2015/7/24 藤光ヨーロッパ遠征から帰国
スイスで20秒13の日本歴代2位&国外日本人最高
今回のタイムとレース内容をどう藤光が考えているのか?


「普段と大きくは変わっていません」
Q.20秒13(ルッツェルン・スイス7月14日)のレースを振り返ると?
藤光謙司 率直な感想としては(走りは)確かに良かったのですが、普段と大きく変わったかといえば、大きくは変わっていません。「これでこれか(この走りでこのタイムか)」という気持ちがありますし、「これでこれなら、もう少し行ける」という感覚もあります。

「この中でも勝ち抜かないとファイナルには行けない」
Q.すごいメンバーで走ったわけですが。
Race B Wind: 0.0
1 Wayde van Niekerk RSA 15 Jul 92 19.94 NR PB
2 Alonso Edward PAN 8 Dec 89 20.03 SB
3 Kenji Fujimitsu JPN 1 May 86 20.13 PB
4 Curtis Mitchell USA 11 Mar 89 20.40
5 Warren Weir JAM 31 Oct 89 20.45
6 Tyquendo Tracey JAM 10 Jun 93 20.59
7 Maurice Mitchell USA 22 Dec 89 20.70

藤光 持ちタイムだけなら僕より上の選手ばかりでしたから、セミファイナルを意識しやすいメンバーでした。北京世界陸上の準決勝を想定して、この中でしっかりと上位に入る、この中でも勝ち抜かないとファイナルには行けないぞ、という気持ちで臨みました。

「ファイナルを目指す気持ちも強くできましたし、19秒台へのきっかけにできた」
Q.その中で3位は、決勝に残る自信になった?
藤光 日本選手権まではタイムが、世界で戦うためには不十分だとも感じていました。世界陸上を迎える前に一度タイムを出し、自信をつけて臨めたら大きいのかな、と。そういった点で手応えもつかめましたし、気持ち的にも前向きになれたレースでした。もう少し行ける感覚も残ったので、ファイナルを目指す気持ちも強くできましたし、19秒台へのきっかけにできたと思います。

「19秒台が目の前に見えたので、ちょっと悔しい気持ちもあります。スターティングブロックが飛ばなかったら…」
Q.20秒13というタイムについては?
藤光 目安にしていたタイムですが、出せると思っていたタイムですし、出さないと話にならないタイムなので、驚いてはいません。練習中にも、そのくらいは出ておかしくないタイムが出ていましたから、「ようやく出たか」という記録です。練習でつかんだ感覚を、やっとレースで出せた。その点は初めてといえるので、気持ち良く走れた部分もありました。それは良かったのですが、もう少し行けた感覚が残りましたし、19秒台が目の前に見えたので、ちょっと悔しい気持ちもあります。スターティングブロックが飛ばずに上手く出られていたら、もしかして、という気持ちもあって……。そこはもやもやしていますが、それは北京にとっておきます。自分への楽しみが増えましたし、自信にもなりましたし、もう一段階行ける感覚も持てました。
Q.スターティングブロックがズレた?
藤光 ブロックが後ろに、ずるっと飛んで行きました(笑)。1歩目がどう行けていたのか鮮明には覚えていないのですが、直後は「やっちゃったな」と。ただ、そこから夢中で走れたので、機転が回ったというか、良い意味で吹っ切れて、良い走りができたのかもしれません。

「試合前日にサプリメントのように金粉を飲みました」
Q.金箔は今回、どう使ったのですか?
藤光 今回は直に飲んだりしました。かける(?)タイミングがなかったので、とりあえず飲んでおこう、と試合前日にサプリメントのように金粉を飲みました。「しゃー!」っと。(20秒13の前日にも)そうですね。ゲン担ぎというのもありますし、今の自分にとってラッキーアイテムなので。金を(体に)とることで効果が出る、という部分がなんとなくあります。
Q.レース中貼っていなかったようですが?
藤光 貼るタイプが手持ちの在庫切れ、ということもあって、体内に含んでおこうと。北京世界陸上へも何かしらのアイテムを持っていこうと考えています。必ず何か、金を身につけたい。

「東京オリンピックも目指せないことはない」
Q.今日がちょうど、2020年東京オリンピックの開幕5年前になりますが、5年後にも意欲を持っていますか?
藤光 まずは来年のリオ五輪という気持ちが強かったのですが…。オリンピックには運がないというか、一度も経験していない大会なので、絶対に出たいと思っています。5年後のこととなると自分がどうなっているかわからないのですが、でも、ここ2〜3年は技術も安定してきましたし、今年もこうやって走れています。色々とやれるようになってきて、体も良くなってきて、今が競技人生で一番良い状態です。こういう走りの技術やトレーニング、体のケアを上手く続けていけば東京オリンピックも目指せないことはないと、最近は考えられるようになってきています。とりあえずは今年の北京世界陸上と来年のリオ五輪が目先の目標で、それを上手くクリアすると東京も見えてくるのかな。

「(サニブラウンの20秒34は)シニアにとっては良い刺激になったと思います。喝(かつ)を入れてもらった」
Q.ヨーロッパ遠征出発前に、同じホテルに泊まったサニブラウン選手が世界ユースで20秒34というタイムで優勝しましたが?
藤光 今まででは考えられないところまで来ています。正直、ビックリしていますが、そうやって若い選手が出てきてくれることで短距離界も盛り上がってきます。僕らは高校生に負けてはいけないと思いますし、シニアにとっては良い刺激になったと思います。喝(かつ)を入れてもらった。僕もこの記録で満足せず、もう1つ上を目指して行かないと。そういうところを僕らが示すことで、若い選手たちもまた僕らを目指す、という思いを持ってもらえるようにやっていきたい。
Q.東京に出ようとしたら、サニブラウン選手がライバルになるかもしれません。
藤光 今でさえ短距離最年長というポジションですから、5後にどういう立ち位置、状況になっているのか想像がつきません。短距離も毎年新しい選手が出てきていますから、5年後にどうなっているか。そういうなかで、僕もみんなと争える位置にはいたい。そのときまでトップで引っ張っていけるようにできたらいいですね。
Q.まだサニブラウン選手には負けない?
藤光 まだ負けないですね。まだまだ、負けません。

※カコミ取材からの抜粋です。技術やトレーニングなどの話題は陸マガ次号に


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