2014/7/20
Ronald Kwemoi
ケモイがダイヤモンドリーグ・モナコ大会で3分28秒81のジュニア世界新
小森コーポレーション・本川監督が明かしたケモイ来日からの1年余
7月18日のレース前にインタビュー取材
●陸上競技を始めたのは2012年10月
「ケモイをスカウトしたのは2013年2月の世界クロカンのケニア選考会。現地でレースを見ていて、日清食品グループにいるレオナルドを抑えて優勝しました。トラックの記録はまったくなかったのですが、一目見てすごい選手だと思いました。陸上競技を始めたのは前の年の10月だと話していました。それまでは普通の高校生で、経済的な事情もあって高校をやめ、走り始めたようです。世界クロスカントリー選手権前も脚に故障があって、出場するか迷っていましたが、せっかくの代表だからと出ることにしました」
●故障がちだった2013年
「来日後も甲やスネに痛みが出ることが多くて、昨年はあまり記録を出せませんでした。まだ成長過程だからでしょうね。手脚は長いのですが、細くて、筋肉もまだまだ少ない。来日最初のレースが6月29日のホクレンDistance Challenge深川大会の1500mで3分45秒39、最後も上げさせない走りでした。4日後のホクレンDistance Challenge網走で5000mを走りましたが、甲を気にしている状態で途中棄権しました。11月3日の東日本実業団駅伝は3区(9.2km)で区間9位。11月に日体大長距離競技会5000mに出て13分41秒99で、これが5000mの初完走タイムです。1万mは1本も走っていません」
ケモイの判明している全レース
大会 |
種目 |
記録 |
備考 |
順位 |
場所 |
年 |
月 |
日 |
大会名不詳 |
CC8km |
24分11秒 |
|
1 |
Kericho |
2013 |
1 |
12 |
世界クロカン・ケニア選考会 |
CC8km |
23分10秒 |
|
1 |
ナイロビ |
2013 |
2 |
16 |
世界クロカン・ジュニア |
CC8km |
21分58秒 |
|
9 |
Bydgoszcz |
2013 |
3 |
24 |
ホクレンDistance Challenge |
1500m |
3:45.39 |
SB 来日初レース |
1 |
深川 |
2013 |
6 |
29 |
ホクレンDistance Challenge |
5000m |
dnf |
|
dnf |
網走 |
2013 |
7 |
3 |
東日本実業団駅伝 |
3区9.2km |
26分24秒 |
|
9 |
埼玉県 |
2013 |
11 |
3 |
日体大長距離競技会 |
5000m |
13:41.99 |
SB |
7 |
日体大健志台 |
2013 |
11 |
17 |
日体大長距離競技会 |
5000m |
13:53.39 |
|
1 |
日体大健志台 |
2013 |
12 |
1 |
全日本実業団対抗駅伝 |
2区8.3km |
23分24秒 |
|
19 |
群馬県 |
2014 |
1 |
1 |
金栗記念選抜中長距離 |
1500m |
3:42.45 |
|
1 |
熊本 |
2014 |
4 |
5 |
兵庫リレーカーニバル |
1500m |
3:42.25 |
|
1 |
神戸 |
2014 |
4 |
19 |
ゴールデンゲームズ |
5000m |
13:21.53 |
自己新 |
4rC |
延岡 |
2014 |
5 |
10 |
東日本実業団 |
1500m |
3:42.50 |
|
1 |
福島 |
2014 |
5 |
17 |
ノースリフト選手権 |
1500m |
3:46.2 |
手動 |
1 |
イテン |
2014 |
5 |
31 |
ケニア選手権 |
1500m |
3:34.6 |
手動、高地 |
1 |
ナイロビ |
2014 |
6 |
7 |
アスレティッシマ |
1500m |
3:31.48 |
自己新 |
1 |
ローザンヌ |
2014 |
7 |
3 |
エルキューリス |
1500m |
3:28.81 |
ジュニア世界新 |
3 |
モナコ |
2014 |
7 |
18 |
●まったく走れなかった駅伝
「とにかくレースの経験がないので、先頭の選手についていくだけ。そういう走り方しかできません。駅伝は外国人区間が指定されているので1区は走れません。前を追ったり駆け引きをするレースはまったくできず、8〜9kmの距離を1人でレースを作ることはできないので、全然ダメでした」
●来日2〜3日後に400mを49秒。練習の特徴はリカバリーの短さ
「来日して2〜3日はジョッグをさせて、脚の状態も良いようだったので400mを1本やってみたんです。そうしたらなんと、49秒で走りました。スピードは半端じゃないな、と思いました。1500mはすぐに強くなるし、5000mまで伸ばせると思いましたね。練習は、リカバリーの短いインターバルができる選手です。以前、小森にいたダビリ(2007世界陸上1万m5位、26:57.36)は、日本の高校を出て、練習もペース走など日本的なものをきっちりやっていました。ケモイは対照的ですね」
●世界ジュニア代表を狙ってのケニア帰国が、英連邦大会代表に決定
「ケニア選手権も、ローザンヌ大会の優勝も、予想できませんでした。今回の帰国は世界ジュニアの代表を狙ってのもの。ケニア選手権の1週間後に世界ジュニアの選考会があったのです。ケニア選手権は状態が良かったら出ていいよ、と言って帰しました。そうしたらケニア選手権で優勝してしまって、英連邦大会の代表に選ばれてしまった・世界ジュニア代表はなくなりました。今回の帰国に際しても、オマエは2020年の東京オリンピックの代表になることを期待されている選手だぞ、と言って帰したんです。そうしたらこの結果ですから、2020年どころか来年の世界陸上やリオ五輪も考えなきゃいけなくなりました」
●日本の実業団チームでの成長
「去年のケモイは体力がなかったので、日本人の練習に上手く合わせてメニューを組みました。(レベルが一気に上がった)今年は僕らも手探り状態でやっています。本人は1500mをやっていきたいようですが、僕は5000mにもつなげられると思っています。5000mを走れるようになれば、駅伝の8kmにもつながる。(同じパターンを目指している)楠康成がウチのチームにいたのが良かったですね。レベルは違いますけど。ウチのチームの連中も、ケニアでも何の実績もなかったケモイが大きく成長していく様子を見られて、良い刺激になっていると思います」
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