2014/3/2 びわ湖マラソン
佐々木が条件的には難しいなか自身初のサブテン
2時間5分ランナー2人に割って入っての2位


@“先に後れた者”が上位に入ったレース
 旭化成期待のランナーが入社6年目でやっとサブテンを達成した。佐々木悟(旭化成)が2時間09分47秒で2位。優勝した元ジュニア世界最高記録保持者のウォルク(エチオピア)には200 m近く離されたが、2時間5分台の記録を持つキプルト(ケニア)はトラックの残り200 m手前で抜き去った。
「一番の目標が達成できたので素直に嬉しく思いますが、30kmまで良いペースだったので、もう少しタイムを出したかったというのが本音です」

 記録を狙うには難しいレースだった。
 20km通過は1時間00分04秒。前週の東京マラソン同様1km3分00秒平均のペースで進んだが、そこまで頑張って先頭集団に残っていた選手の大半は後半で後退した。
 スタート前に日が照り始め、暑さを苦手とする選手には影響したようだ。
 後半は風も強くなった。瀬田川を南下しているまでは追い風で1km3分に近いペースを保つことができたが、27km過ぎの南郷洗堰を折り返しすと向かい風が選手たちを苦しめた。

 30km手前で佐々木が後れ始め、30km通過タイムはアフリカ勢2人の1時間30分29秒に対し、佐々木は1時間30分34秒。5秒差がついていた。
 だがウォルクとキプルトの2人も、それほどペースが上がらない。33km過ぎで追いついた佐々木は、35km過ぎに前に出た。35kmは1時間46分19秒で、アフリカ勢2人は15分50秒までペースが落ちていた(佐々木は15分45秒)。
「集団のペースが落ちているのは明らかでしたが、タイムを出すためには集団のペースを上げる必要がある。自分がきっかけを作って、3人のペースが上がればと考えてのスパートでした」

 その時点でウォルクを引き離したが、結果的に自身も38km手前で後退。息を吹き返したウォルクがキプルトに追いつき、40kmでスパートして2時間09分10秒で優勝。佐々木もトラックに入った時点では20〜30m差があったが、残り200 m地点でキプルトを抜き去った。
 日本人2位の4位には22km付近と早い段階で後れた川内優輝(埼玉県庁)が、後半で追い上げて2時間10分38秒で入った。結果的に複数の戦局で、“先に後れた者”が逆転して上位に入ったレースだった。

 佐々木はフィニッシュ直後には「8分台を出したかった」と旭化成のスタッフには漏らしたというが、難しい条件のレースだけに評価は高い。宗猛監督は「いったん離されてから追いつき、最後力尽きたが、2時間5分台の2人に割って入った。よく頑張ったと思う」と賛辞を送る。
 ただ、アジア大会選考ということでは、最初の選考会出場が評価対象となる(12月の福岡国際で9位。2時間13分12秒で日本人3位)。前日の会見で「アジア大会は意識していない」と話していたのは、そういう状況だったからだった。

A初サブテンの背景 につづく??


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