2013/3/3 びわ湖マラソン
松村&足立が2時間10分台の自己新
初マラソン別大で好走した2人がびわ湖でステップアップ
ともに初マラソンの別大で好走した。足立知弥(旭化成)は2008年に優勝し、松村康平(三菱重工長崎)は昨年日本人トップの4位。ともに2時間11分台をデビュー戦でマークした。
その2人が今大会ではともに2時間10分台。フィニッシュ直後に先に言葉となったのは悔しさだったが、今後の見通しも立ったマラソンになった。
松村康平のマラソン全成績
回数 |
年 |
月日 |
大会 |
順位 |
日本人順位 |
記 録 |
1 |
2012 |
2.05 |
別大 |
4 |
1 |
2.11.18. |
2 |
2013 |
3.03 |
びわ湖 |
7 |
4 |
2.10.12. |
足立知弥のマラソン全成績
回数 |
年 |
月日 |
大会 |
順位 |
日本人順位 |
記 録 |
1 |
2008 |
2.03 |
別大 |
1 |
1 |
2.11.59. |
2 |
2009 |
2.01 |
別大 |
6 |
|
2.13.17. |
3 |
2010 |
2.28 |
東京 |
5 |
|
2.12.46. |
4 |
2012 |
2.26 |
東京 |
12 |
|
2.12.35. |
5 |
2013 |
3.03 |
びわ湖 |
9 |
5 |
2.10.22. |
●大学も実業団も3〜4年目で結果
松村は35kmまで先頭集団で粘った。40kmまでは16分05秒とぎりぎり粘ったが、最後の2.195kmは7分12秒まで落ち込んだ。
「30kmくらいまでは理想の展開でした。それ以降は、粘ることは粘ったのですが、35km以降はまったくダメ。あそこまで脚が止まるとは思っていませんでした。今日は(コース後半の)吹き下ろしにやられました。後半給水が取れなかったり、色々反省点があります」
2時間10分12秒と初マラソンのタイムを約1分更新したが、「タイムはすごく悔やまれます」と、ニコリともしなかった。
三菱重工長崎はこれまで堤忠之が2時間10分53秒(2003年別大)、徳永考志が2時間10分10秒(2005年びわ湖)、小林誠治が2時間10分38秒(2009年別大。今大会がラストラン)と3人が2時間10分台をマークしている。今回の松村は黒木純監督が「2時間8分台も狙っていた」というくらいの練習ができ、チーム初のサブテンを本人も「出さないといけない」と考えていたのだ。
だが、練習には手応えが感じられた。黒木監督が以下のように説明してくれた。
「別大のときの練習はは手探り状態で、今回よりも低いレベルでしかできませんでした。40km走は7、8本やりましたが、最初の方は2時間20分を切るくらいに抑えました。後半2時間12〜13分で、最後は2時間10分台。僕はそれほど走行距離にこだわらないので、量的には(月間)1000kmとか走っていないはずです。松村は自分の状態をしっかりと把握できるのが強みです。きついときでも安定した練習ができる選手です」
大阪清風高出身で、山梨学大ではモグスと同学年。箱根駅伝は3、4年時に1区で区間7位、区間4位だった。特に4年時は集団から単独で抜け出すなど、積極的な走りが印象に残っている。
初マラソンは25歳で入社3年目の終わり。箱根駅伝デビューも大学3年時だったように、環境が変わって若干もたつく傾向がある。だが、そのチームのスタイルに馴染んでからは、大崩れしないタイプのようだ。
次のマラソンがどこになるかはわからないが、さらにステップアップした走りが期待できる。
●後輩の堀端を追い上げる態勢に
足立知弥も30kmまでは集団でしっかりと走っていたが、33km付近から後れ始めた。35km以降は松村からそれほど離されず、最後の2.195kmでは差を詰めフィニッシュでは約60m背後まで迫った。
だが、これは松村と同様、レース直後には悔しさが先に言葉となった。
「練習からしたらもっとイケルと思っていました。8分台も狙っていました。寒さとスローペースで体が固まってしまい、レースが動いたところで対応できませんでした」
2008年別大から始まって毎年1本はマラソンを走っているが、2011年は故障で走れなかった(表参照)。初マラソンを優勝で飾っただけに、その後も大崩れはしていないが、足立のこの5年間は停滞している印象があった。
「変な位置で停滞してしまって、5回目の今回もダメだったら、今後も厳しいと思っていました。一気に2時間10分の壁を破りたかったのでそこは残念ですが、今後もやっていけると感じられた。悔しいですけど、きっかけはつかめたと思います」
堀端宏行は1学年後輩だが、同じ九州出身で、高卒で旭化成に入ったのも同じ。初マラソンもほとんど同時で、足立が別大で優勝した2週間後に堀端が東京マラソンを走った。タイムも2時間11分台でほとんど同じだった。
それが足立が停滞している間に堀端は世界選手権7位にまで成長。この冬も福岡国際で2時間08分24秒で日本人1位となった。
陸マガ1月号で記事にしたように、堀端は40km走をかなり高いレベルで行うのが特徴(そのなかでも変化が生じて福岡で2時間8分台を出した)。足立は「同じタイムでやろうとしたら脚が持たない」と言う。だが、びわ湖に向けて「10kmや20kmを堀端と同じくらいのタイムでしっかりとできた」ことが自信となった。
初マラソンは入社4年目の22歳のとき。その後の結果から判断すると、練習スタイルを本当に自分のものにできていなかったのだろう。
今回の練習では堀端を超えることはできないが、試行錯誤を経て出したびわ湖の結果で足立が何かを感じ取った可能性もある。
「これまでより高いところを狙える位置に来た」
足立はどういうやり方で堀端を追いかけるのだろうか。
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