2013/1/26 大阪国際女子マラソン前日
テグ世界陸上代表の野尻がペースメーカー
「競技者としての再スタートという位置づけ」


 テグ世界陸上代表の野尻あずさ(富山陸協)が、ハブタムとセイフの2人のエチオピア選手とともにペースメーカーをつとめる。25日のテクニカルミーティングで決まったタイムは5km毎が17分00秒。野尻は25kmまで先導する予定だ。
「課せられた仕事をきっちりこなしたい。昨年は私がペースメーカーにつかせてもらってすごく走りやすかった。明日は皆さんがきつくなる終盤で、しっかりと勝負ができるように持っていきたいですね。私は向かい風も苦じゃないので、風を切って走りますよ」
 自身としては今回のペースメーカーを「競技者としての再スタート」と位置づけている。昨年の大阪国際女子マラソン後は市民マラソンなどには出場していたが、2週間前の全国都道府県対抗女子駅伝(9区で区間20位・32分50秒)と今大会が競技としてのレース復帰となる。

 野尻は昨年の大阪にロンドン五輪代表を狙って出場。2時間24分57秒の自己新をマークしたが3位(日本人2位)で、目的は達せられなかった。中学時代に陸上競技全国大会の経験があったとはいえ、距離スキーから実業団チームに転じて4年間で五輪代表に迫ったことは高く評価された。
「私としてはちょっと詰めてやってきたので、ワンクッション入れたいと思いました」

 第一生命を退社して地元の富山に戻った。走ることは続けていたが、レースを目的とした練習はしなかった。
「練習と思って走るのではなく、原点に戻りたいと思ったんです。ジョッグをして、流しをしてつないでいくのがベースでした」
 子供たちや市民ランナーと触れ合いながら走った。ランニング講習会や講演も、「話すのは得意じゃないんですが、これからはやっていきたいこと」と頑張った。
「それまでの4年間は世界を目指すことが全てと思ってやってきました。この1年間は子供からお年寄りまで年齢も幅広く、走る位置づけもさまざまな人たちと一緒に走って、“いろいろな走ること”を知る時間を過ごせました」

 秋からは「そろそろ走り始めないと」と、レースも意識した練習を開始。年末の伊豆大島では7日間に50km走を3本こなす練習にもトライした。
「この1年間は休養でしたが、今後、鍛錬を積み重ねていくために練習も生活もすべて試しながらやってきました」
 ハードな練習にも気持ちにゆとりを持って取り組めるようにしたかったのだろう。
 目標はあくまでもリオ五輪のメダル獲得である。楽しんで走り続けるのでなく、リオ五輪までもう一度、「アスリートとして懸けてやっていく」ために、自身のスタイルを固めるための1年間だった。

「2011年の名古屋が震災で中止になったこともあって、私は国内レースは大阪しか走ったことがないんです(表参照)。いろいろな転機をこの大阪で迎えました。そういう意味でも、昨年の大阪の後に休養に入りましたが、競技復帰は大阪からにしたかったんです。ここからスタートしたんだと、その後の励みとできる走りをしたい」
 フィニッシュしない選手のなかにも、強い気持ちで走っている選手がいることに注目してほしい。

野尻あずさのマラソン全成績
月日 大会 成績 記 録
2004 10.03 ポートランド 2 2.50.04.
2010 1.31 大阪国際女子 8 2.29.12.
2011 4.17 ロンドン 12 2.25.29.
2011 8.27 世界選手権 19 2.33.42.
2012 1.29 大阪国際女子 3 2.24.57.


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