2016/5/15 ぎふ清流ハーフ
男子は中尾が3年連続日本人トップ
SMILEY ANGELに所属を変更し、目指すは「40歳で代表入り」

 15kmまでは松本稜がトップで、松本賢太が2位とトヨタ自動車勢が日本人上位を占めていたが、中尾勇生(SMILEY ANGEL)、川内優輝(埼玉県庁)、淀川弦太(愛三工業)らが追い上げ、競技場に入る前でリードを奪った中尾が1時間03分38秒で日本人トップの10位に入った。
「記録も狙いたかったのですが、風があったり、湿度が高くてじめじめしたりして…。5km手前からケニア選手(ケトル)がペースを上げたのにつくことができませんでした。日本人の集団も交替で前に出たのですが向かい風でペースを上げきれなかった。バトオチル(モンゴル)選手とカルクワ(重川材木店)選手が見えてきたので追いつきたかったのですが…。そのなかでも日本人トップを死守できたことは良かったです」

 これで3年連続日本人トップだが、昨年までとの違いは所属がスズキ浜松ACからSMILEY ANGELに変わっていること(移籍後初戦)。静岡県でドラッグストアを展開する杏林堂が経営母体の市民ランナークラブで、そのエリート選手という立ち位置。杏林堂で勤務をし、内外のロードレースに出場して収入を得るが、「市民ランナーの方たちとも触れ合いながら」(中尾)活動をしていく。
 2008年の世界ハーフではアフリカ勢に混じって5位に入賞(リオデジャネイロ開催だった)。1万mでも27分48秒71のタイムも持つスピードランナーだが、マラソンでは2時間13分23秒が自己最高と、なかなか殻を破れない。

 所属の変更はマラソンでの代表入りを実現させるためだが、普通の選手とは発想が異なる点が中尾らしい。
「40歳になってもトップレベルのランナーでいたい、という夢があります。今32歳ですが、チームに所属して若手の練習に合わせるのが難しくなってきました。35〜36歳になってから、40歳に向けてスタートするのでは手遅れになると思ったので、道を開くには今しかないと決断しました。杏林堂の社長との出会いにも恵まれました」

 父親の中尾隆行氏は、日本人で初めて2時間20分を破ったレジェンド。
「競技の話はほとんどしませんが、当時、日本では誰もやっていなかったインターバルトレーニングをマラソンに取り入れたと聞いています。私の新たな挑戦も、そういったところを受け継いでいるのかもしれません」
 リオ五輪代表の石川末廣(Honda)が36歳の史上最年長マラソン代表として注目されているが、中尾が東京オリンピックで代表入りすれば石川と同じ36歳。その4年後に40歳で代表になれば、父親同様にレジェンドと言われる存在になる。


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