2014/3/8 名古屋ウィメンズマラソン前日
2度目の宮内姉妹同時マラソンと姉妹の“違い”
大南姉妹以来の双子同時2時間20分台なるか?
大阪から連続出場の宏子の課題克服は?


 双子の宮内洋子・宏子姉妹(京セラ)が同じマラソンを走るのは2度目。妹の宏子が花粉症持ちで3月の大会だと影響を受けることが、スケジュールの違いを生じさせていた。今季も宏子は1月の大阪に狙いを定めたが、そこで力を出し切れずに名古屋にも敢然と挑戦する。
 姉妹同時マラソンは2011年の大阪国際女子以来。できれば2人が並走するシーンを見たいのだが、2人の目標は異なる。

洋子「今の力を精一杯出せるように頑張ります」
宏子「今回は2時間30分を切ることが最低限の目標です」

 ベストタイムもアベレージも、まさっているのは洋子の方だ。下の表のように2時間26〜27分台で2度走っている。一方の宏子は“練習では強い”がレース本番に弱く、7回のマラソンで一度も2時間30分を切っていない。

宮内姉妹のマラソン全成績
氏名 回数 月日 大会 成績 日本人 記 録
宮内 洋子 1 2,010 3.14 名古屋国際女子 11 9 2.33.36.
宮内 洋子 2 2,011 1.30 大阪国際女子 8 6 2.36.43.
宮内 洋子 3 2,012 3.11 名古屋ウィメンズ 9 7 2.26.23.
宮内 洋子 4 2,013 3.10 名古屋ウィメンズ 7 4 2.27.17.
宮内 宏子 1 2,009 11.15 横浜国際女子 8 2.32.20.
宮内 宏子 2 2,010 8.29 北海道 2 2.35.42.
宮内 宏子 3 2,011 1.30 大阪国際女子 10 8 2.38.31.
宮内 宏子 4 2,011 11.20 横浜国際女子 11 6 2.36.08
宮内 宏子 5 2,012 11.18 横浜国際女子 10 6 2.33.21.
宮内 宏子 6 2,013 8.25 北海道 4 2.37.01.
宮内 宏子 7 2,014 1.26 大阪国際女子 13 7 2.35.03.

 2人の目標の違いは、直前の練習の状態から生じている。亡くなった新原保徳監督の後を継いで2人を指導する長渡憲司コーチは次のように話す。
「一緒に走った練習は1回か2回ですが、30km走で宏子がかなり良かったんです。大阪の前よりも3分近く良かった」
 ただ、レースが同じような結果になるとは限らない。

 1万mのベストは洋子の31分50秒45に対し、宏子が31分42秒86と勝っている。だが、世界ジュニア代表経験があるのは洋子の方だ(2002年)。前述のようにマラソンでも洋子が上である。
 しかし、同じレースに出るときの練習では、宏子の方が良いことが多いという。大阪国際女子マラソンの前もそうだったし、2012年の日本選手権1万mで洋子が6位、宏子が7位(約20秒差)となったときも同様だった。2012年の洋子は名古屋ウィメンズマラソンで2時間26分23秒の自己新をマークしたが、その後アキレス腱を故障した。それでも6月の日本選手権には短期間で間に合わせた。
 レースに強いのが洋子で、練習の力を出せないのが宏子。ここまでの2人はそうなってしまっている。
「洋子は2時間26分で走ったときも、その前の自己ベストは2時間33分なんです。そのときは練習もできていたのですが、インタビューで2時間23分台でオリンピック代表を狙うと強気に言っていました。実際のレースでも、30km過ぎまで集団で走ったんです」
 この冬は実業団女子駅伝西日本大会で疲労骨折をして、その後の流れはまったくよくない。今回のマラソン練習も納得のいくレベルでできなかった。それで冒頭のように控えめな目標となっているが、「2時間26〜27分に近いところで走るところまで持っていきたい」と、レースまで数日の時期に長渡コーチは話していた。

 一方の宏子は練習の状態は良い。これまでは練習で良くてもレースで力を発揮できなかったが、今回は殻を破る可能性があると、長渡コーチは見ている。
「大阪では1kmで重友(梨佐・天満屋)さんがペースを上げたとき、宏子はそれまでの失敗を意識して躊躇してしまったんです。完全に中途半端な走りしかできませんでした。しかし、大阪が終わって早い段階で名古屋出場を申し出てきた。何かを変えないとダメだと、彼女自身が気づいたのでしょう。これまでは“花粉症だから名古屋はダメ”と決めつけていましたが、そこに挑戦する気持ちになることができたんです。2人がマラソンでここまで差が出ているのは、メンタル面の違いだと思います。幸い、今年は気温も低いので花粉の影響は少ないと思います」

 その宏子も30km走のタイムは良かったが、大阪の後は「休みが中心」(長渡コーチ)だった。その影響がレースでどう出るかは未知数だ。
「洋子が2時間26〜27分を出していたときと同じレベルの練習ができているので、そのくらいを狙いたいのですが、大阪の後の練習の流れも考慮して、悪くても2時間30分切り、と考えています」
「スタート後にポーンと行けるのは宏子でしょうね。ただ、ゴールでどうなっているかはわかりません」
 理想は、宏子が課題だった本番の弱さを克服し、大阪後の練習の流れなども気にせず2時間26〜27分台で走り、洋子が持ち前の集中力を発揮して、自己記録に近いレベルで走ること。
 理想を現実にできたとき、大南博美・敬美姉妹に続いて2組目の、2時間20分台の双子姉妹並走を名古屋で見ることができる。


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