2012/7/3 ロンドン五輪代表全員が決定
ロンドン五輪代表トレンド
学年別では横田世代が7人で最多、ディーン世代が一気に5人に
出身大学は
順大が5人で、出身高校所在地は北海道愛知が4人で最多
岡崎城西高出身の3人がトレンドに影響大


生年月日順代表一覧
選手 生年月日 所属 出身大学 出身高校 出身高校
所在地
室伏 広治 1974/10/8 ミズノ 中京大 成田 千葉
村上 幸史 1979/12/23 スズキ浜松AC 日大 今治明徳 愛媛
川崎真裕美 1980/5/10 富士通   下館二 茨城
尾崎 好美 1981/7/1 第一生命   相洋 神奈川
藤原 新 1981/9/12 ミキハウス 拓大 諫早 長崎
福士加代子 1982/3/25 ワコール   五所川原工 青森
久保倉里美 1982/4/27 新潟アルビレックスRC 福島大 旭川北 北海道
中本健太郎 1982/12/7 安川電機 拓大 西市 山口
谷井 孝行 1983/2/14 佐川急便 日大 高岡向陵 富山
山崎 勇喜 1984/1/16 自体学 順大 富山商 富山
山本 亮 1984/5/18 佐川急便 中大 長田 兵庫
高平 慎士 1984/7/18 富士通 順大 旭川大 北海道
吉川 美香 1984/9/16 パナソニック   荏田 神奈川
森岡紘一朗 1985/4/2 富士通 順大 諫早 長崎
佐野 夢加 1985/6/1 都留文科大職 都留文科大 駿台甲府 山梨
木崎 良子 1985/6/21 ダイハツ 佛教大 宮津 京都
大利 久美 1985/7/29 富士通 日女体大 西武文理 埼玉
海老原有希 1985/10/28 スズキ浜松AC 国士大 真岡女 栃木
右代 啓祐 1986/7/24 スズキ浜松AC 国士大 札幌一 北海道
渕瀬真寿美 1986/9/2 大塚製薬 龍谷大 須磨学園 兵庫
佐藤 悠基 1986/11/26 日清食品グループ 東海大 佐久長聖 長野
重友 梨佐 1987/8/29 天満屋   興譲館 岡山
金丸 祐三 1987/9/18 大塚製薬 法大 大阪 大阪
藤沢 勇 1987/10/12 ALSOK 山梨学大 中野実 長野
横田 真人 1987/11/19 富士通 慶大 立教池袋 東京
鈴木 雄介 1988/1/2 富士通 順大 小松 石川
新谷 仁美 1988/2/26 ユニバーサル
エンターテインメント
  興譲館 岡山
我孫子智美 1988/3/17 滋賀レイクスターズ 同大 光泉 滋賀
木村 文子 1988/6/11 エディオン 横浜国大 祇園北 広島
福島 千里 1988/6/27 北海道ハイテクAC   帯広南商 北海道
高橋萌木子 1988/11/16 富士通 平成国際大 埼玉栄 埼玉
高瀬 慧 1988/11/25 富士通 順大 静岡西 静岡
中野 弘幸 1988/12/9 愛知教大 愛知教大 名古屋 愛知
江里口匡史 1988/12/17 大阪ガス 早大 鹿本 熊本
岸本 鷹幸 1990/5/6 法大 法大 大湊 青森
中村 明彦 1990/10/23 中京大 中京大 岡崎城西 愛知
市川 華菜 1991/1/14 中京大 中京大 岡崎城西 愛知
東 佳弘 1991/5/7 関大 関大 大阪
飯塚 翔太 1991/6/25 中大 中大 藤枝明誠 静岡
舘野 哲也 1991/8/5 中大 中大 郁文館 東京
ディーン元気 1991/12/30 早大 早大 市尼崎 兵庫
山本 聖途 1992/3/11 中京大 中京大 岡崎城西 愛知
九鬼 巧 1992/5/18 早大 早大 和歌山北 和歌山
山縣 亮太 1992/6/10 慶大 慶大 広島修道 広島
西塔 拓己 1993/3/23 東洋大 東洋大 広島商 広島
土井 杏南 1995/8/24 埼玉栄高   埼玉栄 埼玉

