2015/5/3 静岡国際
山本は5m50に終わるも5m10ポールの使用に手応え
「(モスクワ世界陸上で)入賞した意識は持たないようにしている」

 山本聖途(トヨタ自動車)は5m60を跳ぶことができず「5m50までは流れが良かったのですが、60で高さを意識してしまって、助走から力みが出ました」と反省する。
 だが、「5m50までは、70まで跳べる感覚でした。高さへの意識を、練習で養っていきたい」と、次への課題も明確につかんだ。

 5m10の長さのポールを使える手応えが、その裏付けだ。
「練習跳躍から使って、(5m10ポールの扱い方が)去年より進歩しているのがわかりました。昨年から体幹トレーニングをしっかりと取り入れてきましたが、ようやく効果が出てきた実感があります。今日できなかった部分を修正していきます」

 一昨年に5m75の日本歴代2位まで記録を伸ばしたが、昨シーズンは腰の不安を抱えたまま過ごした。その影響で5m62がシーズンベストに終わり、アジア大会は5m35が跳べず記録なし。
「去年1年間、ずっと気持ち的にやられていました。腰を言い訳にして、勝てなくても自分に甘えていたんだと思います。今年はハングリー精神を持ってやっていきます」

 実際のところ、今年も2月まで腰の痛みがあり、冬期練習は思うように積めていない。
 だが、ロンドン五輪で記録なしに終わった翌13年に、モスクワ世界陸上で6位に入賞した男である(世界陸上跳躍種目過去最高順位)。そんじょそこらの精神力ではないはずだ。
 そう話を向けると山本は、次のように言い切った。
「世界陸上に入賞した意識は持たないようにしています。過去の栄光は自分の中からなくして、これから実力で取っていきます」
 山本の覚悟が伝わってきた。


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