2014/8/3 インターハイ最終日
石山が円盤投高校新の54m05、砲丸投と2冠達成
高校投てき界のエースが語るインターハイ、
投てき3種目を行う意味、将来、トレーニング観


@円盤投の高校新を振り返って
※カコミ取材時のコメントを整理して紹介
「2投目はごり押し。完璧に近かったのは3投目」
「昨日のやり投で(勝てずに)2位になって、円盤投でも目標だった55mには届かなかったのですが、自己新の高校新で優勝することができて、とても嬉しいです。1年生で50mを超えましたが2年生では自己ベストが出ず、やっと出せたな、という安心感と、まだまだイケルというやる気の両方が沸いてきました。
(ファウルで55mを超えた3投目は)惜しいな、とは思いましたが、まだ試技が3投残っていたので、記録更新のチャンスはあると思っていました。(53m08の2投目は)あれはもう風に助けられた投げで、下から出てミスったなと思ったら円盤もブレブレでした。風のおかげで思ったより飛んで、ベストも出てくれました。そこで少し力みもあったのを次の投げで修正して、円盤にしっかりと遠心力をかけて、それに合わせて投げるようにした結果、54mにつながりました。
 完璧に近かったのは(54m05の)4投目ではなく、ファウルでしたが3回目です。あれが一番飛びましたし、リリースポイントのタイミングが合って、投げたときも行った感じがありました。(ファウルは)細かくは覚えていないですけど(ジェスチャー付きで)右脚がこうかかってしまって、ファウルを取られるな、と思ってごまかそうとしました。審判さんには通じませんでしたけど(笑)、切り換えて次の投げにつなげようと思いました。調子は悪くないと感じられましたから。
 4投目(54m05)は悪くはないですけど、完璧ではありませんでした。今できる完璧の投げではない投げでしたが、53mのごり押しの投げと比べると、しっかりと遠心力を使った投げに修正はできました。
(2位の安藤夢も大会新、4人が50m以上のハイレベルの争いをして)みんな日本ユースだったり国体だったり戦ってきて、勝ったり負けたりしてきました。今回はラスト・インターハイで、負けられない気持ちが強かったです」
「勝って、負けて、両方味わえて、次につながる試合になった」
「インターハイはやっぱり、勝つのは難しいなって思いました。自分もやるべきことはやってきたつもりですが、やり投はシュウ(森秀・今治明徳)に負けてしまいましたし、砲丸投でもベストが出せませんでした。
 入学当初からやりたかったやり投と、砲丸投、円盤投と合わせて3冠を目標にやってきて、一番勝ちたかったやり投で勝てなかったのは悔しいですけど、今回の結果をこれから先、世界を目指していくなかで生かしていきたい。勝って、負けて、両方味わえて、次につながる試合になったかな、と感じています。
 秋にも国体など大きな試合があります。記録更新はそっちで狙って行きたい。
 石井田(茂夫)先生には、ものすごく迷惑やら何やらかけてきました。人として少しは成長させていただけたし、ホンマに感謝の気持ちでいっぱいというか、良い言葉がちょっと出てきませんが、ホントに感謝しています」

Aやり投2位の後、ひじの痛みを克服して円盤投に
「昨日のやり投でひじを痛めて『明日ヤバイな』と思いました」
「やり投は少しの自己ベストでしたが、納得のいく投げはできませんでした。しかし目標は3冠でしたし、円盤投でも55m台の高校新を目指してやってきたので、そこでクヨクヨしていられませんでした。しっかりと足元を見て、気持ちを切り換えて今日の円盤投に臨みました。
(ひじを抑えていたのは)昨日のやり投で引っ張った投げが多くて、力みが入ってしまいました。少しこっちの筋が伸びてしまって、物をつかむのが痛いというか、つかめなくなってしまいました。服を脱ぐときもピキっと来て、力を入れられないし、『これは明日ヤバイな』と思いました。トレーナーさんや先生にほぐしてもらって、アイシングもして、なんとか円盤を投げられるようになりました。今もテーピングでここを抑えて、ごまかしている感じなんですけど。
 今日も違和感はありました。でも、去年とか脇腹を痛めて、まともに投げられなかったこともありました。この3日間に向けてしっかり体づくりもしてきたので、『できないはずがない』と思って、やってきたことをしっかり出そうと思ってやりました」
「『投げたい、投げたい。もっと思いきりやったろう』という気持ちを抑えられた」
「(万全でない状態で円盤投の高校新を出せたのは)やっぱり落ち着いて投げられたからだと思います。自分の場合、円盤投はテンションを上げすぎてしまったら崩れるところがあります。『投げたい、投げたい。もっと思いきりやったろう』という気持ちを抑えて、練習でやってきたポイントを抑えて投げることを意識しました。
(3種目の実施順が別のパターンが良かったとか)自分ではあまり、そういう考えは持ちませんでした。練習では1年生の頃から砲丸を投げて、やりを投げて、円盤を投げてと、順番を作ってやってきましたから。インターハイを見据えて。時と場合によって変えることもありますが、大学のグラウンドをお借りして3種目を練習するときなど、砲丸投、やり投、円盤投の順にシミュレーションをずっとやってきたので、実施順が変わらなければ練習通りなんです」

