2015/4/26 兵庫リレーカーニバル
男子1万mは村山謙太が2年連続日本人トップも笑顔なし
マラソンを視野に入れながらの世界陸上標準記録突破に挑戦

 兵庫リレーカーニバル看板種目の男子1万mは村山謙太(旭化成)がただ1人、ペースメーカーのポール・タヌイ(九電工)に食い下がり、5000mを13分55秒で通過。自己記録の27分49秒94の更新、後半次第では27分45秒00の世界陸上標準記録突破も狙えるペースだったが、自己記録を出した昨年に比べ余裕がなかったという。
「去年は14分フラットの通過でも余力がありましたが、今日は、同じペースでもう5000m行かないといけないのか、と感じてしまいました。単純に余裕がありませんでした」
 謙太がきつくなると、タヌイも後ろを振り返りながらペースを落とす。27分45〜50秒のペースを維持することができず、日本人トップ(2位)はキープしたが、タイムは28分09秒28にとどまった。

 2年連続兵庫で日本人トップとなったが、レース後の謙太に笑顔はまったく見られなかった。タイムのみならず、自身のレース内容にも納得できなかったのだ。
「6000mで体が重くなり、あとは流したような走りしかできませんでした。心の中で後ろを見て、守りの走りをしてしまった」
 双子の弟の村山紘太(旭化成)は織田記念5000mで日本人トップ。村山兄弟でグランプリ2大会連続日本人トップを占めたが、「自分も弟も、標準記録が切れませんでした」。
 大南敬美・博美、室伏広治・由佳に続いて3組目の世界陸上兄弟代表を目指しているからには、標準記録突破が大前提なのだ。

 謙太は「昨年と同じような練習をしてきたので自信がなかったわけではない」と言う。体が重かった理由として「筋肉がついたのかもしれません。スピード系ではなく、スタミナ系が」と話した。
 謙太は今年の世界陸上も目指すが、それよりもリオ五輪へマラソンで出場することを大きな目標としている。旭化成入社を機に、トラックのためのトラックではなく、マラソンのためのトラックと位置づけるようになった。
「ジョッグを、これまで60分だったところを90分とか、少しでも長い距離を走るように意識しています」
 そのなかで27分45秒を出すことができれば、マラソンにつながる1万mのスピードがついたことになる。

 練習で距離を多く走りながらのトラック出場という点が、昨年との大きな違い。スタミナがついているのであれば、トラックのレースを重ねることで今後、元々持っているスピードと融合される可能性はある。
 体が重いなかでも謙太は日本人トップをキープし、「最低限」の走りはしてみせた。タイム的にも「28分10秒台と28分ヒト桁は違うので、そこは最低限のなかの最低限でした」という自己評価もできた。
 笑顔はなかったが、今後に対する前向きな姿勢は失っていない。
「他の選手たちも27分45秒に行きそうな雰囲気があったのに、走ってみたら意外と自分の方が良かった。気持ちを切り換えて、ゴールデンゲームズで27分45秒に挑戦できます」
 ゴールデンゲームズは旭化成の本拠地である延岡で、5月9日に開催される。マラソンに取り組みながらトラックのタイムを上げていくのが、伝統的な旭化成のスタイル(米重修一や鎧坂哲哉は違うスタイル)。
 旭化成・村山謙太が結果を出すには打って付けの舞台だろう。


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