2014/3/2 びわ湖マラソン
2週間前の調整レースよりも遅いタイムに本人はショックも
川内は終盤で追い上げての4位・2時間10分38秒


 日本人単独最多となる7回目のサブテンは達成できなかったが、レース展開には川内らしさが現れていた。
 中間点を過ぎて後れ始めた時点では15位。「やめちまえ」という心ないやじも沿道から飛んだが、「“ガンバレ”という声援もあったのでやめるわけにはいかない」と、あきらめずに前を追った。37km付近で福山良祐(Honda)を抜いて4位に浮上した。
「10km手前から苦しくなって、汗もすごくかいていました。耐えて、耐えて行ったのですが、ハーフでもう1km3分ペースで走れなくなって、ズルズル後退してしまいました。自分でもなんで、1km3分ペースがきつくなったのかわかりません。熊本(2時間10分14秒)よりも遅くなってショックです。質の高いレース、練習をしてきたのですが」

 選手たちには前週の東京マラソンで日本選手2人がサブナイン、5人がサブテンで走ったことが意識にあった。ペースメーカーの設定が1km3分00秒、東京と同じと決まったとき、ついて行けば好タイムが出せると判断したのは当然だろう。
 しかし、気象コンディションは必ずしも良くなかった。午前中は10℃台だった気温が12:30のスタート時には11.8℃に。13:08には14.0℃まで上昇した。風も後半は向かい風が強くなった。
 結果的に東京と同じペースでは無理があった。前半は風向きにも恵まれ、選手たちは速すぎるという自覚はあまりなかった(できなかった)が、先頭集団で25kmまで走った選手のほとんどは終盤で順位を落とした。
 今回のペースに対応できた日本選手は佐々木だけ。そういう選手の出現を促したという点では1km3分ペースで良かったといえるが、大半の選手にとっては難しいレースだった。

 川内の場合は暑さが苦手ということも輪をかけた。「レース前に陽が差してきて、きついかな、と思ったことが失敗だったかもしれない」と、自身のメンタル面を敗因の1つに挙げる。
「それを克服できるようなことをやっていかないといけない。1人で練習をするようになった経緯も、暑さで練習ができずボロボロになったから。そのときのトラウマを払拭しないと」
 その状況でも(無意識で?)早めに後退し、立て直すことができた川内は、客観的に見ればまとめるレースができたと評価できる。

 課題は残ったが、アジア大会の選考対象レースは最初に出場した福岡国際マラソンになる。陸連の宗猛部長は会見で、東京マラソン日本人2位の小林光二(SUBARU)よりも、福岡国際マラソン日本人1位の川内を高く評価すると明言。代表入りは間違いなさそうだ。
「今日の結果ではなんとも言えませんが、選ばれたら金メダルを狙っていきます。選ばれなかったら代表戦線で走るのは終わりです。選ばれたら勝負しますし、選ばれなかったら(冬のレースで日本記録を狙うなど)自分の目的に向かって行くだけ。結果を待ちたいと思います」
 来週の名古屋ハーフから6月中旬まで、16週連続でレースに出るプランは変えない。4月に人事異動があるかもしれないが、「土日に完結するくらいにやっている」と、不安要素にはなっていない。
 川内劇場は秋のアジア大会までは、“日の丸ステージ”が続いていく。

川内のマラソン全成績
回数 月日 大会 成績 日本人順位 記 録
1 2009 2.01 別大 20 2.19.26.
2 2009 3.22 東京 19 2.18.18.
3 2009 12.06 福岡国際 13 2.17.33.
4 2010 2.28 東京 4 2.12.36.
5 2010 12.05 福岡国際 10 2.17.54.
6 2011 2.27 東京 3 2.08.37.
7 2011 9.04 世界選手権 18 2.16.11.
8 2011 10.30 大阪マラソン 4 2.14.31.
9 2011 12.04 福岡国際 3 2.09.57.
10 2011 12.18 防府 2 2.12.33.
11 2012 2.26 東京 14 2.12.51.
12 2012 4.15 かすみがうら 1 2.22.38.
13 2012 4.29 デュッセルドルフ 8 2.12.58.
14 2012 7.01 ゴールドコースト 4 2.13.26.
15 2012 8.26 北海道 1 2.18.38.
16 2012 9.16 シドニー 1 2.11.52.
17 2012 10.21 ちばアクアライン 1 2.17.48.
18 2012 12.02 福岡国際 6 2.10.29.
19 2012 12.16 防府 1 1 2.10.46.
20 2013 1.18 エジプト国際 1 1 2.12.24.
21 2013 2.03 別大 1 1 2.08.15.
22 2013 3.17 ソウル国際 4 1 2.08.14.
23 2013 4.21 長野 1 1 2.14.27.
24 2013 6.02 千歳JAL国際 1 1 2.18.29.
25 2013 7.07 ゴールドコースト 1 1 2.10.01.
26 2013 8.17 世界選手権 18 4 2.15.35.
27 2013 10.13 メルボルン 2 1 2.11.40.
28 2013 11.03 ニューヨークシティ 11 2 2.12.29.
29 2013 12.01 福岡国際 3 1 2.09.05.
30 2013 12.15 防府 2 1 2.09.15.
31 2014 2.16 熊本城 1 1 2.10.14.
32 2014 3.02 びわ湖 4 2 2.10.38.


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