2014/9/15 2014山梨陸上グランプリ2nd
女子4×100 mRのアジア大会代表は44秒35
目標の「43秒5」が出せれば金メダルも


 女子4×100 mRのタイムについては、安易に断定できない難しさがある。日本記録は43秒39(2011年)で、43秒台は各国際大会の日本代表チームが10回は出している。それを考えると、山梨グランプリのアジア大会代表(藤森安奈・市川華菜・青木益未・福島千里)の44秒35はそれほど良いタイムではない。
 44秒を切るくらいを出したかったか? と問われた福島千里(北海道ハイテクAC)は答えるまでに少しの間があったが「そこまで気にしていないです」とコメントした。トライアルで44秒35なら、本番で43秒台も期待できると考えるのが普通だろう。

 アジア大会のレベルも高いかといえば、それほど高くはない。
 アジア大会の43秒台は中国だけしか出していなくて、94年広島大会、98年バンコク大会、02年釜山大会の3回。大会記録は98年バンコク大会の43秒36で日本記録とは0.03秒差。ちなみに90年代は、中国女子がトラック種目でアジア記録を連発していた時代だった。
 瀧谷部長が「43秒5くらいは出さないと」と話す数字は、金メダル争いができるタイムである。

 日本は前回2010年に広州で出した44秒41(銅メダル)がアジア大会での最高タイムで、これも、会心のレースではなかった。100 m&200 m2冠の福島の脚の状態が思わしくなく、予定の3走から4走に変更して起用した。当時の日本記録は09年に出した43秒58。0.83秒の開きがあった。
 以前と比べて速くなっているわけでもない。94年の広島アジア大会銅メダルのとき日本は44秒57だった。日本記録は上がっていても、国際大会で力を発揮できないのが日本女子4×100 mRの課題である。

 過去の実績から判断すると、各選手がピークをアジア大会本番に合わせられれば、メダルは確実だろう。山梨のトライアルで見つかった技術面の課題をクリアしていけば、金メダル争いも期待できる。
 問題は本番で力を発揮できるかどうか。歴代の女子代表チームの“壁”となってきた部分を乗りこえなければ、金メダルには届かない。

バトンパスの課題が明確に
山梨グランプリ・レース後の4選手コメント
1走・藤森安奈(青学大)
「1→2走のバトンパスは良かったです。一発で渡すことがしっかりできましたし、ちょっと安全策だったので、まだまだ行けそうです」
2走・市川華菜(ミズノ)
「1歩目が上手く出られなかった感じですが、加速には上手く乗ることができて、バトンを受け取った距離も良かったです。一発でもらうこともでき、もたつかずに走れました。2→3走のバトンはちょっと遠かったですね。手が伸びている時間が長くなってしまいました」
3走・青木益未(環太平洋大)
「2→3走は待った感じのパスになって、上手く流れるようには走れませんでした。3→4走は練習で私があまり走れていなかったので、本番は縮めたせいで、バトンゾーンに入ってすぐ渡す感じになりました。そこはしっかりと修正していきます」
4走・福島千里(北海道ハイテクAC)
「3→4走は少し詰まったと思います。本当は、上手にできるんです(周囲から笑い。本人もつられて笑い)。それを出せなかったのは緊張感だったり、レースの雰囲気だったり。これがアジア大会でなくてよかったです。課題が見つかって、まだまだ(練習が)できるので良いと思います」


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