2013/3/9 名古屋ウィメンズマラソン前日
距離への不安がなくなった宮内姉
バイプレイヤーから脱するレースに


 双子ということで目立ちやすい存在のはずが、宮内洋子・宏子の姉妹(京セラ)は女子長距離界のバイプレイヤー的なイメージが強い。1万mで洋子が31分50秒45、宏子が31分42秒86の記録を持つ。6月には姉妹揃って30歳。長い期間頑張ってきたがタイトルや日本代表には届かない。
 今回は姉の宏子が4回目のマラソンとして出場するが、代表入りに強い意欲を見せている。
「1月、2月と宮崎と種子島で、昨年と同様に強化練習をしました。去年と同じ感覚で仕上がっています。2時間23分台で、日本人トップが目標。モスクワは是非、代表になって行きたいと思っています。将来はオリンピックも走りたい」
 強気の発言の裏付けは姉妹合わせて7回目のマラソンだった昨年の今大会で、2時間26分23秒と初めてサブ30を達成したこと。そして、そのときを上回る練習ができていること。

 新原保徳監督が今大会に向けてのトレーニングを説明してくれた。
「以前は40km走となると不安そうな顔をしていましたが、それが徐々になくなってきて、45km走とか40kmよりも長い距離走も2〜3回入れましたが、それも無難にこなしました。設定タイムは従来と変わりませんが、距離への不安がなくなったのが一番の変化です」
 姉妹で同じマラソンに出たのは2011年の大阪国際女子だけ。それ以外は洋子が名古屋、宏子が横浜国際女子と振り分けて出場している。宏子が花粉症で、「年明けになると難しい」(新原監督)だからだが、お互いに練習パートナーとなって助け合っている。
 洋子は宏子の横浜国際女子の練習に、夏頃から30km、40km走などを一緒にこなしている。「半年スパンで準備してきたことになるので、そういうところで気持ちに余裕があるみたいです」

 調整段階も順調で「レースペースに近い練習になっても構えることなく、それなりの走りができています」と、ミスなく名古屋に入ってきた。「今までで一番良い状態になっている」と新原監督は手応えを話す。
「あとは、本人がどれだけ世界陸上にこだわりをもって、苦しいところを乗り切れるか、だと思います」
 バイプレイヤーの選手、イコール“勝ちきれない選手”。どこかで殻を破らないと、そのまま競技生活を終えることになる。
「これまでは、“行けたらいいな”という気持ちでしかスタートしていないんです。気持ちの部分で何がなんでも、というものがあった方が、苦しいところを我慢できる。今回はここまでやれて来られているのだから、勝負の時だよ、と言っています。願望だけでは実現しないよ、思いをしっかり持っていかないと、と」

 実は、宮内洋子は世界ジュニアに出場している(2002年大会5000mで12位)。ジュニアではあるが、“勝ちきった”経験を持つ。勝負所で負け続けたわけではない。
 11年ぶりの代表入りに、かつてない強い気持ちで臨む。

宮内姉妹のマラソン全成績
氏名 回数 月日 大会 成績 記 録
宮内 洋子 1 2010 3.14 名古屋国際女子 11 2.33.36.
宮内 洋子 2 2011 1.30 大阪国際女子 8 2.36.43.
宮内 洋子 3 2012 3.11 名古屋ウィメンズ 9 2.26.23.
宮内 宏子 1 2009 11.15 横浜国際女子 8 2.32.20.
宮内 宏子 2 2010 8.29 北海道 2 2.35.42.
宮内 宏子 3 2011 1.30 大阪国際女子 10 2.38.31.
宮内 宏子 4 2011 11.20 横浜国際女子 11 2.36.08
宮内 宏子 5 2012 11.18 横浜国際女子 10 2.33.21.


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