2016/5/14 ぎふ清流ハーフ2016
岐阜をリオ五輪へのステップに
@福士加代子vs.キルワ
大阪と名古屋、今季のマラソン優勝者同士がハーフで初対決

 1月の大阪国際女子マラソンと3月の名古屋ウィメンズマラソンの優勝者が、リオ五輪を前に岐阜のハーフマラソンで激突する。
 キルワ(バーレーン)は名古屋以降初の国際レースだが(ケニアやバーレーン国内までは確認できず)、練習はそれなりに積めているようで、「明日は70分を切るタイムで、できれば優勝したい。昨年も勝っているので、是非連覇をしたい」と、結果を出すことに意欲を示した。

 それに対し、大阪以来のレースとなる福士加代子(ワコール)は「練習の一環」という言葉を繰り返した。
「大阪のあと1カ月くらい休んで、1カ月後にやり始めて、そして今、という感じです。この後、海外合宿も入ってくる。体調も徐々に戻ってきていて、良いタイミングにこの大会がありました。ペースをどうするかは(監督からまだ)聞いていないのでわかりませんが、集団があったらついて行く感じですかね。練習でも20kmをやりますが、レースなら良い緊張感が出ますし、レースでなければできないこともあります。何かやりたいですね。刺激が入って、体がどう変わるか見たい。そこから練習をしっかりと積んで行きたい」

 ワコールの永山忠幸監督は今回のレースの狙いを次のように話した。
「彼女は練習の一環、という言い方をしましたが、岐阜も函館(ハーフマラソン)も、そのとき、そのときの状態でどう走れるかを僕が見たいだけ。明日のペースは明日のスタート前に決めます。(そのやり方は)トラックのときと同じです。結果は求めません。明日の内容を見て、次の段階のトレーニングにつなげられれればいいと思っています。負けたら負けたで、彼女の勝負魂に火が点くでしょうから」

 本番のメダル候補同士の初対決が実現したが、キルワは次のように福士のことをコメントした。
「私もリオ五輪への準備段階で、お互いに練習の一環とはいえ、明日はレースで一緒に走ります。お互いの強さが肌で感じられると思う」
 リオ五輪の前哨戦とまでは言えないが、2人が岐阜をどうリオにつなげるのか。興味深いレースになる。

A安藤友香
今季日本選手間無敗。1万m代表に意欲

 前日会見ではマラソンのリオ五輪代表2人に加え、地元岐阜県(海津市立日新中)出身で、兵庫リレーカーニバル1万m日本人トップ(2位)の安藤友香(スズキ浜松AC)も出席した。
「リオ五輪は1万mで狙っているので、6月の日本選手権につながるレースにしたい。福士さん、キルワさんと一緒に走る機会はめったにありません。楽しみながらも、有意義に使いたい」

 控えめに話したのは2人との“実績”の違いからだが、今季の安藤は全国都道府県対抗女子駅伝1区区間賞に始まり、丸亀ハーフ、世界ハーフ、兵庫リレーカーニバル1万m、織田記念5000mと日本人選手に負けていない。積極的なレースを身上とするだけに、安藤が主導権を握る展開も十二分に予想できる。キルワと福士に勝つ可能性もあるだろう。
「明日は後半のペース変化にポイントを置いています。どれだけ切り換えられるか。そのためにも前半、ペース的にも気持ち的にも、余裕を持って走れるかが重要です」

 トラックシーズンまっただ中にハーフマラソンをはさむパターンは珍しいが、以前は長めの距離を得意としなかった安藤が、ハーフマラソンを使って1万mの自信を得てきた過程がある。
「練習で距離を踏めるようになったこともありますが、山陽女子ロード、丸亀、世界ハーフと3本走ってきて、距離的な不安がなくなり、1万mへの自信につながっています。1万mでは31分40秒が目標です。そこを切らないと、日本選手権で勝てないと思うので」

 かつて、“ハーフの女王”と言われた野口みずきさんは、01年エドモントン世界陸上には1万mで出場し、翌年にフルマラソンに進出すると、“マラソンの女王”への道を突き進んだ。
 腕振りを胴体から離さないピッチ走法の安藤は、ダイナミックなストライド走法の野口と動きは対照的だが、ハーフマラソン→トラック代表→マラソン進出と、似た道を歩もうとしている。


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