2014/3/9 名古屋ウィメンズマラソン当日
木崎vs.外国勢の優勝争い
驚異的に息の長い“大物”のコノワロワが最大のライバル


 レースは木崎良子(ダイハツ)と外国勢の争いになると予想されている。昨年のシカゴで2時間22分46秒(3位)のコノワロワ(ロシア)がV候補の双璧だろう。
 コノワロワの実績を大会プログラムから転載する。

 驚異的に息の長い“大物”ランナーだ。90年代に世界選手権5000bで2度入賞。00年以降は一線から後退したが、現コーチのイウリイ氏と結婚後に復帰し、34歳で臨んだ08年北京五輪1万bは5位に入賞した。10年にマラソンに進出し、昨年のシカゴでは39歳で2時間22分46秒の自己新をマークした。何度か来日経験があり、昨年の名古屋などでペースメーカーを務めている。国際千葉駅伝も走り「マラソン移行がスムーズになった」という。

 トラックで世界大会入賞している選手はコノワノワだけ。そして、マラソンでは昨年自己記録更新。シカゴ当時39歳2カ月。2時間24分未満の全パフォーマンスを調べたが最年長記録だった(※)。40歳代の最高記録のデータはないが、今年の誕生日の8月14日以降、間違いなく40歳代世界最高記録保持者になるのではないか。
※11年ベルリンで2時間22分18秒を出したミキテンコ(ドイツ)が39歳1カ月で1カ月しか違わない。タイム的にはミキテンコが少し上

35歳以上で2時間26分以内の記録を出した選手
歴代順位 記録 選手 生年月日 大会順位 大会 年月日 年齢
57 2:22:46 Mariya Konovalova 14-Aug-74 RUS 3 Chicago, IL 13-Oct-13 39
2:22:18 Irina Mikitenko 23-Aug-72 GER 2 Berlin 25-Sep-11 39
119 2:24:14 Irina Timofeeva 5-Apr-70 RUS 1 Hamburg 27-Apr-08 38
2:23:46 Paula Radcliffe 17-Dec-73 GBR 3 Berlin 25-Sep-11 37
138 2:24:35 Katrin D?rre-Heinig 6-Oct-61 GER 1 Hamburg 25-Apr-99 37
33 2:21:29 Lyudmila Petrova 7-Oct-68 RUS 2 London 23-Apr-06 37
2:23:26 Harumi Hiroyama 2-Sep-68 JPN 1 Nagoya 12-Mar-06 37
160 2:25:12 Lyubov Morgunova 14-Jan-71 RUS 1 Rotterdam 13-Apr-08 37
2:23:55 Constantina Dita 23-Jan-70 ROU 3 London 22-Apr-07 37
2:22:11 Irina Mikitenko 23-Aug-72 GER 1r1 London 26-Apr-09 36
2:23:50 Mariya Konovalova 14-Aug-74 RUS 3 Chicago, IL 10-Oct-10 36
7 2:19:19 Irina Mikitenko 23-Aug-72 GER 1 Berlin 28-Sep-08 36
99 2:23:44 Valeria Straneo 5-Apr-76 ITA 2 Rotterdam 15-Apr-12 36
34 2:21:30 Constantina Dita 23-Jan-70 ROU 2 Chicago, IL 9-Oct-05 35
69 2:23:12 Mara Yamauchi 13-Aug-73 GBR 2r1 London 26-Apr-09 35
154 2:25:09 Maria Manuela Machado 9-Aug-63 POR 3 London 18-Apr-99 35
2:23:19 Constantina Dita 23-Jan-70 ROU 3 Helsinki 14-Aug-05 35
2:23:07 Lydia Cheromei 11-May-77 KEN 1 Yokohama 18-Nov-12 35
123 2:24:22 Christelle Daunay 5-Dec-74 FRA 2 Paris 11-Apr-10 35
178 2:25:32 Esther Kiplagat 8-Dec-66 KEN 3 Paris 7-Apr-02 35
2:22:50 Constantina Dita 23-Jan-70 ROU 2 London 17-Apr-05 35
92 2:23:37 Helena Loshanyang Kirop 9-Sep-76 KEN 1 Venezia 23-Oct-11 35
217 2:26:00 Lenah Jemutai Cheruiyot 1-Mar-73 KEN 3 Paris 6-Apr-08 35
2時間24分以内は全パフォーマンス

 プロコプツカ(ラトビア)も昨年のニューヨークシティ3位。出産(11年4月)でブランクがあったが、9年前の自己記録更新を目標と言えるくらい復調してきている。
 自己ベストが2時間23分37秒のキロップ、2時間23分54秒のキプロップ、2時間24分03秒のバルソシオのケニア・トリオ、2時間27分47秒のディド(エチオピア)のアフリカ勢は、20歳代半ばから走り始めたり、何年ものブランク後に再開した選手たち。マラソンやロードレースを職業とするためと思われる。
 トラックやクロスカントリーでスピードを研いたといえるのはキプロップくらいで、マラソンでもワールド・マラソン・メジャースよりも下のレベルの大会出場が多い。
 とはいっても、ベスト記録からもわかるように彼女たちにとっても、名古屋のペースは自己記録を更新するのに最適。リズムに乗れば大化けする可能性がある。

 2時間27分32秒のブーンストラ(オランダ)は41歳。00年代に3000mSCでオランダ記録を更新し、同種目が初実施された2005年のヘルシンキ世界陸上にも出場している。マラソンをやっていなければ、早狩実紀のような選手と紹介されていただろう。
 2時間31分02秒のトレンゴブ(豪州)は12年の名古屋ウィメンズが初マラソン。2時間31分02秒と日本なら低レベルと言われるタイムだが、ロンドン五輪代表に選ばれた。3回目のマラソンとなった昨年のモスクワ世界陸上で11位。タイム以上の強さを持っている。

 外国勢には女性としての生き方も垣間見られる選手も多い。彼女たちの特徴も踏まえて観戦すると、名古屋ウィメンズをより面白く見ることができる。


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