●学年別
 最年長が室伏広治の37歳、最年少が土井杏南の16歳。年齢差は21歳と大きいが、過去最大の年齢差かどうかは不明。

 最多人数は今年25歳になる横田世代の7人。昨年のテグ世界陸上も7人だったが、連続代表は横田真人、金丸祐三、鈴木雄介、新谷仁美の4人。3人が連続代表入りができなかったが、重友梨佐、我孫子智美、藤澤勇と3人が加わった。
 世代の顔を横田としているが、我孫子も日本記録保持者になった。日本選手権優勝回数なら金丸の“8”が多い。国際大会の成績なら昨年の世界選手権8位入賞の鈴木が一番。世間的な知名度なら重友だろう。
 世代の顔は今後の活躍で変わってくる。

 次に多いのが今年24歳になる福島世代の6人で、昨年の世界陸上から1人減ってしまった。年齢的には充実する年代だが、選手団の数が世界陸上より少なくなるので、あり得ることだろう。
 3番目に多いのが今年27歳になる海老原有希たちの学年と、今年21歳になるディーン元気たちの学年の5人。
 特筆すべきはディーン世代だろう。昨年の世界陸上は400 mHの安部孝駿(中京大)1人だけだった。今年はその安部が代表漏れしてしまったが、一気に5人が加わった。2年前の世界ジュニアで大活躍した学年。
 そのときは飯塚翔太が200 mで金メダルを獲得。飯塚自身が「そのときは飯塚世代と言われましたが、今はディーン世代。再び飯塚世代と言われるように頑張りたい」というニュアンスのコメントを壮行会でしていたという。

