2014/9/14 第90回早慶対抗
慶大、20年ぶりの“陸の王者”復権
フィールド勢が全種目優勝で早大を圧倒
山縣は10秒25の大会新、1500mでは中谷が1年生V
早大は4×200mR日本新で一矢


 慶大が20年ぶりに早慶戦に勝利した。
 その原動力となったのはフィールド勢。慶大サイトの成績にあるように走高跳は刈田真人が2m05、棒高跳は野田涼平が4m80、走幅跳は小室慧が7m38、円盤投は堀内隆仁が41m12、やり投は海老原正樹が60m45で優勝。
 フィールドで26点を獲得し、4点の早大に22点差をつけた。

 トラックは慶大の8点に対し早大が19点ダブルスコア以上で圧倒した。
 400 mで加藤修也が46秒37の大会新で、4×200 mRでは橋元晃志、竹下裕希、愛敬彰太郎、三原浩幸のメンバーで1分22秒12の日本新をマークした。日本インカレの100 mと400 mで3人が決勝に残った層の厚さを、早慶戦でも発揮した。

 だが、トラックでも慶大は存在感を見せた。
 主将の山縣亮太が10秒25(+0.2)の大会新で優勝。期待の1年生・小池祐貴は日本インカレの疲れか、100 m6位(10秒69)、400 m5位(47秒18)に終わったが、1500mで1年生の中谷浩崇が3分51秒29と大幅な自己新で優勝したのである。

 河合伸太郎監督は、この1500mが慶大優勝の流れを決定づけたと見ている。
「僕がキャプテンだった44回大会でも、1500mの3人が連携して優勝することができました。今日の1500mは(800 mが専門の)村上が800 mまで引っ張り、その後を山本が引っ張って2人でペースをコントロールした。そして最後に中谷がスパートして勝つことができました」
 ただ、その44回大会のときは優勝種目数で早大を上回りながら、得点では層の厚さで早大に敗れた。今大会はその逆で、トラックでは早大が上だったが、全体では関東インカレ2部を圧勝した慶大の選手層が優った。
「今日も、途中まではやられるかなと思いましたが、1500mで慶大に流れが傾きましたね。44回大会の借りを返せたように思います」

 もちろん、今の学生たちは40年以上前のエピソードを実感できているわけではない。だが、20年間優勝できなかったことの悔しさは、十二分に感じていた。早大のフィールド陣が手薄な今季は、戦力的には優勢だったが、その状況でしっかりと勝ちきった。
 主将の山縣は部員たちへの挨拶で、次のようにコメントした
「悲願の早慶戦勝利を成し遂げられました。勝つべくして勝つということは、難しさも伴います。前評判通りに活躍したことは、慶大競走部の強さです」

 山縣にとってはアジア大会前の大事な時期。それでも先週の日本インカレ、早慶戦と主将として戦った。自身の成長の母胎となった慶大のために戦うことが、国際大会に向けてもプラスとなると判断した。
「ここまで大学中心で、明日から日本代表中心になる、というわけではありません。アジア大会で結果を出す準備として日本インカレも早慶戦も戦ってきました」
 私的な対校戦での10秒2台は、相当にハイレベルの記録である。
 慶大の主将であり日本のエース。山縣の学生競技生活は、その2つを両立することで相乗効果を上げてきた。


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