2016/5/15 ぎふ清流ハーフ
キルワが1時間08分55秒の大会新で圧勝
福士は3分以上離され1時間12分04秒(日本人トップの6位)
岐阜で少しだけ明かされた金メダルへのマラソン練習

 福士加代子(ワコール)が後半も巻き返せなかったからだが、勝負は一瞬でついてしまった。最初の5kmの入りがキルワ(バーレーン)は15分49秒だったのに対し、福士は16分17秒。

「初めから速いペースで前に出て、自分のペースで走ろうと考えていました」と言うキルワに対し、福士は「ドンと行かれてついて行けなかった」と振り返った。
 中盤以降もキルワが「向かい風もあったけれど、プッシュして行った」のに対し、福士は「なんとか上手くまとめたかったのですが、あーダメだな」という状態で、差は広がっていく一方だった。
 10kmまでの5kmで30秒、15kmまでの5kmで1分02秒、20kmまでの5kmで1分06秒広がっていき、フィニッシュでは3分09秒の大差に。
「話になりませんでした。全然見えなくなって。前の方で行けと(監督から)言われていたのですが、ヤバイ、行けない(という状態で)。本当、気持ち良く走りたいと思いますね」
 永山忠幸監督は、「1時間10分以内では走ってほしかった。2分悪いタイムで、福士にとっては良い刺激になったはず」と総括した。

 永山監督によれば、部位は明かさなかったが、今大会に向けて痛みも出ていたという。
「この2週間は本人に任せて、ここのレースを見て、次を考えようと思っていました。完全な惨敗なので、このままではダメだと心のスイッチも入ったでしょう。(リオ五輪の金メダルという)本人の目標を聞いたときは、可能性は1%もないよと言いました。それを100%にするにはチーム福士の努力と、どこまで本人が歯を食いしばれるか。そんな簡単なものではないと思います。金を取るにはそれだけの練習をしないと。1カ月後の函館ハーフは3分15秒ペースで行けるようにしたい。シカゴ、大阪は44〜45日のマラソン練習でしたが、今回の準備はその倍はやりたい。集中してやると1カ月で出来上がってしまうので、我々が上手く見極めて進めないといけません」

 キルワとの差ばかりが強調されたレースだったが、永山監督は最後の1.0975kmが3分37秒と同タイムだったことを「収穫だった」と話した。キルワに関しても「今日と名古屋の走りで、対策は立てられた」と。
「リオ五輪のメダル候補を分析して、前半からハイペースにするか、(どこかで)スパートするかを考えるのが、私の役目です」

 福士自身も、「最後の2kmくらいは、ちょっと動いてきたかな。良い感触も少しだけあったりしました」と、いつもの明るい口調で話した。
 永山監督は「スピード、スタミナ、メンタル、全てが足りない。残り90日で今日のハーフの3分9秒差が、どこまで縮まるか?」と疑問形で報道陣に話したが、これはもちろん、縮めるぞという意思表示である。

 永山監督はトレーニング内容についても、具体的なメニューではないが、考え方の一部を話してくれた。マラソン練習日数で15年シカゴ、16年大阪と同じではないと前述したが、ということは、銅メダルをとった13年モスクワ世界陸上に近くなる。だが、モスクワとまったく同じというわけでもないと思う。
 福士のマラソン練習は過去にも、ある位置から離れてまた元に戻ってきているように見えたこともあった。だが、一見、元の位置に戻ってきたようで、実は大きな進歩をしているのが福士のマラソン練習である。
「オリジナルの、我々が作り上げようとしているマラソン練習に、また味付けをしながらやっています」
 結果的に、過去の金メダリストに近づいていくマラソン練習になるはずだ。


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