 少し気になったのが今年23歳になる学年が1人も代表入りできなかったこと。昨年の世界陸上は5人が代表になっていた。年齢的に頑張らないといけない学年なのだが…。

チーム別

富士通 高瀬 慧
高平慎士
横田真人
鈴木雄介
森岡紘一朗
高橋萌木子
川崎真裕美
大利久美

スズキ浜松AC 村上幸史
右代啓祐
海老原有希
中京大 中村明彦
山本聖途
市川華菜

大塚製薬 金丸祐三
渕瀬真寿美
佐川急便 谷井孝行
山本 亮
早大 ディーン元気
九鬼 巧
中大 飯塚翔太
舘野哲也
出身大学別

順大 山崎勇喜
高平慎士
森岡紘一朗
鈴木雄介
高瀬 慧

中京大 室伏広治
中村明彦
市川華菜
山本聖途

中大 山本 亮
飯塚翔太
舘野哲也
早大 江里口匡史
ディーン元気
九鬼 巧

法大 金丸祐三
岸本鷹幸
日大 村上幸史
谷井孝行
拓大 藤原 新
中本健太郎
国士大 海老原有希
右代啓祐
慶大 横田真人
山縣亮太

出身高校別

岡崎城西 中村明彦
市川華菜
山本聖途

埼玉栄 高橋萌木子
土井杏南
興譲館 新谷仁美
重友梨佐
諫早 藤原 新
森岡紘一朗
出身高校所在地別

北海道 高平慎士
右代啓祐
福島千里
久保倉里美
愛知 中野弘幸
中村明彦
山本聖途
市川華菜

埼玉 高橋萌木子
土井杏南
大利久美
兵庫 山本 亮
ディーン元気
渕瀬真寿美
広島 山縣亮太
西塔拓己
木村文子

青森 福士加代
岸本鷹幸
東京 横田真人
舘野哲也
神奈川 吉川美香
尾崎好美
長野 佐藤悠基
藤澤 勇
富山 谷井孝行
山崎勇喜
静岡 高瀬 慧
飯塚翔太
大阪 金丸祐三
東 佳弘
岡山 新谷仁美
重友梨佐
長崎 藤原 新
森岡紘一朗
●岡崎城西高トリオ
 中村明彦、市川華菜、山本聖途と、岡崎城西高出身の3人が代表入りしたことが、ロンドン五輪選手団のトレンドに大きく影響した。出身高校別ではもちろん一番多く、出身高校所在地別でも中野弘幸が加わる愛知が4人と、北海道と並んで最も多い。
 3人全員が中京大の学生ということで、チーム別でも富士通に次いで2番目。出身大学別では中京大が4人で、これも順大に次いで2番目だ。
 岡崎城西高トリオが中京大、中野が愛知教大。愛知県の高校出身者は全員が、愛知県の大学に進んでいる。これは他の県にはまったく見られない傾向である。地元高校出身者が地元大学に進んで日本代表となる。今後は地元実業団ができて受け皿となれば理想的といえる。

●チーム別
 富士通が8人で断トツの最多人数。富士通としても五輪代表は過去最多人数となった。ただ、顔触れは昨年の世界陸上とまったく同じ。富士通としてはもう2人くらい代表に送り込みたかった、というのが本音だろう。
 2番目に多い3人がスズキ浜松ACと前述の中京大。スズキ浜松ACは村上が世界陸上銅メダリストで、海老原はアジア大会金メダリスト&世界陸上9位。右代啓祐は十種競技初の8000点突破と同種目48年ぶりの五輪代表。大物揃いのチームだ。
 一方の中京大は前述の岡崎城西高出身トリオ。若いチームで、今後が期待できるメンバーといえる。
 富士通、スズキ浜松ACと並んで日本のトラック&フィールドの屋台骨だったミズノが、室伏1人だけと減ってしまった。巻き返しを期待したい。

●出身大学別
 順大が昨年の世界陸上に続いて5人でトップ。200 mの高瀬慧と高平慎士、競歩の3人。長距離やハードル、跳躍でも出したかったというのが順大関係者の本音と思われる。
 2番目に多いのが中京大の4人で、室伏広治と岡崎城西高出身トリオ。昨年の世界陸上から2人が入れ替わったが、トータルの人数は同じ。底力がある大学といえる。
 3人が早大と中大だが、昨年の世界陸上は1人だけだった中大の躍進が目立つ。昨年の川面聡大が今年は入れなかったが、山本亮と舘野哲也が入ったのが大きい。
 早大も昨年は江里口匡史1人だけだったという点は同じ。
 昨年の世界陸上は3人が入った筑波大が、1人も代表入りできなかった。筑波大の五輪代表ゼロはアトランタ五輪以来とのこと。日本の陸上界にはなくてはならない存在。有望選手は多数いるので、すぐに勢いを取り戻すはずだ。
 拓大2人が男子マラソン代表入りしたことも特筆もの。箱根駅伝の名門校、強豪校ならともかく、拓大という点に意外性がある。

●出身高校所在地別
 北海道と愛知の4人が最多。北海道は昨年の世界陸上でも今大会と同じ4人。愛知は市川以外の3人がニューフェイスである。
 南部記念開催の北海道が4人、兵庫リレーカーニバル開催の兵庫県が3人、織田記念開催の広島県も3人、静岡国際開催の静岡県は2人、ゴールデングランプリ川崎開催の神奈川県も2人、国際グランプリ大阪を開催していた大阪府も2人。因果関係があるとは断定できないが、主要大会を毎年開催している都道府県の出身選手がそこそこ多いトレンドがある。

●出身高校別
 岡崎城西高出身の3人が最多。ただ、高校時代のメインの指導者は3人とも異なるという。
 埼玉栄高は高橋萌木子と土井杏南のリレー代表コンビ。2人とも本番を走ることになれば、リレーメンバー4人中2人が同一高校ということになる。過去に同じ例があったのかどうか。
 埼玉栄高の逆バージョンに近いのが興譲館高の2人。埼玉栄高が先輩後輩で同じ種目なのに対し、興譲館は同学年で違う種目(全国高校駅伝優勝メンバー同士)。これも過去に例があったかどうか。

●高平慎士
 高平慎士がチームで富士通、出身大学で順大、出身高校所在地で北海道と、3つのカテゴリーで人数最多項に属している。


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