2012/3/9 名古屋ウィメンズマラソン前々日
有力選手が会見
野口は初マラソンを走った名古屋で「初心に戻って」挑戦
尾崎に精神的余裕と練習への手応え
赤羽は2月に1週間の練習中断も「勝てると信じて」出場


「40km走は大阪前にけっこうやっていたので、30km走を2回とスピード練習」(野口)
Q.(代表質問)ここまでどんな練習をしてきて、現在の調子はどうですか。
野口みずき 大阪がダメになって名古屋にスライドしましたが、2月頭から中国の昆明で合宿をしました。40km走は大阪前にけっこうやっていたので、30km走を2回やって、あとは名古屋に合わせたスピード練習をやってきました。
渋井陽子 12月終わりから宮古島で3週間と2週間の合宿を組み、最後に2週間中国で合宿しました。42kmをゆっくりのペースで4回くらい、中国ではスピード練習をやってきました。調子は、全日本の駅伝のときよりはましかな。
尾崎好美 駅伝のあと2週間休養して、1月上旬は徳之島で体調を上げる練習をしました。1月下旬から2月いっぱいは中国で合宿しました。2月前半は走り込みをして、後半はレースペースに近いようなスピード練習に移っていきました。今までのマラソン練習で一番良い手応えを感じられる体調に上がってきています。
赤羽有紀子 12月末から1月末まで徳之島で、順調に距離とスピードができました。2月に入って奄美に行き、昨日までいたのですが、40km走のあと脚を痛めて1週間ほど走れませんでした。やっと良くなったのは今月に入ってから。正直、しっかり練習できませんでしたが、3月に入って良くなってきています。調子も上がってきました。
中里麗美 1月に入って沖縄の国頭村で合宿して、40km走などの距離走や変化走をやってきました。調子は合宿に入って徐々に上がってきて、今も好調をキープしています。
伊藤舞 駅伝とハーフマラソンを2本、10kmを1本とレースをはさみながらこの試合を迎えました。今の調子は良いと思います。
デレバ 昨年はこの名古屋が地震で中止になりましたが、今年は名古屋ウィメンズマラソンという形で開催されることを、神に感謝したいと思います。このようにたくさんの日本のベスト選手の皆さんと走るチャンスを喜んでいます。11月から3月までケニアでトレーニングをして、コンディションは良好です。

「目標は優勝で、自己新の2時間22分台を狙って行きたい」(中里)
Q.(代表質問)タイム、順位の目標と、ロンドン五輪への思いを教えてください。
野口 先ほど1つ、質問にお答えするのを忘れてしまいました。調子はまあまあです。目標はもちろん、ロンドン・オリンピックを懸けてやってきていますから優勝です。タイムは2時間22〜23分台を目指しています。私にとっては4年半ぶりのマラソンですし、この名古屋は縁のある場所です。10年前に初マラソンを走らせてもらった場所ですから、また初心に戻った気持ちで走れると思います。チャレンジャーという気持ちでやっていきます。
渋井 流れに乗って、流されて…(笑)、行ければいいかな。メンバーが豪華なので、楽しんじゃおうかと思っています。順位は流れで決まると思います。
尾崎 やっぱり優勝と2時間22分台を目標に走りたいと思います。今回が3回目のオリンピック選考レース挑戦です。オリンピックへの思いが強かったというか、捨てきれなかったというか。出場したい気持ちが強かったので、今回こうしてもう一度、名古屋に出場できることを嬉しく思いますし、納得のいく結果を出せたらいいな、と思います。
赤羽 私にとってオリンピックへの挑戦は、今回が最後と思っています。目標は優勝です。目標タイムは特にありません。
中里 目標は優勝で、自己新の2時間22分台を狙って行きたいです。ロンドン五輪に行きたい気持ちが強いのですが、そこで力まないように、楽しんで走れたらいいなと思っています。
伊藤 私の目標はロンドン五輪に行くために優勝することです。目標タイムは2時間23分台です。
デレバ 目標は今出せるベストの力を出して、良いレースをしたいと思っています。ケニア陸連はすでに6人のオリンピック候補を発表していて、私はそこに入っていませんが、オリンピックに選ばれる可能性が出るようにアピールする走りをしたいと思います。

「もう1回挑戦しないと後悔すると思って出場することを決めました」(尾崎)
Q.尾崎さんと赤羽さんに。お2人は名古屋に出場するにあたって考えることがあったと思いますが、決断したきっかけとそのときの心境は?
尾崎 横浜が終わった時点ではチームの他の選手が大阪と名古屋に出場する予定でしたし、私はあきらめかけたというか、あまり選考レースに出場することは考えていませんでした。しかしまだ選考レースが残っているなかでオリンピックへの思いを捨てきれず、もう一度走ることができるなら、3回目の選考レース出場は今まで前例もなく、あまり良いことでないのかもしれませんが、それは気にしないで自分が納得して終わりたいと思いました。もう1回挑戦しないと後悔すると思って出場することを決めました。
赤羽 世界選手権日本人トップの5位ということで、メダルを取れませんでした。内定もとれず微妙な立場になりましたが、横浜と大阪の結果を見て名古屋に出場するかどうかを決めようと、世界選手権後に考えていました。2つの大会の結果を見て、走らないと代表になれないのではと感じて、名古屋に出ると決めました。

