2015/9/25 全日本実業団
女子1万m1組トップは渡久地
急成長中の元市民ランナー


 “初の全日本実業団”出場でも堂々たる走りを披露した。
 女子1万m1組は市民ランナー出身の渡久地利佳(ルートインホテルズ)が、33分02秒37でトップでフィニッシュ。全体でも11位に入った。惜しくも32分台は逃したが、自己記録を約4秒更新。実業団選手として十二分に戦っていけることを示した。

「今日は3分10秒で押して行くことが目標でした。5000mを16分台で通過して、あとはどこまで押していけるか。でも、後半は動かなかったですね」

 ルートインホテルズが2013年に創部した際の1期生だが、それまで全国レベルの実績は持っていなかった。沖縄の那覇商高ではハンドボール部。名桜大で陸上競技を始めたが、36分30秒22がベスト記録(2009年)。全国レベルの選手はいないなかでも頑張って練習し、九州インカレでは入賞することができた。
 その頃から「実業団で走りたい気持ちが強かったですね。マラソンとか駅伝を見て、カッコいいなと思っていました」と振り返る。

 東京のハイテクタウンでフルタイムで勤務しながら走り続け、2013年のルートインホテルズ創部と同時に入社。以下のように年時ベストを伸ばしてきたが、今年に入ってからの伸びが大きい。東日本実業団1万mで3位に入り、ホクレンDistance Challenge網走大会で15分36秒04をマークして全国的に知られる存在になっていた。

▼渡久地の1万m年次別ベスト
2015 33.06.05
2014 34.15.55
2013 34.49.65
2009 36.30.22
▼渡久地の5000m年次別ベスト
2015 15.36.04
2014 16.06.10
2013 16.43.31
2010 17.26.35
2009 17.24.43
2008 17.49.22
陸上競技ランキングによる


 全日本実業団は昨年、5000mにエントリーしていたが欠場した。駅伝も東日本予選を突破できていないので、今大会が“初全日本実業団”。2000mを過ぎて先頭に立つと、3000mを過ぎてリードを奪い、5000mまでは1周78〜79秒ペースで独走に持ち込んだ。あこがれていた舞台を初めて走ったが臆することなく、積極的な走りを展開してみせた。

 駅伝では都道府県対抗駅伝では沖縄の、実業団女子駅伝ではルートインホテルズのエース。東日本実業団駅伝は連続3区で2年前が区間12位、昨年が区間10位だった。今年はさらに上の区間順位で走るだろう。
「チームとしての一番の目標。自分が引っ張って行きたい」
 次の目標は駅伝での“全日本”初出場だ。12月で28歳になる、まさに“遅れてきた新人”の今後が注目を集めそうだ。


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