2015/4/17 織田記念前日
織田記念に懸けてきた高瀬が記録に意欲
200 mは派遣設定記録の20秒28、100 mは10秒0台が目標
「今年は狙ったところで記録を出したい」
織田記念前日の練習後に取材に応じた高瀬慧(富士通)は「いつもと変わらない感じ」としながらも、記録への意欲を口にした。
「去年は結果的に記録を出せませんでした。今回は自分の調子の良さを感じているので、しっかりと記録も出したい」
しかし昨年は織田記念で10秒13(+0.7)と100 mの、続く静岡国際で20秒34(+1.7)と、2種目で自己新を出している。それでも「出せなかった」とコメントした。
1つは高瀬が狙っていたレベルがもっと高かった、ということだろう。もう1つは「狙ったところ」で出せなかった。雨だったとはいえ日本選手権で20秒63(+0.9)にとどまり、0.01秒差の2位と敗れた。
「今年は狙ったところで記録を出したいのです」
そのくらい、今季は織田記念に懸けてきたということだろう。
「200 mは派遣設定記録(20秒28)を最低でも切りたい。100 mはとりあえず10秒0台を出せればいいかな」
「勝手に回ってしまう脚」をコントロールする
3月のテキサス・リレーでは200 mで2位、20秒09(+4.5)と追い風参考ながら好タイムをマークし、レース展開的にも「これまで外国人選手に離されてたコーナーを抜けたところで、我慢してついて行くことができました」と手応えを得られた。
帰国後は「変わらないくらいで、8割くらいの仕上げ」できているという。先週の雨や低温で予定の練習ができなかったときは「良い休養」と思って落としたが、「今週は思った通りに来られた」と言う。
高瀬がテキサスから帰国したときに、少し懸念を示していたのがトラックの硬さ。テキサスは軟らかめだったが、織田記念会場のエディオン・スタジアムは超がつくほど硬い。
「ちょっとしたズレがトラックで出てきます。今日も感覚を確かめましたが、ギアを入れると自分で踏み込まなくても勝手に脚が回ってしまう。脚がクルクルクルっと回っている漫画みたいなイメージです。それをコントロールできれば良いことなんです。自然に上がってしまうので、コントロールできないと後半の失速につながります」
桐生と競ったときも落ち着いた走りを
土曜日が200 mの予選と決勝で、日曜日が100 mの予選と決勝。チャンスと思えば、予選でも最後まで走りきって記録につなげる予定だ。
「(記録を残しておきたいことに加えて)世界陸上とかになると、僕らのレベルでは予選からしっかり走ってシードレーンを取っていかないと、準決勝とかで戦えません。気持ち的にも予選の方がリラックスしているので、記録が狙いやすいと思いますし」
ただ、種目は違うがテキサスで好タイム(100 m9秒87=+3.3)を出した桐生祥秀(東洋大)も2種目に出場してくる。
「並んだり競ったりして視界に入ったときに、硬くなってしまう可能性はあります。その中でも落ち着いた走りができるようにしないと」
9秒台も19秒台も、「競技者として出したい記録、条件が合えば目指せる記録」とストレートに認めている。テキサスで桐生が9秒87wを出したことに対し「次は自分がやり返す番」と熱い気持ちを吐露した。
「でも、世界陸上が一番の目標であることは忘れずにやっています」
桐生と競って硬くなっても、落ち着いた走りは崩さない。調子の良さは認めつつ、今回の仕上がりは「8割」という。記録的にもかなりのものを出したいと考えているが、本当に結果を出したいのは世界陸上だという。
精神的にも肉体的にも、こういったバランスが取れて走ることができれば、高瀬からビッグパフォーマンスが飛び出すだろう。
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