2014/3/5 名古屋ウィメンズマラソン4日前
“勝負型マラソン”を突き詰めて世界を目指す前回優勝の木崎
野口以来の出場国内マラソン3連続優勝なるか?


 前回優勝者の木崎良子(ダイハツ)がマラソンで意識するのは勝負である。記録はそれほど考えず、とにかく出場したレースに勝つ(または目指す順位を取る)。
 記録は順位を取った結果、付いてくるもの。かつての瀬古利彦や森下広一らと同じスタイルだ。
 昨年の名古屋前にも「(記録を狙って)自分で行くレースはできないと思いますが、(2011年の)横浜のように勝つレースをしたい」と話し、横浜と同じようにラスト勝負で競り勝った。

 だからこそ、モスクワ世界陸上が悔しかった。
 順位的には前年のロンドン五輪の16位から、4位入賞と大きくジャンプアップした。だが、メダルと4位では大きな違いがある。銅メダルの福士加代子(ワコール)とは3分43秒差の大差だった。先頭集団から後れたのは20km前で、勝負に加わった実感を持てなかった。

木崎良子のマラソン全成績
回数 月日 大会 成績 記 録
1 2010 1.31 大阪国際女子 6 2:27:34
2 2011 1.30 大阪国際女子 5 2:29:35
3 2011 11.20 横浜国際女子 1 2:26:32
4 2012 8.05 ロンドン五輪 16 2:27:16
5 2013 3.10 名古屋ウィメンズ 1 2:23:34
6 2013 8.10 世界選手権 4 2:31:28

 今大会を前に木崎は「世界陸上でトップ集団で走れなかった悔しさがあります」と、東海テレビのインタビューに答えている。
「名古屋では絶対に最後までトップ集団に残り、昨年のように自分が自信を持てるところでスパートしたい。一番良い順位を取りたい」

 国内で勝ったら、次は海外の高速レースに挑戦する。それも世界への道筋だろう。
 だが、かつての高橋尚子や野口みずき、渋井陽子のように2時間20分を切る力がなければ、オーバーペースとなって2時間27〜28分以上かかってしまうリスクもある。木崎は自身のタイプを考え、現時点では国内で勝負強さを研くルートで世界に近づこうとしている。
 国内でもペースメーカーがつけば、17分イーブンでレースが進む。昨年の木崎のように、その流れに乗って終盤でスパートすれば、2時間23分台は出すことができる。5km毎で5秒速くなれば、2時間22分台も可能になる。
 ただ、記録はあくまでも結果である。木崎が目指すのはラスト勝負で勝つこと。ラスト勝負で勝つためには、最後までトップ集団に残るための走力も必要となる。
 そのスタイルで瀬古は83年の東京国際で2時間08分38秒の、当時の世界歴代3位(世界記録とは20秒差)をマークした。バルセロナ五輪銀メダルの森下は91年別大で、2時間08分53秒の初マラソン世界歴代2位で走った。

 今回の名古屋で勝つことができれば、2011年横浜、2013年名古屋に続き、出場した国内3大マラソンで3連勝だ。実現すれば、野口みずき(シスメックス)以来の快挙となる(※)。

※出場した国内3大女子マラソンの連勝記録
 100%正確なデータにはできていないが、筆者が調べたところ日本選手では野口以外に3連勝はいないと思われる。以下が2連勝以上が判明している選手と大会。
■3連勝
野口みずき:02名古屋、03大阪、07東京国際女子
■2連勝
佐々木七恵:83東京国際女子、85名古屋
浅利純子:95&98東京国際女子
高橋尚子:98&00名古屋(03東京国際女子日本人1位)
土佐礼子:04名古屋、06東京国際女子(07大阪世界選手権銅メダル)
原 裕美子:05名古屋、07大阪
尾崎好美:08東京国際女子、11横浜(09世界選手権銀メダル)

 土佐が国内大会で2連勝後に、世界選手権で銅メダルを取っていて、国内大会3連勝以上の価値がある。尾崎は国内大会2連勝の間に世界選手権で銀メダル。ただし、ロンドン・マラソン13位も間に入ってくる。高橋は国内大会3回目に2位と敗れたが、日本人1位は確保した。ただ、日本人1位を含めると、もっと多くなりそう。


寺田的陸上競技WEBトップ