「勝負所は、名古屋城前の上り坂で動きがあります。その辺になるのかな」(赤羽)
Q.新コースの印象と、先ほど話をされた目標を達成するためのカギ、レース中のポイントは何ですか。
野口 昨日名古屋入りして、その足でコースの下見をしました。前のコースとかぶっている部分が多いのですが、後半でカーブやカクカクしているところが多いので、足下に気を付けた方がいいかな、と思いました。でも、ずっと直線が続くよりもカーブやカクカクがあった方が気分的には良いです。ポイントは今言うと戦略的にどうかな、と思うので、それは自分の中でとどめさせてもらいます。
渋井 (コースは)これから見に行きます。かぶっているところが多いということなのであまり考えていませんが、後半30km過ぎくらいから(レースが)動くんじゃないかと思うので、備えます。
尾崎 1月に下見をしました。前の名古屋のコースとかぶっているところも多く、4年前に走ったときの記憶も戻ってきました。けっこう覚えていて馴染みのコースだと感じました。イメージを作りやすいと思います。ポイントはレース展開は当日の天候などで変わると思いますし、やっぱり秘密にしておきたいと思います。
赤羽 名古屋を走るのは初めてですが、コースを下見してみて折り返しがたくさんあるという印象です。毎年のレースを見ると勝負所は、名古屋城前の上り坂で動きがあります。その辺になるのかな、と思っています。
中里 試走をさせてもらって、小さなアップダウンがあるな、という印象です。33km過ぎに1つ大きな坂があるので、そこが勝負所になるんじゃないかと思いました。
伊藤 後半が少し上り坂になると感じました。レースはそのときの流れで対応していきたい。

「ハイペースでずっと押していくことが自分の持ち味」(中里)
Q.皆さんそれぞれ実績や持ち味をお持ちですが、目標に掲げられた1番になるための一番武器となる持ち味は何だと思っていますか。
野口 粘れるところが持ち味なのかな、と思っています。前半は余裕を持って走り、後半でスピードの切り換えがいつも通りできたらいいかな、と思っています。
渋井 持ち味はやっちゃうともう、走れなくなることです。そうならないように(笑)、走りたいです。ノッたらやばいです。
尾崎 苦しくなったところを超えてから、楽になる感覚を練習でつかめています。そういうところでの粘りを、レースでも発揮できれば強みになります。粘りと最後の切り換えをできればいいと思っています。
赤羽 最後まで粘ることだと思います。
中里 自分の中では一定のペースで押していける力があると思っています。ハイペースで入って、そのペースでずっと押していくことが自分の持ち味だと思っています。
伊藤 ここ最近、ずっと故障をしないで練習ができています。それを強みにしたい。
デレバ ただただベストの走りをして、ベストのレースをすることです。優勝するために足りない部分は、神が助けてくれます。

「1週間前に富津の10kmの大会で32分48秒か49秒で走りました」(渋井)
Q.この大会に向けて最後のポイント練習は何日前で、どんなメニューを、どんなタイムでやりましたか。
野口 30km走を2回やって、スピード練習もけっこうやってきました。前半は1900mの高地に慣れずきつかったのですが、中盤から後半は徐々にペースも上げられました。帰国前、3月3日にある程度速いペースで15km走ができました。タイムはちょっとシークレットです。帰国してからもある程度、ポイント練習はやってきました。
Q.(質問不詳)
野口 8〜9割くらいです。
渋井 1週間前に富津の10kmの大会に出て、32分48秒か49秒で走りました。
尾崎 先週の土曜日に1万mのペース走をしました。合宿中は高地ということと、風が強かったりして、練習タイムと調子の比較がしづらかったのですが、帰ってポイントをして、レースペースより速いペースで走って、どのくらい余裕を持てるかチェックしたかったんです。そういう練習を入れて、とても良い感覚で走れています。
赤羽 ケガをしてしまってこれまでの調整とはまったく違う形になりました。あまり良いタイムで走れていませんから、公表しなくて良いですか?
中里 今週の火曜日に1万2000mのビルドアップをしました。いつもと同じような流れで調整しています。タイムはあまり気にしないで走ったので、公表しないで良いですか?
伊藤 月曜日にペース走をしました。最近はタイムよりもリズムで押していくことを大切にしてやってきました。1万2000mです。

「待って選ばれないことだけは避けたかった」(赤羽)
Q.赤羽さんに。ケガをされてリスクを背負ってまで、試合に出るのですか。
赤羽 今回、このまま待ってもよかったかもしれませんが、待って選ばれないことだけは避けたかったんです。勝てると信じてレースに出ることにしました。

「アテネ五輪のときのような大舞台で喜びを感じられる瞬間をまた味わいたい」(野口)
Q.野口さんに。4年ぶりのマラソンの心境と、前回出られなかったオリンピックへの今の思いは?
野口 4年ぶりなのですが、本当に4年は長くて、何度も何度もあきらめようと思いました。しかしファンの方たちがあきらめずに応援してくれました。あきらめなかったのは、ファンの人が支えてくれたことが大きかったと思います。なのでワクワク感があります。でも4年ぶりでどれだけ走れるか、走ってみないとわからない。ワクワクと不安が半々です。2004年のアテネ五輪で金メダルを取り、あのときのような大舞台で喜びを感じられる瞬間をまた味わいたい。オリンピックへはそういう思いを持っています。

「マラソンを続けて名古屋まで持って来られたことで新しい発見ができた」(尾崎)
Q.尾崎さんは3度目の選考会出場で、ある意味開き直れるというか、思い切って挑戦できる立場ではないかと思います。横浜のときと心境に違いがありますか。
尾崎 今までの選考レースよりもさらに良いものをつくらないと出る意味がないと思ってやってきましたが、精神的にだったり、プレッシャーだったりはこれまでよりも少なく、とても良い精神状態で来られました。今まで、こうしてマラソン練習を継続してできたことがなかったので、マラソンを続けて名古屋まで持って来られたことで新しい発見ができました。スタミナもアップしたと感じています。とてもいいものができました。
Q.テグの前と比べても良いものですか。
尾崎 練習場所が違うので比較しにくいのですが、体の感覚としてはテグの前よりも良いと思います。


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