2013/10/7 東京国体4日目
“新記録”コメントA
山本が高校生初の16m突破となる16m10!
滞空時間の長いステップを武器に2位に47cm差の圧勝

山本凌雅(長崎・諫早農高3年)
少年A男子三段跳リザルト  日刊スポーツ山本記事
●「着地した瞬間に16mは『超えた!』と思いました」
「調子が良くて中助走でも15m中盤を跳べていたので、今日は16mを狙えると思って臨みました。ちょっと風がありましたが(自分の跳躍のときは)追い風でしたし、日も照っていなかったのでやりやすかったです。着地した瞬間に16mは『超えた!』と思いました」
「(16m10の試技は)助走の出だしはしっかり地面を押していくことを心がけていますが、そこが上手くでき、踏み切り前が気持ち楽になっていたと思います。ホップは高くなりすぎず、前へ跳び出せました。ステップは自分の武器で、タメのある滞空時間の長い跳躍ができたんです。そこが他の選手と違うところです。ジャンプは他の選手と変わらなかったでしょうか。ホップは高く跳びすぎたら潰れてしまうので、高くなりすぎず、進める踏み切りをやっています」
「3本目以降は狙いすぎてしまった感じがありましたが、(15m96だった)6本目はリラックスができました。今日はそこがカギだったと思います。6本目の前に16m29のジュニア記録を狙うように言われて、狙っていったのですが力が足りませんでした」
●「昨年までは15m44がベストで16mまで行ける自信はなかった」
「正直16mを跳べるとは、昨年までは思っていませんでした。15m44がベストでしたから、そこまで行ける自信はなかったです。高3になって16mという目標を立てましたが、目標を高く持つことで記録がついてきました。(伸びた要因は)ステップがカギだと思って、そこを研くことでステップのタメが身に染み込ませられたのだと思います。(冬期に)ケガもありましたが、それほど焦りはありませんでした。やれることをやって基礎体力をつけようと思いました」
「緊張はあまりしないのですが、狙いすぎる傾向があります。1本目で(良い記録を跳んで)決めてしまうのが良いのですが、狙いすぎてファウルをしてしまうことも多いんです」
「(15m79と高校記録に5cmと迫った)インターハイは向かい風1.3mでした。その後練習を変えたということはありません。サーキットトレーニング、ウエイトトレーニングが中心で、ジャンプ系はあまりやっていないです。(15m40以上の選手が多く)レベルが高く、犬井(亮介・洛南高3年)も15m74を跳んでいます。ライバルとして良い刺激になっています」
●「“走幅跳は1歩なのに三段跳は3歩も跳べる”」
「世界大会に最近、三段跳の代表が出られなくなっています。だったら自分がレベルを上げていこうと。まずはジュニア記録を超えて、一歩一歩進んで、日本記録も更新して世界で戦える選手になりたい。(ジュニア記録は)出せるものなら早めに出したいです。2週間後のジュニア選手権も狙っている大会です」
「陸上競技を始めたのは小学校6年生のときで100 mやハードル、走高跳をやっていました。ハードルとリレーで全国大会にも出場しました。三段跳は高校1年の9月くらいに県の大会に出たのが最初です。14m55で勝つことができ、日本ユースの標準記録も破っていて、そこから三段跳を専門にしました。その前は走幅跳がメイン。走幅跳も楽しかったですけど、三段跳を始めて“走幅跳は1歩なのに三段跳は3歩も跳べる”と興味を強く持てたんです」
「2020年の東京オリンピックに出たい気持ちはすごくあります。出るだけではなく世界で通用する選手になりたいので、大学に進んで技術を研きたい。三段跳を有名にしたいと思っているので、自分が引っ張る気持ちで頑張っていこうと思います」

犬井亮介(京都・洛南高3年)
2位・15m63(−0.2)
●「山本も跳ぶと言っていたので、16mを跳ばないと勝てないと思っていました」
「自分の調子も良かったし、気象コンディションも良かったので実力不足です。山本との差はあると感じました。(山本の2回目の16mは)すごいと思いましたが、6本のなかで抜く気持ちをもって試技に臨みました。気持ちよく跳ぶことはできましたが、100%満足できません。(16mは壁と思っていなかった?)試合前から跳ぶつもりでした。山本も跳ぶと言っていたので、16mを跳ばないと勝てないと思っていました」

山下訓史先生 日本記録(17m15)保持者
●「山本君には天性のものを感じます」
「山本君には天性のものを感じます。あの細い体格はまさに三段跳向きです。スピードもあるし、バネに適した筋肉を持っていて、技術も上手だなと思いました。ジャンプのバランスだけは良くありませんが、ステップまでの技術は一般選手並みです。余計な動きと姿勢がありません。姿勢は軸がしっかりとできていて、慌てて前傾させていない。(上体を)真っ直ぐにして、地面からの衝撃をそのまま受け止められています。脚を大振りしないでタイミングを合わせてズバッと跳んでいる。ベテランの技ですね。僕も調子が悪いときは大振りしないで軸だけ合わせていました。エドワーズ型と言っていいと思いますが、エドワーズはそれにプラスしてスイングも大きい。山本君も大きく振れるようになればすぐにでも16m50は行くでしょう。17mも難しくないと思います。犬井君は力強い跳躍をしますが、体が左右にぶれて上への力が分散してしまっている。スピードと力に頼っていて、言ってみれば荒削りですが、16mを跳ぶ力はあると思いました。山本君とはタイプが違いますが面白い素材です」


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