2013/1/3 箱根駅伝
予選会2位の帝京大がチーム最高順位タイの4位に
中野孝行監督コメント
「今年は日本一あきらめの悪いチーム。来年は世界一あきらめの悪いチームに」

※カコミ取材の途中から
 出るだけのチームだね、と言い続けて、やっと(上位で戦うことが)現実になりました。

 私が着任して、最初の年(2008年)にたなぼたで8位になったんです。簡単にシードを取ったのがよくなかったんでしょう。4年間、惜しいところとよく言われましたが、やっていることを考えたらよく11〜13位にもっていけました(2010年11位、11年13位、12年13位)。本当に苦しんで、苦しみ抜いた4年間でした。それをこの2日間、ものすごく感じましたね。

 最近の若い子には“強さ”が必要だと思って指導してきました。速さも必要ですが、大学4年間で陸上だけ強くなるのでなく、陸上が実生活にも役立つ、辛抱ができるようになる指導をしたいと思ってやってきました。ゆとり教育への、私なりの反発もあった。勝負するところでは、勝負できる人間になってほしいんです。

 今回“日本一あきらめの悪いチーム”にはなれたと思います。あきらめの悪い監督だったからでしょうかね。今の学生に欠けている部分でもあると思うんです。どこかでチャンスが来ると、しつこくやった結果です。
 何万年もかけてできる鍾乳石のように、365日を2年、3年かけて結実させてきました。
(日体大がこの1年間、掃除や挨拶の徹底からやり直したが)
 そうですね。昨日、別府監督が「今日以上に強い風のところでやってきた」ということを話しておられました。実際に風の強いところで練習したという意味もありますが、1年間の取り組みが現れる部分です。私も、このくらいの悪コンディションのなかでやってきた、と言えます。人生の向かい風と一緒ですね。
 でも、日体大には敬意を払いたいと思います。本当に。

 山下りである程度は上位に行けるかと思っていましたが(千葉一慶が区間3位)、平地の4区が良い意味で外してくれました(早川昇平が区間2位)。集団を引いて、駒大を抜いてくれましたから。駒大と戦える勇気を与えてくれました。
 4区に関してはこだわりもあります。自分が走った区間でコースの特性も把握できています。距離が18.5kmと短縮されましたが、全日本大学駅伝でいったら、それより長いのは8区だけ。決して短いわけではないんです。アップダウンもあって、かなり難しいコース。それなりに差がつきます。
 以前は中島修三さんなど、順大が連勝していた時代にかなり強い選手を置いていました。短くなっても、山を登る前の位置を取るのに重要な区間と考えています。4区に強い選手を置くことができれば、面白いレースができるのです。

 10区で強い早大に近づけたことはうれしかったですね。簡単に勝たせてもらえるとは思わなかったので、熊崎(健人)の特徴も踏まえて、ぎりぎりまでチャンスを探って勝負しました。
 早大の田口(大貴)君は浪人して入学した選手と聞いていました。早大の浪人した選手といえば、私の現役時代でいえばセカンドウィンドACの川越(学)さんがそうでした。ものすごく強い印象があります。簡単には勝たせてくれないと思っていましたから、確実に勝つにはどうするかを考えました。

 1区と6区の選手が(田中健人と千葉)、高校時代は15分台の選手です。帝京大のやり方の良いところが現れた選手たちでしょう。高校で15分台の選手でも、光るものがあれば箱根を走れる。13分台、28分台で走れるようになることは、この何年間かで証明できました。
 13分台の選手が入学してきたら、12分台で走れますよ(笑)。
 ウチの選手たちは本当に弱いわけではないんです。チャンスがなかっただけ、戦う場面がなかっただけなんです。選手たちにも「負け組じゃないよ」と言い続けました。

 卒業するのは9区の山川(雄大)だけです。
 ウチは1往復半したら、16区間とかあったら2位くらいまで行けると思いますよ。予備軍はいっぱいいるんです。彼らを鍛え直して、また箱根に来ます。“世界一あきらめの悪いチーム”になって戻ってこないとダメだと思っています。


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