小アまりが大阪府警所属の実業団ランナー、大坪隆誠と結婚したのは07年。小ア以前にもミセス選手は何人かいたが、結婚後も寮に入って別居生活を送るケースが多かった。それに対して小アは同居生活を前提に結婚した。
「新居は通勤に1時間半くらいかかる場所でしたし、夫のお弁当もしっかり作るつもりでした。夜も6時までには帰って夕食を作りたい。競技にマイナスとなることもいっぱいで、どのレベルでやれるかはわかりません。でも、部長も社長も『夫婦は一緒に住んだ方が良い』と認めてくれたんです」
夫が夜勤の時は、小アが寮に泊まって翌日の朝練習に参加することもあった。そのスタイルでも09年日本選手権1万メートル4位と、結果が出始めた。
10年11月に妊娠していることがわかり、11年7月に出産。練習と生活のパターンは大きくは変わらなかったが、予防接種など育児にかかる手間は多い。授乳にもこだわった。
「自分が中心に回ることはあり得ません。実家から30〜40分の場所に住んでいたので、母親に子供を預けて自宅周りをジョッグしたり、チームの練習に加わりました。グラウンドに子供を連れて行けば、チームのスタッフが面倒を見てくれます。自分が力になれるなら、チームの役に立ちたい」
小アは女子サッカーの例を挙げる。
「グラウンドでベビーカーを見るのが普通なんです。ベビーシッターの旅費を協会が負担したりもしている。"女子サッカー"だからかもしれないし、以前は人材確保が難しかったからかもしれませんが、そういう努力の積み重ねが今の"なでしこ"の活躍につながっているように思います」
10年、11年と出場できなかったが昨年は駅伝に復帰。宮城では20代半ばの新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)や小林祐梨子(豊田自動織機)、同じ30代の福士や渋井らとともに、エース区間の3区を颯爽と走った。 |