B投てき3種目をやっている強み
「昨年は種目毎に記録が出た時期がバラついていましたが、今年はまとまって記録が向上している」
「やり投選手で、砲丸投と円盤投もこれだけ投げる選手はいないと思うので、3種目の共通点を利用すれば、やりをもっと飛ばすことができる。そこが自分の強みだと思いますし、石井田先生ともそういう話をしています。3種目をやっていることが弱みになっているところもありますが、3つの共通点をしっかり見つけて、そこを生かしていければ自分の武器になります。
 3年生になってやっと、3種目の区別と共通点がわかるようになってきました。去年だったら砲丸投はインターハイで記録が出て、世界ユースがあったこともありますがやり投は京都大会で記録が出て、円盤投は国体で出てと、種目毎に記録が出た時期がバラついていました。その時期、その時期に、ここを特化させて、という練習をやっていた感じです。それが今年は、1つの大会で3つともベストやベストに近い記録を出せるようになりました。3種目の共通点と違っている点を抑えられているので、記録のまとまった向上につながっているんじゃないかと思います。
 大学ではやり投をメインにして、そこで世界を狙って行きますが、3つやることが強みになると思いますし、日本選手権に3つ出場とかもあるので、3つとも続けたいと思っています。
(3種目日本選手権出場なら快挙だが)そこまで甘くないかもしれません。練習では砲丸を投げ、円盤を投げ、やりを投げて、共通点を見つけてやっていきたいと思います」
「(ハンマー投も)実は小さい大会にたまに出たりしています」
「(ハンマー投も)実は小さい大会にたまに出たりしています。自己記録は昨年の48mですが、今年は1個下の後輩と京都私学大会で勝負しようと言っています。自分では意外と4回転が上手いんじゃないかと思っていて、48mは3回転でしたが、陰でこそこそ練習をしています。遊びと言いますか、ハンマー投のスイングがまた、体幹周りのトレーニングにもなるんです。円盤投の待ちの部分と、ハンマー投の(ジェスチャー付きで)ここからここのブーンという部分が似ているんです。感覚をつかむのに冬期とか、ハンマーを少し投げた後に円盤を投げたりしていました」

C“異種”トレーニングは体を操るため
「ゴルフはバッティングと一緒で、腰の使い方や左脚のブロックのタイミングとかに通じるものがある」
「(野球や器械体操も練習に取り入れているのは)自分の体を自由に操れることが一番大事だと思っています。走る人は自分の体だけ動かせば良いわけですが、投てきは自分の体を動かす上に、物に力を伝えないといけません。自分の体を思うように操れるないようでは、物に力を加えて遠くに飛ばすのは難しくなります。器械体操とかで体の軸、体幹周りをしっかり鍛えて、ゴルフや相撲も体の使い方を覚えることを目的に3年間、石井田先生と相談しながらやってきました。(相撲部屋に行ったりは?)していませんが、朝練の前に同じ体重、体格の選手と組み合って押し合いをしたり、背中を押し合ったり。ダッシュと組み合わせて押し相撲をやったりしていました。ゴルフはバッティングと一緒で、腰の使い方や左脚のブロックのタイミングとかに通じるものがあります。(ジェスチャー付きで)こう重力で落ちてくるのと一緒に、ゼロポジションで合わせたり」
「体の中心、全身を使ってパワーに頼らない投げを目指してやっています」
「(スピード型かパワー型か?)分けるとしたら、スピードの方です。今は。スクワットでは90kg以上は挙げないようにして、先ほど言った体幹部を鍛えて、スピードと言いますか技術と言いますか、体の中心、全身を使ってパワーに頼らない投げを目指してやっています。(室伏広治型だが?)そんな恐れ多いです。あの方に比べたら、自分なんかまだまだです。(立ち五段跳びは)全国合宿で測定したときは14m75でした。すねをちょっと疲労骨折しているのもあって、それが治れば15mくらいは行くかもしれません。今はケンケンもできなくて、やり投のラストクロスも必死でやっている状態なので。立ち五段跳びとかの基礎体力は今つけておかないと後で苦労をすると思うので、自分もそこを頑張ります」

Dやり投で世界へ
「大阪GPでやり投を見たのが陸上競技を始めたきっかけ」
「(やり投を今後メインにするのは)世界で一番戦える種目ですし、小さい頃に大きな試合を見に行ったときにやり投を見たのが陸上競技を始めたきっかけでした。やりが遠くに、そして綺麗に飛んだのを見て、スゴイなと思って、自分もこれをできたらいいな、と思いました。(大きな試合は)大阪GPですね。何年だったのかは正確に覚えていませんが、大阪世界陸上よりは後でした。(やりの)模様がクルクル回っていて綺麗で、うわーっと思って見ていました」
「村上さんとディーンさんの日本選手権は鳥肌が立った」
「(ディーン元気に憧れ始めたのは)奈良インターハイ(2009年)です。生で見たわけではありませんが雑誌とかで見て、同じ兵庫の方でしたし、すごいなと思いました。(翌年の)世界ジュニアでメダルを取られて、記録を伸ばしてオリンピック(2012年)まで出場されて、ホントにすごいと思いました。オリンピックの年の日本選手権(長居開催)は見に行っていて、村上(幸史)さんと抜いたり抜かれたりをされて、あれはこれまで見たなかで一番、鳥肌が立った試合でした(ディーン84m03、村上83m95)。あんな熱い試合を見られるとは思いませんでした。2020年の東京オリンピックはやり投で出たい」


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