走っていたように見えた。
 だが、青山は自身の走りに力みがあったという。「最初の部分ですね。昨日の準決勝は力まずに行けたのですが、今日はコーナーから直線に入るところで力みが出ました」。その結果、「200〜300mが全然進まなかった」(瀧谷賢司監督)。
 そこで石塚にも差を詰められたが、1学年年下の存在が、青山を奮い立たせた。「最後の直線で、石塚さんの息づかいも聞こえるくらいまで追いつかれて、このままでは負けると思って頑張ることができました」
 最後の直線で踏みとどまり、53秒07の関西学生新でフィニッシュした。
 バックストレートがいつもの長居のように追い風だったら、52秒台中盤より上のタイムが確実に出ていた。

 青山は「追い風でも今日は力んでいたと思う」と、向かい風を言い訳にしなかった。風よりも、記録を狙うチャンスという意識が強すぎた点が問題だった、という自己分析だ。瀧谷監督の「記録を狙って前半がガチガチだった」という評価とも一致する。
 それでも自己3番目(高校3年の国体優勝時に53秒03)、この2シーズンで最高タイムを出すことができた。「300 mから400 mは、よく持ったと思います」(瀧谷監督)
「初めて52秒20を狙って、条件が悪いなかで一度挑戦したことは、日本選手権に生きてくると思う。勢いだけでなく、走る能力だけでなく、青山はハートもすごいものを持っている。52秒20、行くと思いますよ」

 青山自身も手応えを感じている。
「今日は力みも出てしまいましたが、高校時代と違って力わざではなく、大阪成蹊のトレーニングで柔軟性がプラスできています。高校時代は最後の直線が本当にきつかったのですが、今はそこまで激しく失速しなくなりました。52秒台は確実に出せると感じているので、あとは一発、52秒20に届くかどうか」
 大学バージョンの青山の走りが確立されつつある。


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